世界の自動車スタートアップ企業 145 社が NVIDIA DRIVE を採用

投稿者: Danny Shapiro

中国、北京で開催された GPU テクノロジ カンファレンスの基調講演で、NVIDIA CEO のジェンスン フアン (Jensen Huang) は、NVIDIA の AI プラットフォームを利用して自律走行車向けソリューションの開発を進める多数のスタートアップ企業を紹介しました。

自律走行車には、考え得るほぼ無限の運転シナリオに対応できる AI が不可欠です。そこで、NVIDIA の AI プラットフォームでは、NVIDIA DGX Systems がデータ センターでディープ ニューラルネットワークのトレーニングを行い、NVIDIA DRIVE PX が推論側で車内でのリアルタイムの低遅延によって安全な走行を実現する、「Cloud-to-Car」ソリューションを提供しています。

NVIDIA は、アウディ、トヨタ、メルセデス・ベンツ、ボルボ、テスラをはじめとする世界の大手自動車メーカーと提携していますが、スタートアップ企業も大切なパートナーであることに変わりはなく、そのイノベーションと独創性が重要な新しい自律走行ソリューションにつながると考えています。

フアンは次のように述べています。「この分野では信じられないほどの投資が行われており、その理由は実にシンプルです。社会に与える影響が大きく、自律性の達成に必要なテクノロジがようやく実現し、問題が非常にやりがいのあるものだとなれば、スタートアップ企業がイノベーションに時間をかけることも、なんら不思議ではありません。さらに重要な点は、この業界が極めて巨大だということです。」

脚光を浴びるスタートアップ

現在、145 社のスタートアップ――その多くが中国企業――で DRIVE プラットフォームが利用されています。フアンは、自動運転の異なる側面に注目する 6 つの組織を取り上げました。

Cognata は、ディープラーニングによる自律シミュレーションを専門とする企業です。自律走行車の開発では、シミュレーションが広く利用されています。現実世界のように動作する仮想世界を構築することで、Cognata をはじめとする企業では、AI が学習できる安全かつ柔軟な環境を作り出しています。このようにシミュレートされた環境は常に稼働させることができるため、自動運転用 AI のトレーニングを毎日 24 時間行うことが可能になります。


DeepMap によって運転環境の正確な 3D モデルが描画されます。

高精細地図の作成も自動運転車を実現するうえで鍵となるテクノロジです。DeepMap (英語) は、フルスタックの高精細地図作成サービスであり、その製品によって、自動運転車 (または、その全車両) が自身の位置を特定し、複雑な道路状況でも安全に走行することが可能になります。

Momenta (英語) は北京に本拠を置くローカルのスタートアップ企業であり、物体認識、高精細地図作成、経路計画用ソフトウェアを開発しています。運転データをクラウドソーシングすることで、何百万マイルにも及ぶ現実世界での運転シナリオを利用して、自社の AI 運転アルゴリズムのさらなるトレーニングと改良を図っています。

シリコンバレーでもっとも謎多き企業の 1 つである Zoox (英語) は、モビリティ エコシステム全体の刷新に向け、共有された、オンデマンドの、ゼロエミッション モビリティ システムの構築を進めています。Zoox の創設者兼 CEO であるティム ケントリー クレイ (Tim Kentley-Klay) 氏は、同社が一から自動車を開発しているのかと米フォーチュン誌に問われ、「いいえ、当社が開発しているのは、自動車の次に来るものだと言えるでしょう」と答えています。


Navya は、出発地から目的地までの、無人の自動運転/電気自動車
を開発しています。

Navya や TuSimple (英語) などの企業は、自律走行が自動車だけのものでないことを実証しています。Navya は、目的地までの最後の行程を走る、無人の自動運転・電気車両を開発しています。「Navya Arma」は、最大 15 人まで輸送できる無人の電気シャトルバスで、現在は欧州と米国の各地で運行しています。NVIDIA の GPU ベンチャー プログラムのメンバー (英語) である TuSimple も、自動車にとらわれず、自動運転トラックに取り組んでいます。同社は、自律型の長距離輸送を可能にするテクノロジを開発しており、米国と中国でテストを実施中です。

自動車企業として NVIDIA GPU ベンチャー プログラムのもっとも新しいメンバーである JingChi (英語) も、基調講演で紹介されたスタートアップ企業の 1 つです。Baidu の自律走行車部門の元リーダーであるトニー・ハン (Tony Han) 氏とジン・ワン (Jing Wang) 氏によって昨春に設立された JingChi では、その自律走行車の開発に、NVIDIA GPU と NVIDIA DRIVE PX 2 が使われています。

その他、GTC China で取り上げられたスタートアップ企業は、2GetThere、Automotive Artificial Intelligence、Arrival、Auro、AutoX、DeepMap、e.GO Mobile、EasyMile、FiveAI、Horizon Robotics、Mapillary、Nuro、nuTonomy、Optimus Ride、Oxbotica、PlusAI、Pony.ai、robotTuner、Streetscooter、TierIV、Uniti、WEpods、Xesol Innovation、Yandex Taxi です。

自律走行における GPU の役割と、AI がいかにほぼすべての業界に変革をもたらしているかについて詳しくは、ミュンヘンで開催される GTC Europe (英語) にご参加ください。

写真提供: DeepMap および Navya