Omniverse の AI 対応検索ツールが、名門スタジオで 3D シーンの大規模データベースの高度な検索を実現

最先端の視覚効果やバーチャル プロダクションを実現するため、制作チームや制作スタジオではリアルタイムで更新可能なデジタル セットやデジタル環境が活用されています。

あらゆるバーチャル プロダクション環境に欠かせない要素といえば、仮想環境やインカメラ VFX のリアルな照明を生み出すためによく使われる「スカイ ドーム」です。名門スタジオ Industrial Light & Magic (ILM) では、NVIDIA の AI 対応 DeepSearch と Omniverse Enterprise を採用し、AI のパワーを駆使して空の制作を新たな高みへと引き上げようとしています。

フォトリアルな空のディテールを再現することは、ときに厄介です。SIGGRAPH ではこのたび、ILM のチームがいかに NVIDIA DeepSearch ツールを使って自然言語で大規模なアセット ライブラリを素早く検索し、魅力的なスカイ ドームを制作しているかを紹介しました。

以下の動画では、Omniverse Enterprise が映画制作会社にストーリーに深みを加える理想的な光景と照明を生み出すための究極の柔軟性をもたらす理由がわかります。これによりアーティストは、時間を削減して生産性を高め、バーチャル プロダクションのクリエイティビティを加速させることができます。

検索結果を絞り込んだ ILM チームは、次に仮想現実 (VR) 内で残りのスカイ ドームの選考を行い、目的のショットに最適なアセットとなるかを判定します。VR を用いることで、バーチャル プロダクション セットでのそれらのスカイ ドームの見映えをほぼ正確につかむことができるためです。

空のように果てしない、AI の可能性

大量のリファレンスや 3D アセットを持つ大規模ライブラリには利点がある反面、全データの効率的な検索方法がないことによる課題も存在します。

通常、ユーザーはキーワードを使ってフォルダの設定やアイテムのタグ付けを行いますが、これには気の遠くなるほどの時間がかかることがあります。リファレンス ライブラリに 40 余年分のマテリアルを抱える ILM のようなスタジオにとっては特にそうです。それには、数十年かけて蓄積してきた写真やマット ペイント、背景などのマテリアルが含まれます。

タグ付けされていないコンテンツを数十万単位で抱える ILM チームにとって、制作スケジュールを守りながらそれらを手作業で検索することは非現実的です。

しかし Omniverse DeepSearch を利用すれば、テキストや 2D 画像を使ってタグのないアセットを直感的に検索できます。DeepSearch では、AI によって画像の分類と検索が自動的に行われるためです。結果、アセットごとに手作業でタグ付けする必要がなくなり、制作チームの膨大な時間の削減につながっています。

ブログ内の画像提供: Industrial Light & Magic.

「Omniverse DeepSearch のおかげで、制作の鍵を握るデータ検索をリアルタイムで行えるようになりました」と話すのは、ILM のリアルタイム クリエイティブ プリンシパルであるランディス フィールズ (Landis Fields) 氏です。「自然言語でのアセット検索機能によって、当社制作チームは欲しい素材を簡単に見つけ出せるため、以前よりはるかに効率的にシーンの最終的なルック アンド フィールが得られるようになりました」

また、DeepSearch は USD ファイルにも対応しているので、検索結果をレビューして、画像を Omniverse Enterprise の 3D 空間に取り込むことができます。その後、アーティストが VR ヘッドセットを使って 3D 環境を操作することも可能です。

NVIDIA の DeepSearch と Omniverse Enterprise によって ILM は、制作パイプラインを加速させ、コストを削減して、プロダクションのワークフローを向上させることで、バーチャル プロダクションの魅力的なコンテンツを生み出せる可能性を手に入れました。

SIGGRAPH の NVIDIA サイトをぜひご覧ください。Omniverse の最新の発表について詳しく紹介しています。また、NVIDIAの特別講演や、NVIDIA のグローバル ドキュメンタリー プレミア『The Art of Collaboration: NVIDIA, Omniverse, and GTC』もオンデマンドでご視聴いただけます。