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MRI に AI の目を: 医用画像における AI と機械学習の最新情報を業界のエキスパートらが紹介

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医療業界において、放射線分野ほど AI の台頭が顕著な領域はおそらくないでしょう。放射線分野では、機械学習が医療従事者のワークフローにあらゆる面で寄り添って支援しています。

たとえばセント ジュード チルドレンズ リサーチ ホスピタル (St. Jude Children’s Research Hospital) では、研究者チームが AI を利用してがん治療が脳の構造に与える影響についての研究を進めています。

カリフォルニア大学サンフランシスコ校 (UCSF) では、放射線医学ワークフローの一部自動化を目指す臨床チームを、データ サイエンティスト チームが機械学習を用いてサポートしています。

また、上海では、放射線科医らが単一画像から骨折やさまざまな疾患を特定するのに役立つ AI を活用しています。

世界規模で医用画像を進化させている驚くべき研究やテクノロジについて、今年4月に開催されたNVIDIA GPU テクノロジ カンファレンスのセッションの中から、いくつか以下にご紹介します。また、11 月 8 ~ 11 日にオンライン開催される GPU テクノロジ カンファレンスに参加登録し、世界各地で AI やアクセラレーテッド コンピューティングを導入している医療業界のエキスパートの講演をぜひご視聴ください。

セント ジュードの研究者チームが治療法の発見に向けたデータの抽出に NVIDIA DGX を利用

セント ジュード チルドレンズ リサーチ ホスピタルのチームは、小児疾患の治療や治癒に取り組むほか、小児脳腫瘍の治療法の開発に向け研究を進めています。

髄芽腫は小児科で最もよく見られる悪性脳腫瘍の診断です。広範囲の治療を行った場合の平均生存率は 70 ~ 75% です。しかしこの治療法は、がん治療の期間中、長期的な神経認知障害といったほかの問題を引き起こしてしまう可能性があります。

また、後頭窩症候群と呼ばれる短期的な脳損傷の原因ともなり、数週間から数年単位に及ぶ言語障害、情緒障害、運動障害を引き起こすリスクがあります。

セント ジュード チルドレンズ リサーチ ホスピタルの生物統計学者であるチャオファ ルー (Zhaohua Lu) 氏は、放射線治療後に収集された神経画像データを用いて、がん治療の影響を受けたさまざまな脳構造を持つ患者サブグループの神経認知の転帰を比較しています。

髄芽腫に伴う脳の構造変化に関するこの研究により、早期の予後予測やより的を絞った処置が可能になると期待されています。

「当チームでは神経画像データを使い、MRI の測定結果に基づいて患者をサブグループに分けています。放射線治療後のベースライン時の MRI 測定が、36 か月後の神経認知転帰を予測するための有力な判断材料となります」と、ルー氏は説明します。

この研究に NVIDIA DGX A100 を採用したルー氏のチームは、神経画像データから特徴抽出を行うための 3D 畳み込みオートエンコーダーを開発しました。今後の研究では、年齢、性別、治療強度などの潜在的な交絡因子を調査し、チームが提唱する仮説のさらなる裏付けとなる、より厳密なモデルの構築を目指す方針です。

UCSF が NVIDIA Clara で臨床放射線用途の研究を推進

画像化の需要が高まり、放射線科医に求められる作業が増えるなか、データの収集や推論からレビューや臨床診療に至るまで、放射線医学ワークフローのあらゆる段階に機械学習を組み込むことで、臨床チームは大学研究の恩恵を受けることができます。

こうした機械学習モデルの用途の 1 つに、患者の股関節部骨折を発見してトリアージに役立てるというものがあります。その分類アルゴリズムは物体検出によって左右の股関節を識別し、それを骨折の有無で分類したうえで、関節部に器具が使用されているかどうかを特定します。骨折が見つかると、その患者は速やかにレビューの最優先対象に回されます。

「私たちは以前、アルゴリズムを臨床ワークフローに取り入れる話を実際に進めていましたが、医師からは『そのためにクリックを 2 回もしている暇はない』と言われたのです。ワンクリックで医師がデータにたどり着けるようにする必要がありました」と、UCSF Center for Intelligent Imaging のデータ サイエンティストであるベック オルソン (Beck Olson) 氏は振り返ります。「効率の観点から、このようなワークフローに与えられた猶予はごくわずかです。それらの結果をシームレスに統合する必要があります」

UCSF のフレームワークでは、NVIDIA Clara Deploy SDK を使用して放射線科医の既存のワークフローにデータがルーティングされます。続いてこのデータは推論モデルへと送られ、NVIDIA Clara Train SDK 上で実行されているカスタム オペレーターを使用して定量化されます。

次にその結果はオープンソースの XNAT プラットフォームに送信され、臨床レビューが実施されます。臨床医はデータ サイエンティスト チームにフィードバックを提供することができ、それを受け取ったチームは機械学習モデルの再トレーニングを行います。その機械学習モデルを使用すれば、NVIDIA Clara Deploy が使用している推論モデルを更新でき、放射線科医にシームレスな体験を提供できます。

モダリティ メーカーが AI を活用して単一画像からさまざまな疾患を発見

外傷患者における複数の肋骨骨折からその重傷度がわかることがあります。それは、潜在的な呼吸不全や全死亡率を示す重要な指標となります。放射線科医は、手遅れになる前に時間と労力をかけてそのような怪我を見つけなければなりません。

NVIDIA Inception アクセラレーション プラットフォームのメンバーである上海拠点の United Imaging Intelligence (UII) では、AI を活用して医療機器の効率を高め、臨床ワークフローを最適化して、先端的な研究の促進を図っています。

「AI を医療従事者の『最良の友』にすることが、AI の正しい捉え方だと考えています。AI とは、医療従事者が業務をより適切に遂行できるよう支援するものであって、仕事を奪うものではないということです」と、UII America の CEO であるテレンス チェン (Terrence Chen) 氏は述べています。

AI を利用した UII のテクノロジでは、単一画像からさまざまな疾患を分析して検出できます。同社の uAI Portal は胸部 CT スキャンから、肋骨骨折、肺結節、リンパ節症のほか、肺炎や、新型コロナウイルス感染症、食道がん、脊髄腫瘍、乳房のしこりや病変などの疾患まで識別できます。

uAI テクノロジは NVIDIA JetPack SDK と Jetson 組み込みモジュール (Jetson TX2Jetson NanoXavier NX など) 上で実行されています。NVIDIA TensorRT によって、効率が最大 40% 向上するとともに、必要な GPU メモリが 50% 削減されます。

※4月に開催された上記のNVIDIA GPU テクノロジ カンファレンスのセッションの録画、およびその他の数多くのセッションは、NVIDIA On-Demand で無料でご視聴いただけます。


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