2016年6月1日~3日の期間、東京ビッグサイトにて開催された「JPCA SHOW 2016」(東6ホール)。この会場内で株式会社産業タイムズ社の発行する「電子デバイス産業新聞」により選考・授賞が行われる「第22回半導体・オブ・ザ・イヤー」の表彰式が行われました。
同賞は今年で22回目となり、最先端のIT機器・産業を支える半導体製品を表彰する、いわば日本の半導体関連製品の最高峰を決める賞となります。
半導体・オブ・ザ・イヤー2016 「半導体デバイス部門」
優秀賞トロフィー
3部門ごとに3製品(計9製品)が選出され、「半導体デバイス部門」の優秀賞にNVIDIA DRIVE PX 2が選出されました。これでNVIDIAが「半導体デバイス部門」の優秀賞を受賞したのは3回目となります。それでは同賞の授賞式の様子をお伝えします。
同賞の選考方法は、2015年4月から2016年3月までの間に発表された製品や技術(バージョンアップなども含む)を対象に、以下の3つの部門「半導体デバイス部門」「半導体製造装置部門」「半導体電子部品部門」を対象に、自由応募によるノミネートおよび電子デバイス産業新聞記者による対象製品・技術のノミネート製品や技術を、「開発の斬新製」「量産体制の構築」「社会に与えたインパクト」「将来性」などを基準に選考するものです。
今回NVIDIAが受賞した半導体デバイス部門は、半導体そのものだけでなく、それを取り巻く全体のシステム、いわば、現在NVIDIAが推し進めているNVIDIA GPUを活用した自動運転車のディープラーニングの成果に加え、ソリューションとしてのDRIVE PXプラットフォームが認められたということになります。
株式会社産業タイムズ社の代表取締役社長泉谷 渉氏は表彰式冒頭のあいさつで以下のように述べています。「2016年後半は半導体関連製品の需要に関してIoTが本格的に進むことにより急激に増加すると予想されています。
つまり2016年はIT成熟化の年であり、いっぽうでIoTというとんでもないものがやってくるという。この年に授賞された製品は、必ずや次の時代に役に立って行く製品であると、私はそう信じております。」
次いで選考に関わった電子デバイス産業新聞の編集長である津村明宏氏によって選考に関する以下のような説明がありました。
「今年は結果から言うと激選でした。というのも例年に比べて応募が多かったんですね。今年は半導体デバイス部門のノミネートが142点があり、選考に非常に多くの時間を費やしました」(津村氏)。
このことからDRIVE PX2は、142点という多数の優秀なノミネート製品の中から選ばれた栄えある受賞であることがわかりました。
また、津村氏は、DRIVE PX 2選考の理由として「NVIDIAさまの人工知能(AI)ですね。いま新聞を見て人工知能という文字が出てない日はないと思いますけれど、グラフィックスの技術センシングですね。カメラに映っているものが木なのか人間なのか、何なのか?ということを、GPUを使って瞬時に検証する技術に応用されようとしているところ、その最新製品で自動運転を実現する機能の中心的な役割、重要なキーパーツとなるところを評価しました」と語っています。
DRIVE PXプラットフォームをハードウェアやソフトウエアとして別々の機能に絞ったのではなく、ディープラーニング技術やセンシング技術を含めた自動運転システムのトータルソリューションとして評価してもらえたことになります。
NVIDIA日本オートモーティブ部 部長 浜田 勝
NVIDIA日本オートモーティブ部 部長の浜田 勝は受賞に関し「本日は栄えある賞をいただきありがとうございます。NVIDIAは元々、グラフィックスチップで描画をレンダリングする、2D描画や3Dレンダリングを行うチップだったわけですが、そのアーキテクチャがいまはディープラーニングの計算式に非常に合っているということで、いまはコンピューティングのプラットフォームを展開する会社になってきています」。と現在のNVIDIAが単なるグラフィックスチップベンダーにとどまらず、コンピューティングプラットフォームを提供する企業へと進化してきていること、そしてその進化の結果としてのDRIVE PXプラットフォームが認められたことを非常に喜んでいると述べました。
NVIDIA DRIVE PX 2は、自動運転において、その複雑な制御部分を人工知能によって実現可能な開発プラットフォームです。ハードウェアには先進のNVIDIA GPUであるTegra X1よりさらに新世代の「Tegra」プロセッサー2基と、最新アーキテクチャの「Pascal」2基を搭載しています。そして1秒間に24兆回もの演算を可能にします。
12個のビデオ・カメラとLIDAR(Light Detection and Ranging)、レーダー、超音波センサーを処理して、車両が置かれている状況を正確に判断し、障害物などを認識しながら、安全に走行できるルートを算出します。
NVIDIAのDRIVE PX 2は、ランチボックスと同程度のサイズでこの演算を行います。これは車のトランクMacBook Proを150台ほど積んで演算するのに匹敵する処理能力となります。
またNVIDIAはディープラーニングのソリューションについて、ディープラーニングを実際に処理するハードウェア「NVIDIA DGX-1」と「DRIVE PX 2」や「NVIDIA DIGITS」を組み合わせることによって自動運転システム、独自のカスタムECUを作成するエンドツーエンドの開発環境を用意しています。
「NVIDIA DIGITS」は、NVIDIA GPUベースのシステムであれば、デスクトップパソコンやワークステーションでも使うことができ、構築したディープラーニングを「NVIDIA DRIVENET」として蓄積し、その結果を車載のDRIVE PX 2で実行できます。これにより、これまで何年もの開発期間が必要だったところを、4時間もかからずに結果が得られるようになったとの評価も得ています。
このコンピューティングプラットフォームは、すでにNVIDIAのパートナー企業にて実際に導入されています。また、一般への提供も本年度秋ごろには開始されることになっています。