360 度動画を使ったストーリーテリングの新境地を開くため、業界リーダー各社が NVIDIA VRWorks を採用

投稿者: Zvi Greenstein

Z CAM、STRIVR、Pixvana が、VRWorks 360 Video SDK を統合。GTC において、Linux に対応した新しい 1.5 SDK をリリース。

パブリッシャー、制作会社、コンテンツ クリエーターがストーリー、場、体験などを作成し、共有するために用いる革新的な手段の 1 つが、360 度動画です。

今週サンノゼで開催されている GPU テクノロジ カンファレンスで、VR 業界のリーダー各社は、NVIDIA VRWorks 360 Video SDK のもとに集まっています。この SDK を使用すれば、旅行やスポーツからエンターテイメント、ジャーナリズムに至るまで幅広い産業で、高品質な 360 度のステレオ動画体験を作成することが可能になります。

この種の動画を作成して配信する作業は複雑で、高い計算能力が求められます。最大 32 台のカメラからの映像をキャプチャし、処理し、スティッチングする必要があり、特にライブ イベントの場合には、最小限の遅延でリアルタイムのストリーミングを行わなければならないからです。

GPU アクセラレーションと VRWorks 360 Video SDK の組み合わせは、リアルタイムのキャプチャ、シームレスなスティッチング、360 度の単眼/両眼立体 (モノラル ステレオ) 動画のストリーミングを実現するだけでなく、動画ワークフローへの統合も簡単です。

新しい Z CAM のカメラが、360 度のライブ ステレオ動画を実現

NVIDIA VRWorks 360 Video SDK を自社製品に統合した最初の商業カメラ メーカーは、業務用のライブ VR カメラを早い時期に一般に提供した企業の 1 つである Z CAM 社でした。VRWorks 360 Video SDK は、同社のアプリケーションである WonderStitchWonderLive に統合されました。

月曜日に Z CAM 社は GTC で、6K、60fps、および 360 度のステレオ動画に対応した Z CAM V1 Professional VR Camera を発表しました。Z CAM の 10 台のカメラはフットプリントが小さいため、コンテンツ クリエーターは被写体にしっかり近づくことができます。これにより、従来の 360 リグの大きな問題の 1 つを解決できます。

Z CAM の CEO であるキンソン ルー (Kinson Loo) 氏は、次のように述べています。「VRWorks 360 Video SDK の統合により、高品質な 360 度ステレオ動画のライブ ストリーミングが可能になっただけでなく、モノラルとステレオの両方の 360 VR ライブ ストリーミングにも対応できるようになりました。そのためお客様は本当の意味で、ライブによるストーリーテリングの新境地を開くことができます。」

Pixvana、動画の作成と提供を迅速化

360 度のコンテンツを作成する場合における最大の課題の 1 つは、生成されるファイルのサイズがきわめて大きいことです。そのため、高品質なコンテンツを VR ヘッドセットに提供するのは困難です。より良い結果をより迅速に得るため、Pixvana の SPIN Studio Platform には VRWorks 360 Video SDK が統合されており、Steam、PlayStation、YouTube、その他の対応プラットフォームを含むあらゆる配信方法に合わせて最適化されています。

VRWorks 360 Video SDK には AWS および Microsoft Azure クラウド プラットフォームを介してアクセスできるため、Pixvana の顧客は、数多くのカメラ リグからソース動画を容易にアップロードできます。また、アプリケーションが自動で微調整を行い、従来の CPU ベースのスティッチング技術と比べて最大 11 倍の速度で映像をスティッチングできます。こうして、最大 8K の画質の美しい 360 度動画を作成できます。

Pixvana の製品ディレクター兼共同創業者であるショーン サフリード (Sean Safreed) 氏は、次のように述べています。「NVIDIA VRWorks 360 Video SDK の API は、Windows と Linux とで同じであるため、当社の Linux クラウド プラットフォームにも非常に迅速かつ簡単に統合できました。GPU で加速された当社のパワフルなクラウド バックエンドを通じて VRWorks SDK にアクセスできるため、ワークフローを簡素化できるほか、撮影からレビュー、そして最終的な配信に至るまでのプロセスを大幅にスピードアップできます。そのため、お客様からは大好評をいただいています。」

STRIVR、360 度動画でトレーニングの仕方を革新

仮想現実は、没入感を提供し、ユーザー自身を出来事の中心に据えるため、あらゆるシチュエーションでのトレーニングに最適です。例えば、貨物船のエンジンを修理したり、ブラック フライデー商戦に殺到する買い物客への対処法を学んだり、工場現場での組立手順をステップごとに練習したりするシミュレーションが考えられます。

STRIVR は、ウォルマートからニューヨーク ジェッツまでを含む多様なクライアントに対し、競争力を高めるための没入型の VR トレーニングを提供しています。シチュエーションごとの 360 度動画を見せることで、従業員の定着率や生産性を劇的に向上させることができるほか、従業員を危険にさらさずに危機対応の重要な OJT を実施することもできます。

STRIVR の没入型トレーニング プラットフォームは、状況認識力を向上させ、業務手順に関するトレーニングや安全/営業に関するトレーニングを改善できるよう設計されています。

STRIVR の CTO であるブライアン ミーク (Brian Meek) 氏は、次のように述べています。「VRWorks 360 Video SDK の統合により、STRIVR のスティッチング プロセスを 15fps から 45~60fps まで加速することができ、パフォーマンスが 3~4 倍になりました。その結果、撮影から配信までにかかる時間も大幅に短縮できました。」

VRWorks 360 度動画 1.5 をリリース

NVIDIA は、Linux に対応した VRWorks 360 Video SDK バージョン 1.5 をリリースしました。組み込みデバイスや Linux ベースの画像処理パイプラインを含む、より幅広い用途への統合がさらに簡単になります。

今年の GTC では、3 月 26 日 (月) に、Pixvana のクラウドによる 8K 動画スティッチングについてセッションがありました。また、VR ビレッジでは新製品 Z CAM V1 の実際の動作を確認でき、3 月 28 日 (水) には、VRWorks の統合によって Z CAM VR カメラがどのようなメリットを得たかに関する有用なセッションも開催されました。

詳細については、「VRWorks at GTC」ガイドをチェックいただくか、VRWorks 360 Video SDK のページをお読みください。