NVIDIA cuQuantum と QODA を採用する研究者や科学者が拡大

投稿者: Jin-Sung Kim

量子アルゴリズム、シミュレーション、古典量子コンピューターの設計にNVIDIAのプラットフォームの採用が進む

競技フィギュア スケーターとしての 18 年間で、ベッティナ ハイム (Bettina Heim) 氏はスピードと優雅さでルッツを着地させる術を学びました。現在量子コンピューティングの博士号で武装した彼女は、Microsoft Azure Quantum がクラウド サービスの最先端を切り拓くために貢献しています。

Microsoft のプリンシパル ソフトウェア エンジニアリング マネージャーであるハイム氏は次のように話しています。「私は常に奥深い課題に惹かれ、目標を達成するために一生懸命取り組んできました。だからこそ、今日の古典的なシステムを超えたまったく新しいツールを作成することで、社会に利益をもたらす大きな可能性がある量子コンピューティングに惹かれたのです」

昨年の冬、Azure Quantum は、Quantinuum、Quantum Circuits Inc.、Rigetti Computing、オークリッジ国立研究所と協力して、古典システムと量子システムがどのように連携し、あらゆるクラウド ユーザーにその能力を提供することを目的とする、大きな問題に取り組むことができるかを実証しました。

その目的達成のために、将来のハイブリッド システムで GPU と量子プロセッサをリンクするオープンでユニバーサルなプログラミング環境である NVIDIA QODA などの包括的なツールを採用しています。

「QODA は、著しく異なるシステムと開発者ツールの堅牢な統合を提供するという、次のステップに進むのに役立ちます」と、スイス国籍を持ちながら現在シアトルに拠点を置くハイム氏は話しています。

量子のソフトウェア基盤

量子コンピューターのソフトウェア基盤を構築することは、ハイム氏が議長を務める QIR Alliance の焦点です。

この業界団体は、量子プログラミング言語と対象となる量子コンピューターとの間の共通インターフェースに関する取り組みを監督しています。QIR を使用すると、開発者は QODA などのツールを使用して、ハイブリッド量子コンピューターで実行されるアプリを構築し、科学的発見を加速できます。

これは、各システムの仕様に直接対応したアセンブラ プログラムに相当するものを書くことに慣れている開発者にとっては、大きな飛躍と言えるでしょう。

「量子システムの深い知識を必要としないツールを用意することが重要です。そのため、NVIDIA のような企業と協力して、幅広い分野の開発者と関わり、刺激しています」と彼女は言います。

彼女はまた、GPU アクセラレーテッド システムで量子回路シミュレーションを実行するためのソフトウェア ライブラリである NVIDIA cuQuantumについても触れました。「QODA と cuQuantum は、従来の HPC リソースを量子開発に活用することで、この分野に大きな前進をもたらします」

拡大する量子エコシステム

QIR エコシステムを拡大し、NVIDIA のツールセットを Azure Quantum と統合するための Microsoft との取り組みは、数多く行われているコラボレーションのうちの 1 つです。多くの企業が cuQuantum を採用して現在の古典コンピューターでの量子研究を加速し、QODA を採用して未来のハイブリッド古典量子システムをプログラムしています。

たとえば、Rigetti Computing は、開発者が QODA を使用して超伝導量子コンピューターをプログラムできるようにしています。また、ソフトウェア スペシャリストの Classiq は、QODA を使用して量子アルゴリズムのパフォーマンスを最適化しています。

QODA は、ハイブリッド古典量子コンピューターの統一プログラミング モデルを提供

これらの企業は、7 月に QODA を使用したコラボレーションを発表した量子ハードウェア プロバイダである IQM Quantum Computers、Pasqal、Quantinuum、Quantum Brilliance、および Xanadu に加わり、すべてのハイブリッド量子古典システムを可能にする統合プラットフォームとしての QODA の役割を強化する、幅広い量子ビット技術をサポートします。

さらに、QODA は、ソフトウェア プロバイダである QC Ware と Zapata Computingに支持されているほか、ドイツのユーリッヒ研究所、米国のローレンス バークレー国立研究所やオークリッジ国立研究所、そして日本の理化学研究所の 4 つのスーパーコンピューティング センターからも支持されています。

さまざまな業界が研究に cuQuantum を活用

一方、cuQuantum での量子回路シミュレーションのアプリケーションは拡大しています。

BMW グループは、昨年発表した論文の中で、自動車に関連する量子コンピューティングの活用について 40 以上のユースケースを挙げています。今年は、量子アプリケーションのベンチマークに関する作業の一環として、cuQuantum の cuStateVec ライブラリを使用しました。

BMW グループは、Amazon Web Services (AWS) と協力してグローバル チャレンジを主催し、量子システムが自動車業界における最も困難な最適化、AI、および材料科学の問題に対処できる方法を示しました。このテクノロジに対する幅広い関心の表れとして、チャレンジには 70 のチームが集まりました。

日本では、富士フイルム株式会社インフォマティクス研究所とスタートアップの blueqat が、量子回路の構築に cuQuantum を活用しています。このコラボレーションは、富士フイルムの研究開発を加速するため、大規模な量子回路を対象としたシミュレーションを目的にしています。

開発者は cuQuantum を使用して、単一の NVIDIA A100 Tensor コア GPU で数百量子ビット、スーパーコンピューティング クラスターで数千量子ビットの正確なシミュレーションを作成できます。

量子がクラウド上で拡大

Oracle Cloud サービスにより、開発者は GPU で量子回路シミュレーションを作成できるようになります。Oracle Cloud Marketplace では、cuQuantum ジョブの実行に必要なすべての要素を備えたコンテナである DGX cuQuantum Appliance が利用可能になっています。

同様に、AWS は Braket Braket サービスで cuQuantum が利用可能になったことを発表しました。また、Braket で、cuQuantum が量子機械学習ワークロードで最大 900 倍の高速化を実現する方法を示しました

コンサルティング企業も、NVIDIA ソフトウェアで加速される量子コンピューティングの可能性を示しています。

AI を量子で加速

Deloitte は cuQuantum と QODA を使用して、自然言語処理をカスタマー サービスの新たな高みへと引き上げます。高次元のデータセットを使用して、システムが完全な文を解釈できるようになるでしょう。

同社の他のプロジェクトでは、cuQuantum が創薬を加速し、構造化された医療データの複雑な最適化問題を解明する方法を探っています。

グローバルな IT コンサルティングおよびサービス企業である SoftServe の R&D グループは、創薬や緊急物流の最適化など、複数のアプリケーション分野で cuQuantum を使用しています。また、株価の傾向の予測や金融ポートフォリオ管理の自動化など、金融の量子シミュレーションでも cuQuantum ソフトウェアを実行します。

これらの研究活動は、2021 年後半の発表時に cuQuantum への支持を示した Google Quantum AI や IonQ などの既存のコラボレーション企業による活動に加わるものです。

GTC で詳しく知る

量子によるアクセラレーテッド スーパーコンピューティング、そのエコシステム、製薬業界でのアプリケーションの概要を説明する GTC セッションをぜひ視聴ください。

また、ジェンスン フアンによる GTC 2022 の基調講演のリプレイもご視聴ください。