今週の「In the NVIDIA Studio」では、アーティストのブライアン ライ (Brian Lai) 氏による、『午後のコーヒーとワッフル』の制作過程をご紹介します。Chaos V-Ray と、RTX で高速化されたアプリを使用してこの作品を制作した様子を解説します。
本ブログは、注目のアーティストを称え、クリエイティブ活動のヒントやコツを説明し、NVIDIA Studio テクノロジがクリエイティブ ワークフローを加速する様子を毎週紹介する「In the NVIDIA Studio」シリーズの最新号です。
7 月の NVIDIA Studio ドライバは、Chaos V-Ray 6 for 3ds Max の最新リリース版を高速化し、NVIDIA Studio での制作作業を一段と充実させます。
また、今週の「In the NVIDIA Studio」では、3D アーティストであるブライアン ライ氏の『午後のコーヒーとワッフル』の制作過程を紹介します。同氏はレンダリング ソフトウェアの Chaos V-Ray で NVIDIA RTX アクセラレーションを活用して、この作品の構想から完成までの時間を短縮しました。
NVIDIA Studio によって強化された Chaos V-Ray で、記憶に残る 7 月に
ビジュアライゼーションとコンピュータ グラフィックスのソフトウェア企業である Chaos 社が今月、オールインワンのフォトリアリスティック レンダリング ソフトウェア「V-Ray 6 for 3ds Max」のアップデートをリリースしました。7 月の Studio ドライバは、NVIDIA の GPU で制作しているクリエイターに最高の体験を提供します。
今回のリリースでは、世界の構築とワークフローに関する強力な新しいツールをアーティストに提供する注目のアップグレードです。これらのツールを使用すれば、素早く 3D オブジェクトを分散配置し、詳細な 3D サーフェスの生成し、プロシージャルな雲を追加し独自の美しい空を作り上げることができます。
V-Ray GPU ソフトウェアは、RTX アクセラレーテッド レイトレーシングによるハイパフォーマンスな最終フレーム レンダリングと、AI を活用したデノイズによるインタラクティブ レンダリングの高速化などの恩恵をすでに受けていますが、さらにパフォーマンスが向上し、新機能も加わります。
3D アーティストは V-Ray 6 でスピードアップ向上のメリットをさまざまな形で享受できます。GPU の改善には、V-Ray 6 のほぼすべての新機能への対応、より高速になった Light Cache、レンダリング デバイスをタスクに割り当てる新しいデバイス セレクターが含まれます。ユーザーが AI デノイザーに GPU の使用を指定できるようになったことで、レンダリング パフォーマンスが 2 倍近くに向上します。
その他の主な新機能は次のとおりです。
- Chaos Scatter — 大量の 3D オブジェクトをシーンに容易に配置でき、手作業でオブジェクトを調整することなく、自然な見た目の風景や環境を作成できます。
- プロシージャルな雲 — 部分的な曇り空から、一面の曇り空まで、さまざまな雲の種類と天候をシミュレートできます。
- トレース深度のワークフローの改善 — 反射と屈折のトレース深度のオーバーライド設定が簡素化されました。
- シェーディング機能の向上 — エネルギー保存の法則に従った新しい GGX シェーダーが利用可能になり、V-Ray マテリアルに泡や生地の表現に使える薄膜レイヤーが追加され、V-Ray の汚し機能が改善されました。
他にも注目の新機能が多数あります。7 月 28 日 (米国時間) 開催の V-Ray 6 for 3ds Max 無料ウェビナーに参加すれば、3D アーティストが素晴らしいビジュアルを制作するうえで、これらの新機能がどのように役立つかを知ることができます。
スムーズにレンダリングされたワッフル
今週の「In the NVIDIA Studio」では、コンピュータ グラフィックス クリエイターのブライアン ライ氏が、『午後のコーヒーとワッフル』の簡単かつバターのようになめらかな制作プロセスを詳しく説明します。
ライ氏は GeForce RTX 3090 GPU と NVIDIA Studio のメリットを生かした制作作業で素晴らしい満足感を得ました。
ライ氏は幼いころに写真家の父親の影響で 3D アートの世界に足を踏み入れ、マレーシア最高峰の芸術大学である The One Academy に迎えられるまで、父親のもとで働いていました。同氏は現実世界の環境からインスピレーションを得ており、普段から周囲を観察しています。
「いつも光とマテリアルのことばかり考えていたので、身の回りの物を見ただけで 3D の形に再現したくなるのです」と、ライ氏は話します。「私の再現した物や環境を見た人に、これは実物の画像なのか 3D でレンダリングされた画像なのかと迷わせることができたら、この上なく嬉しくなります」
『午後のコーヒーとワッフル』が、魅力的な食事体験を発信するソーシャル メディア画像によく見られるような、リアルさを帯びているのもうなずけます。
ライ氏はインターネットで参考写真を見つけ、基本的な 3D モデル ブロッキングから制作プロセスを開始しました。この工程により、最終イメージの方向性を定めるとともに、適切な焦点距離とカメラの位置を確認できました。その後、各 3D モデルを高解像度モデルに変換し、それぞれを別々にテクスチャリングして仕上げました。こうすることで、各オブジェクトのディティールに集中することができました。
ライ氏は、GeForce RTX 3090 を使用した制作体験を「最初から最後まで、バターのようになめらか」と評しました。
RTX アクセラレーテッド レイトレーシングは、AI を活用したデノイズによって V-Ray GPU で極めて高速に実行されます。ライ氏は V-Ray を好む主な理由として「グラフィックス カードの RT コアと Tensor コアの処理能力を活用している」ことを挙げました。「ソフトウェアの制約を受けているという感覚はありません」
ライ氏はできるだけ見た目の良い布を表現するために、GPU を使用して Autodesk Maya でシミュレーションを行いました。同氏曰く、「4K プレビューでのテクスチャリングにとても満足しています」とのことです。その後、Adobe Substance Painter でノーマル マップのシワを加えてモデルを完成させました。
すべてのモデルの準備が整うと、ライ氏はそれらを 1 つのシーンに集めました。上記のチュートリアルでは、Autodesk Maya のハイパーシェード ウィンドウで各シェーダーを構成する方法を紹介しています。
最後の、そして終わりのない工程がルック デブです。ライ氏は曰く、「この段階の修正は終わりがない」ので、むやみに手を入れるのを自制しなければなりませんでした。最終的に、同氏は目指していたリアリズムに到達し、作品は完成となりました。
インバート アート (ネガティブ ドローイング) の考案で初めて世に知られたライ氏の他の作品は、Instagram でご覧いただけます。
8 月 19 日(金)まで開催されている #ExtendtheOmniverse コンテストにぜひご参加ください。独自の NVIDIA Omniverse 拡張機能を開発して魔法のようなプログラムを実行し、NVIDIA RTX GPU を獲得しましょう。優勝者は 9 月に GTC で発表いたします。
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