Jetson AGX Xavierのパワーで警備現場の安全を守るCSPセントラル警備保障の自律移動型警備ロボット

投稿者: NVIDIA Japan

未来の都市では、私達の豊かな生活を支えるためロボットが人々の暮らしに溶け込み、様々な業務を肩代わりしてくれることが予想されます。その様な社会で人々の安全を守るために開発されたのがNVIDIA Jetson AGX Xavierのパワーで施設内の警備を行うCSPセントラル警備保障自律移動型警備ロボットです。この自律移動型警備ロボットは警備員の代わりとなって公共空間、店舗、ビルなどを昼夜を問わず長時間巡回してこれまで以上の安全を確保し、また警備に携わる人的リソース不足の解消を目的として開発されました。

Jetson AGX Xavierが担う自律移動型警備ロボットの「眼」

この自律移動型警備ロボットには8台の高性能カメラが搭載されており、そのうちの1台のカメラとJetson AGX Xavierを用いて不審者や刃物などの危険物を検知するための物体認識を行っています。この物体認識にはCNN (Convolutional Neural Network: 畳み込みニューラルネットワーク) ベースのディープニューラルネットワークを採用し、学習済みモデルが実装されたJetson AGX Xavier による推論で不審者や危険物の物体認識を行い、そのようなものが認識されると防災センターや近隣に配属された警備員がもつスマートフォンやタブレットといった端末にアラートを通知すると共に、必要に応じてサイレンやフラッシュライトの点灯によって不審者に対する威嚇を実施します。また、不審者や危険物等の検知に加え、視覚障害者の方などが携行する白杖も検知し、警備現場でサポートを必要としている方々をいち早く見つけ、近くの担当者へ通知します。

人々が多く行き交う実環境で不審者や多様な危険物等の物体認識を行うためには高性能な演算能力を必要とします。その一方でバッテリー駆動する自律動作ロボットに実装できるコンピューターの消費電力とフォームファクタには厳しい制限が課せられます。セントラル警備保障の開発チームはCPUやFPGAを含む多くのコンピューティングプラットフォームを評価、検討した結果、この自律移動型警備ロボットの物体認識に最適なプラットフォームとしてJetson AGX Xavierを選びました。AIスーパーコンピュータ並みの演算能力を誇る組込み向けSoM (System On Module)であるJetson AGX Xavierは自律移動型警備ロボットの「眼」を実現するうえでまさに唯一無二のコンピューティングプラットフォームと言えます。

自律移動型警備ロボットの開発と進化を支えるNVIDIAのエンドツーエンド プラットフォーム

セントラル警備保障は長年の経験と実績によって蓄積してきた知見に基づいて自律移動型警備ロボットの学習データセットを独自に作成しました。データセットを充実させるため、必要に応じて現場の環境を再構築したスタジオでの撮影等も行い、より精度の高いモデルに仕上げるためのデータセットの作成も行いました。収集したデータを用いてのCNNモデルの学習もNVIDIAのプラットフォームで行い、学習済みモデルは最適なかたちでJetson AGX Xavierにデプロイされました。

また、これから実環境での自律移動型警備ロボットのオペレーションがスタートすると、毎日のように遭遇する新しいシチュエーションに対応するために、新しいデータを用いた追加学習を定期的に行って、より汎用的かつ精度の高いモデルにアップデートしていかなければなりません。そのためにセントラル警備保障はNVIDIA DGX Stationを活用して継続的なモデルの改善に取り組みます。このようなスムースなAIモデル開発のワークフローを実現できるのもCUDAをベースとする、NVIDIAの統一されたGPUアーキテクチャで実現されているエンドツーエンド ソリューションのアドバンテージです。

さらに、セントラル警備保障はNVIDIAのプラットフォームをサポートするエコシステム パートナーが提供するソリューションも有効に活用し自律移動型警備ロボットの開発を迅速かつ効率的に進めることができました。

AIのパワーを得たロボティクスの社会実装の加速

近年、自動掃除ロボットや移動支援ロボットなど様々な自律動作ロボットの導入が進んでいますが、セントラル警備保障は「警備」という自らが長年専門としてきた分野にAIのパワーを得たロボティクスを活用し、将来的には自律移動型警備ロボットに人間以上の警備をさせることを目指しています。セントラル警備保障が選択したJetson AGX XavierをはじめとするNVIDIAのエンドツーエンド プラットフォームは、その目的を素早く効率的に実現するための最適なソリューションと言えます。