ドイツのIAA モーター ショーで自律走行、電動化、持続可能性が主役に

投稿者: Marie Labrie

輸送業界は、自律走行、電動化、持続可能性の実現に向けて拍車がかかっています。

それらは、先週ミュンヘンで開催されたドイツ最大の国際モーター ショー、IAA Mobility 2021 (Internationale Automobil-Ausstellung) の目玉でもありました。

同展示会には大手自動車メーカーに加え、EV (電気自動車) やロボタクシー、バイク、電動スクーター、シェア サービスに至るまで、さまざまなモビリティ ソリューションを手掛ける企業のエグゼクティブが集結しました。

有力企業がいかに自動車業界に革命的変化をもたらしているか、ひいては消費者行動や、環境行動、社会的行動をいかにより良い方向へと変えていくか、同展示会はそれを示す場となりました。

自律走行車 (AV) に必要なエンド ツー エンドの開発フロー

会期冒頭では NVIDIA のオートモーティブ部門バイス プレジデント兼ゼネラル マネージャーであるアリ カニ (Ali Kani) も講演を行い、いかに AI が 10 兆ドル規模の輸送業界を変革するかを語りました。

その中でカニは、車載用ディープ ニューラルネットワークのトレーニング、テスト、および検証が行われるデータセンターから、その多種多様な AI/AV システムまで、AV 開発のあらゆる段階でいかに AI が活用されているか説明しました。

NVIDIA DRIVE プラットフォームは、AV が通りを安全に走れるようになる上で欠かせない極めて重要なレイヤーをすべて処理することができる、とカニは説明しています。それには、エネルギー効率の高い AV コンピューターや、センサー アーキテクチャ、データ処理、AV の状況認識、マッピング、コックピット用ソフトウェアのほか、トレーニング、テスト、および展開に必要なインフラストラクチャも含まれます。

カニの講演の録画をぜひご覧ください。

車両、コンセプト、コラボレーションの多彩な展開

NVIDIA DRIVE のパートナー各社による最新のグリーン テクノロジやコンセプト、イノベーションのデモも行われました。

たとえば Mercedes-Benz は、コンセプト モデルから高性能な高級サルーンや多目的車まで、同社の最新モデルだけでなく次期モデルも含む EV の全ラインアップを、同社が推進する取り組み「Lead in Electric」の一環として紹介しました。

EQS モデルの発表からわずか数か月後にこの高級自動車メーカーが公開した新型 EV セダン「EQE」は、スポーティなビジネス サルーンとして EQS の重要なすべての機能をよりコンパクトなフォルムに装備しています。使用可能エネルギー容量 90 kWh のバッテリーを搭載し、満充電での最長走行距離は 660 km (410 マイル) を誇ります。

また EQE では、ディスプレイ オプションとして MBUX ハイパースクリーンが提供されています。そのワイドスクリーン パネルは、高性能でエネルギー効率に優れた NVIDIA DRIVE プラットフォーム上で動作し、瞬時の AI 処理とダイナミックなグラフィックス機能を実現しています。

オプションとして提供される MBUX ハイパースクリーン。3 つのディスプレイが一体となってほぼシームレスに動作し、驚くべき横幅 141 cm (55.5 インチ) の一枚のスクリーン ユニットを構成します。写真提供: Mercedes-Benz

同社はほかにも、完全電動コンセプト SUV のMercedes-Maybach EQSやコンパクト電気 SUVであるEQBなど、数々の EV モデルを発表しました。IAA の来場者には、同社の実用的なオフロード カーの象徴である G クラスの完全電動モデルとして大いに期待される、Concept EQGの一端も明かされました。

「市況が許す限り、Mercedes-Benz は向こう 10 年以内に全モデルを EV 化する準備を整えるつもりです」と、Daimler AG の取締役会メンバー兼 Mercedes-Benz の COO であるマーカス シェーファー (Markus Schäfer) 氏は述べています。

また、主要自動車関連サプライヤーであり、 NVIDIA のパートナーでもある ZF は、同社史上もっとも柔軟性が高くパワフルなスーパーコンピューターである、最新のZF ProAIを公開しました。NVIDIA DRIVE をベースとした ZF ProAI は、最大 1,000 TOPS を実現するスケーラブルな性能レベルで提供されます。

前世代と比較してスーパーコンピューターの演算能力が最大 66% 向上した一方で、消費電力を最大 70% 削減した ZF ProAI は、あらゆる車種、そしてレベル 2 ~ 5 の自動運転車や自律走行車に対応します。

IAA の会期中、ZF がZF ProAI車載スーパーコンピューターを公開。写真提供: ZF Friedrichshafen AG

同じく NVIDIA DRIVE のパートナーである Continental は、IAA の会期中に創立 150 周年を迎えました。ハードウェアからソフトウェアへと軸足を移すことや、いかにクロス ドメインの考え方と包括的コネクティビティを車両に取り入れ、自動車業界におけるソフトウェア デファインドの変革で常に先を行くかについて語りました。

Continental と NVIDIA は、数年にわたり協力関係にあります。2020 年 6 月に、同社は 車載 AI システムをトレーニングするためのスーパーコンピューターを構築し、Continentalの自律走行車開発のパフォーマンスを引き上げることを発表しています。このスーパーコンピューターはInfiniBand で接続されたNVIDIA DGX システムで構成されます。

自動車業界で広く採用されているプラットフォームである NVIDIA DRIVE プラットフォームは、自動車メーカーやトラック メーカー、ティア 1 サプライヤー、ロボタクシー企業、ソフトウェア プロバイダー、センサー メーカー、マッピング会社、AV スタートアップなど、数百に上る企業で幅広く活用されています。

IAA の各種展示では、より高い安全性、利便性、喜びをもたらす自動運転車の開発と生産にNVIDIAの技術が欠かせないことが浮き彫りになりました。その成果によって、交通渋滞や有害な排ガス、化石燃料への依存はバックミラーに映すように過去のものとなることでしょう。

NVIDIA DRIVE プラットフォームについてぜひ詳細をご覧ください。また、11 月 8 ~ 11 日に開催される GTC への参加登録もお忘れなく。

メイン画像: Mercedes-BenzのConcept EQG。画像提供: Mercedes-Benz