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ハーバード大学の研究者、AI で小児の失明原因に挑む

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小児の失明――その最も一般的な原因の 1 つは医師による予防が可能ですが、それは発見できた場合に限られます。

「未熟児網膜症」 (ROP) と呼ばれるその疾患は、出産予定日より早く生まれた、出生体重が最低レベルのもっとも脆弱な乳児、つまり出生体重が 2.75 ポンド (約 1,250 グラム) 未満、在胎週数 31 週未満の早産児に見られます。

ROP は早期発見できれば医師による治療が可能ですが、治療が必要なケースを判断するための客観的方法がありません。

ジャヤシュリー カルパシー クレーマー (Jayashree Kalpathy-Cramer) 氏は、AI なら状況を変えられると考えています。米国ハーバード大学医学部マサチューセッツ総合病院の Athinoula A. Martinos Center for Biomedical Imaging の研究者である同氏は、同僚の博士研究員であるジェームズ ブラウン (James Brown) 氏とともに、この疾患の重症度を自動判定できる GPU アクセラレーテッド ディープラーニング システムの開発を進めています。

同氏は次のように説明します。「ROP についてもっとも重要なことは、予防できるという点です。そして、ディープラーニングならこの領域に真の変化をもたらすことができるでしょう。」

1980 年代からの停滞

ROP は早産児の眼の成長が未熟なために起こります。網膜血管は生まれる数週間前に急成長しますが、この過程が中断されると、血管の発達が進まない、あるいは眼の異常な部位に血管が伸びてしまうことがあるためです。

この疾患は未熟児のほんの一部にしか発症しないないとはいえ、一生を左右しかねないものです。ROP はほとんどの場合自然治癒しますが、重篤なケースでは失明や、内斜視、弱視、緑内障、初期白内障などの眼疾患につながることもあります。

ROP のスクリーニングでは、医師が眼の血管の状態に応じて重症度順 (正常、Pre-Plus、Plus) に ROP を分類します。Plus と診断された場合は治療が必要です。医師による ROP のレベル判定は、1980 年代に専門医が選定した評価基準写真と網膜の状態 (またはそのデジタル画像) を照らし合わせて行われます。

驚くまでもなく、この 3 つのカテゴリの範囲をどこで線引きするかについて、専門医の間で大きく意見が分かれることはさまざまな研究から明らかです。

「私が最新のコンピューター ビジョン技術を利用して改善したいと思うのはこのあたりです」と、カルパシー クレーマー氏は言います。

診断の自動化

そこで同氏は、オレゴン健康科学大学のマイケル チェン (Michael Chiang) 博士率いる Imaging and Informatics in Retinopathy Consortium から専門医の診断に適合する 6,000 枚の画像のデータセットを入手しました。同氏とブラウン氏はこのデータを使って、標準、Pre-Plus、Plus の画像を識別できるようにディープ ニューラル ネットワークのトレーニングを行いました。

同氏は、ボストンのマサチューセッツ総合病院とブリガム アンド ウィメンズ病院が運営するクリニカル データ サイエンス センターにおける研究で、NVIDIA DGX-1 AI スーパーコンピューターとさまざまな cuDNN アクセラレーテッド ディープラーニング フレームワークを組み合わせて、ROP 診断用のアルゴリズムを開発しました。

そして次に、インドのアラビンド眼科病院と Bankers Retina Clinic and Laser Centre から提供された約 10 万枚の画像に対してアルゴリズムをテストした後、インドでのスクリーニング法としてそのアルゴリズムを試す予定です。

倒像検眼鏡で未熟児網膜症 (ROP) の兆候がないか乳児を検査する小児眼科医

専門医が不足する専門的診断

カルパシー クレーマー氏は、自身の手法を特に一流の眼科医が不足しがちな低所得国や中所得国で展開したいと熱望する一方で、長期的には、看護士が初期のスクリーニングに使用できる、安価な携帯機器を開発したいと考えています。

「私たちのアルゴリズムがうまく機能すれば、世界中で予防可能な失明の問題解決に向けて真の変化をもたらすことができるはずです」と、同氏は言います。

また同氏は、ディープラーニングを利用して小児の失明の診断を自動化し、発症を予防することを目的とした自身の研究について論文を提出しました。以下は、コンピューター ビジョンを利用した同氏の過去の研究に関する論文へのリンクです。

* この記事のメイン画像およびビデオは、米国立衛生研究所の国立眼病研究所から提供されたものです。


Jamie Beckett

Jamie most recently spent four years as director of communications at Stanford’s School of Engineering, and previously served as managing editor for Cisco’s newsroom and for HP Labs’ newsroom. She began her career as a journalist, and spent a decade at the San Francisco Chronicle. Earlier she worked at the Stamford Advocate, in Connecticut, where she was part of a team that was nominated for the Pulitzer Prize.

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