各種産業向けにAIコンピューティングの導入を推し進めているNVIDIAにとって、AIを活用できる開発者は欠かせない存在です。そのため、NVIDIA Deep Learning Institute（DLI）でのオンライントレーニングや教育関係者向けプログラム、NVIDIA Jetsonを軸とした認定プログラムや助成プログラムなど、AIやアクセラレーテッド コンピューティング、データ サイエンスを学習・教育するためのプログラムを提供し、現役、および次世代のAI人材の育成を世界中で行っています。
NVIDIA Japanでも、過去に高校生を対象に開催したCUDAベースのプログラミング講座からはじまり、今日では大学での特別授業やハッカソンの開催、日本の教育者のニーズに応える教材キットの提供、学生ロボットコンテストの支援など、日本中の教育機関と連携したさまざまな活動を展開しています。その中の最新の取り組みとして、慶應義塾大学とのコラボレーションが進められています。
文系学生もJetson AI Specialistを目指す、慶應AICとのコラボレーション企画
慶應義塾大学の「AI・高度プログラミング コンソーシアム（AIC）」は、AIやプログラミング活動への関心がある慶應義塾生全員に門戸を開いた「学びのコンソーシアム」です。常時開催されているさまざまな講習会や各種コンテストへの参加はすべて無料であり、大学による監修のもと、塾生によって企画・運営され、塾生が講師や相談員も務めます。塾生に対する計算資源や各種環境は会員企業によってサポートされています。
NVIDIAも会員企業として本コンソーシアムを支援しており、現在AICとのコラボレーション企画を共催しています。NVIDIAのJetson AI Certificationプログラムを活用し、NVIDIAのAI認定資格であるJetson AI Specialistの取得を目標とした企画であり、塾生はAIの学習と実践的なエッジコンピューティングの開発に取り組んでいます。定員をはるかに上回る人数から参加申し込みが殺到し、選考の結果、受講学生は理工学部の塾生はもちろん、商学部や経済学部、法学部、環境情報学部からの文系学生を含む、約20名で構成されることになりました。今年の4月から7月までの間、春学期のプログラムとしてNVIDIAのDLIで提供している「Jetson Nano入門」に関するオンライントレーニングを毎週1回、計10回にわたりハンズオン形式で学びました。
オンラインで講習会に参加する塾生と大学のコーディネーター
通常はキャンパス内で対面形式で開催されている講習会が、コロナ禍においてオンライン開催になったことへの課題もありました。今回のプログラムで講師を努める慶應義塾大学理工学部生命情報学科4年の椎木秀映氏は以下のように述べています。「今回、オンラインで座学とハンズオンを織り交ぜながら開催し、Jetson Nanoに関する豊富なコンテンツから得た知識を活用しながら、ハンズオンの作業に挑みました。Jetson Nanoのセットアップなど、各自で取り組むにはハードルの高い手順もありましたが、オンラインで少数のチームに分かれたり、Slackチャンネルを活用することで知識の共有とコミュニケーションの強化を図り、全体を通して塾生同士でサポートし合うことができました。」
NVIDIAは、トレーニングで使用する各種教材およびJetson Nanoを提供したほか、NVIDIA Japanのメンバーが、オリエンテーションの開催からDLIのトレーニングに関する技術的なアドバイスの提供など、講習会の全コースを通じて塾生の学習をサポートしました。
NVIDIA Jetsonを使ってペットボトルの認識のデモを行う講師の椎木氏
今年後半に開催される秋学期のプログラムでは、前半で学んだ知識をもとに、Jetson AI Specialistの取得を目指して塾生がAI製品開発コンテストに参加し、チームごとに発表が行われる予定です。