NVIDIA、生成 AI の躍進に対応するロボティクス プラットフォームを拡張

投稿者: Amit Goel

NVIDIA Jetson プラットフォームを活用している 10,000 社以上の企業が、新しい生成 AI、API、マイクロサービスを利用して、産業デジタル化を加速

強力な生成 AI モデルとクラウドネイティブ API、マイクロサービスが、エッジで活用できるようになります。

生成 AI は、Transformer モデルや大規模言語モデルのパワーを、事実上あらゆる産業にもたらしています。その範囲には、欠陥検出、リアルタイム資産追跡、自律的計画とナビゲーション、人間とロボットの相互作用など、エッジ、ロボティクス、物流システムに関わる分野が含まれるようになっています。

NVIDIA は本日、エッジ AI とロボティクスのための NVIDIA Jetson プラットフォーム上の 2 つのフレームワークの大幅な拡張を発表しました。NVIDIA Isaac ROS ロボティクス フレームワークの一般提供が開始され、Jetson 上の NVIDIA Metropolis の拡張が予定されています。

エッジでの AI アプリケーション開発と展開を加速するために、NVIDIA は開発者が最新のオープンソースの生成 AI モデルを使用できる「Jetson 生成 AI Lab」も作成しました。

120 万人以上の開発者と Amazon Web Services、Cisco、John Deere、Medtronic、PepsiCo、Siemens などを含む 10,000 社以上の顧客が、NVIDIA AI と Jetson プラットフォームを採用しています。

急速に進化する AI がますます複雑化するシナリオに対応する中、開発者はエッジ向けの AI アプリケーションを構築するための開発サイクルの長期化に直面しています。変化する環境、製造ライン、顧客の自動化ニーズに対応するために、ロボットや AI システムをその場でプログラミングし直すには、専門的なスキルが必要で時間がかかります。

生成 AI は、ゼロショット学習 (モデルがトレーニング中に見られなかったものを認識する能力) を提供し、自然言語インターフェースを通じてエッジでの AI の開発、展開、管理を簡素化します。

AIの未来を「変革 (トランスフォーム)」

生成 AI は、人間の言語を使用してモデルに指示したり、モデルを変更したりすることで、使いやすさを劇的に改善しています。それらの AI モデルは、検出、セグメンテーション、追跡、検索、さらには手軽に何でも再プログラミングすることにおいて、より高い柔軟性を備えています。これらの特性は、従来の畳み込みニューラルネットワークベースのモデルを凌駕するのに役立ちます。

ABI Research によると、生成 AI は 2033 年までに世界の製造業に 105 億ドルの収益をもたらすと予想されています。

NVIDIA の組み込みおよびエッジ コンピューティング担当バイス プレジデントであるディープゥ タッラ (Deepu Tall) は、次のように述べています。「生成 AI は、以前には考えられなかったより高い汎用性、使いやすさ、および精度で、エッジでの AI の展開を大幅に加速させるでしょう。Jetson における NVIDIA の Metropolis フレームワークと Isaac フレームワークの過去最大規模のソフトウェア拡張は、Transformer モデルと生成 AI のパワーと組み合わされることで、このニーズに対応します」

エッジにおける生成 AI の開発

NVIDIA Jetson 生成 AI Lab は、オープンソースの LLM、見事な画像をインタラクティブに生成する拡散モデル、ビジョン AI と自然言語処理を組み合わせてシーンの包括的な理解を提供するビジョン言語モデル (VLM) と Vision Transformer (ViT) を展開するための最適化されたツールとチュートリアルへのアクセスを開発者に提供します。

開発者は、NVIDIA TAO Toolkit を使用して、エッジ用の効率的で正確な AI モデルを作成することもできます。TAO は、ViT やビジョン基盤モデルを含むビジョン AI モデルをファインチューニングし最適化するためのローコード インターフェースを提供します。また、NVIDIA NV-DINOv2 のような基盤モデルや OpenCLIP のような公開モデルをカスタマイズし、ファインチューニングすることで、非常に少ないデータで高精度なビジョン AI モデルを作成することができます。TAO はさらに、欠陥検査用の新しい Transformer ベースのモデルである VisualChangeNet を含んでいます。

新しい Metropolis と Isaac フレームワークを活用

NVIDIA Metropolis は、企業が重要な業務効率と安全性の問題を改善するための世界クラスのビジョン AI 対応ソリューションを採用することを、より簡単でコスト効率の高いものにします。このプラットフォームは、開発者が複雑なビジョンベースのアプリケーションを迅速に開発できるように、強力なアプリケーション プログラミング インターフェースとマイクロサービスのコレクションを提供します。

BMW Group、PepsiCo、Kroger、Tyson Foods、Infosys、Siemens を含む 1,000 社以上の企業が、NVIDIA Metropolis 開発者ツールを使用し、ビジョン AI にてモノのインターネット (IoT)、センサー処理、および運用上の課題を解決しており、その採用率は急速に高まっています。このツールは、ビジョン AI アプリケーションの構築を目指す人々によって、現在 100 万回以上ダウンロードされています。

開発者がスケーラブルなビジョン AI アプリケーションを迅速に構築、展開できるよう、NVIDIA Jetson 上の Metropolis API とマイクロサービスの拡張セットは年内に利用可能になる予定です。

何百もの顧客が NVIDIA Isaac プラットフォームを使用して、農業、倉庫自動化、ラストマイル配送、サービス ロボティクスなど、多様な領域にわたる高性能なロボティクス ソリューションを開発しています。

ROSCon 2023 において、NVIDIA は Isaac ROS と Isaac Sim ソフトウェアの新しいリリースにより、認識とシミュレーション機能の大幅な向上を発表しました。広く採用されているオープンソースのロボット オペレーティング システム (ROS) 上に構築された Isaac ROS は、オートメーションに認識をもたらし、動くものに目と耳を与えます。ビジュアル オドメトリ、奥行き認識、3D シーン再構築、ローカライゼーション、プランニングを含む GPU アクセラレーテッド GEM のパワーを活用することで、ロボティクスの開発者は、多様なアプリケーションに合わせたロボティクス ソリューションを迅速に設計するためのツールを得ることができます。

Isaac ROS は、最新の Isaac ROS 2.0リリースで本稼働可能な状態になり、開発者は Jetson で高性能なロボティクス ソリューションを開発し、市場に投入できるようになります。

Open Source Robotics Foundation の CTO である Geoff Biggs 氏は次のように述べています。「ROS は、ロボティクス コミュニティ全体にオープンソース ソフトウェアを提供するために、成長と進化を続けています。NVIDIA の新しいビルド済みの ROS 2 パッケージは、このリリースとともに公開され、広範に NVIDIA Jetson 開発者コミュニティが ROS 2 を容易に利用できるようにすることで、その成長を加速させるでしょう」

新たなリファレンス AI ワークフローの提供

本稼働可能な AI ソリューションの開発には、特定のユースケースに合わせた AI モデルの開発とトレーニングの最適化、プラットフォームへの強固なセキュリティ機能の実装、アプリケーションのオーケストレーション、フリート管理、シームレスなエッジ ツー クラウド通信の確立などが必要です。

NVIDIA は、Metropolis および Isaac フレームワークをベースとした AI リファレンス ワークフローの厳選されたコレクションを発表しました。これにより、開発者はワークフロー全体を迅速に採用したり、これらのワークフローから個々のコンポーネントを厳選して統合したりすることができ、その結果、開発時間とコストの両方を大幅に削減することができます。3 つの異なる AI ワークフローには、ネットワーク ビデオ録画 (NVR)、自動光学検査 (AOI)、自律移動ロボット (AMR) が含まれます。

Tirias Research の主席アナリスト Jim McGregor 氏は次のように述べています。「広範で多様なユーザー ベースとパートナー エコシステムを持つ NVIDIA Jetson は、エッジにおけるロボティクスと AI の革命を後押ししてきました。アプリケーションの要件がますます複雑になるにつれて、エッジ展開の作成を簡素化し、加速するプラットフォームへの基本的な移行が必要です。NVIDIA によるこの重要なソフトウェア拡張により、開発者は新しいマルチセンサー モデルと生成 AI 機能にアクセスできるようになります」

今後も続々と登場

NVIDIA は、エッジ AI ソリューションを構築する際に開発者が必要とする基本的な機能であるシステム サービスのコレクションを発表しました。これらのサービスは、開発者のワークフローへの統合を簡素化し、それらを一から構築する困難な作業から解放します。

新しい NVIDIA JetPack 6 は、年末までに利用可能になる予定であり、AI 開発者が Jetson Linux を全面的にアップグレードすることなくコンピューティングの最先端を維持できるようにします。これにより、開発スケジュールを大幅に短縮し、Jetson Linux の要件から解放します。JetPack 6 はまた、Linux ディストリビューション パートナーとの協力関係を活用し、Canonical の Optimized and Certified Ubuntu、Wind River Linux、Concurrent Real の Redhawk Linux、各種 Yocto ベースのディストリビューションなど、Linux ベースのディストリビューションの選択肢を拡大します。

プラットフォーム拡大によるパートナー エコシステムのメリット

Jetson パートナー エコシステムは、ハードウェア、AI ソフトウェア、アプリケーション設計サービスから、センサー、接続性、開発者ツールに至るまで、幅広いサポートを提供しています。NVIDIA パートナー ネットワークに参加するこれらのイノベーターは、市場で販売される多くの製品にビルディング ブロックやサブシステムを提供する上で重要な役割を果たしています。

JetPack ソフトウェアの最新リリースにより、Jetson パートナーは市場投入までの時間を短縮し、性能と機能を向上させてより多くの AI を採用する顧客ベースを拡大することができます。

独立系ソフトウェアベンダー (ISV) のパートナーも、Jetson 向けに提供する製品を拡大することができます。

11 月 7 日 (火) 午前 9 時 (太平洋標準時) に行われる、NVIDIA Jetson で生成 AI を実現するウェビナーにご参加ください。このウェビナーでは、Jetson 上で LLM や VLM を展開するためのアクセラレーテッド API や量子化手法、TensorRT による Vision Transformer の最適化など、今回発表されたニュースをテクノロジ エキスパートが詳細をご説明します。

Metropolis への早期アクセスについてはこちらをご覧ください。