新年度になり、大学に戻る学生たちは、いま、昔よりはるかに多様なテクノロジを手にしていますし、その使い方に対する期待も膨らんでいます。
工学部の学生は、昔、研究室のワークステーションを使っていましたが、いまは、高度なプログラムを寮の自室から走らせたいと願うようになりました。美術専攻の学生は、昔、パワフルなスタジオ向けコンピュータを使っていましたが、いまは、Photoshopを自分のタブレットで使いたいと思うようになりました。
南カリフォルニア大学の新入生は、平均で3台のモバイル端末を所有しています。デューク大学やジョージア工科大学、マサチューセッツ州立大学など、ほかの大規模大学でも似たような状況となっています。
先日、NVIDIA GRID 2.0がリリースされた結果、ネット接続可能なあらゆる端末でもパワフルなワークステーションとして使えるようになりました。データセンタ側のGRIDテクノロジでグラフィックスが仮想化できる、つまり、端末側ではなくクラウド側でパワフルなアプリケーションを走らせることができるからです。
この方法がもたらすメリットはサーバ・ルームにとどまりません。GRIDで実現できる変化により、高等教育の習得も容易になるのです。GRIDを導入すると、教室や実験室の設備の柔軟性が高まります。カリキュラムの拡充も可能になります。IT管理もシンプルになります。
GRIDテクノロジの最新バージョン、NVIDIA GRID 2.0では、カリキュラムの仮想化が容易になりました。アプリケーション・パフォーマンスもユーザ密度も倍増しているからです。サーバ環境も、ブレード型とラック型の両方がサポートされました。また、WindowsでもLinuxでも使えます。
南カリフォルニア大学Viterbi工学部では、NVIDIA GRIDにより、テクノロジとインフラストラクチャへの投資を最大限に活用しています。
マサチューセッツ州立大学では、学生に自分の端末を持ってこさせるプログラム(BYOD: Bring-Your-Own-Device)を推進し、学生が好きな場所、好きな端末からアプリケーションやデータへ自由にアクセスできるようにしています。アプリケーションとデスクトップの仮想化により、まず、BYODをサポートしたわけです。
NVIDIA GRIDによる仮想化でITサポートの要求が緩和されたと、マサチューセッツ州立大学のITチームを率いるSteve Athanas氏は述べています。「データセンタにGRIDを導入した結果、利用が急増する秋の新学期についても心配する必要がなくなりました。すべてのアプリケーションが仮想デスクトップで走っており、ワークステーションに最新のOSやアプリケーションをマニュアルでロードする必要がなくなったからです。」
長期的には、教育を受けやすくし、その恩恵にあずかれる学生の幅を広げ、多様性を高めることも視野に入っています。マサチューセッツ州立大学に通うとあるシングル・マザーは、新しいテクノロジ・インフラストラクチャがあったおかげで大学の柔軟性が高まり、たくさんの講義を受けて学位を取ることができたと語ってくれました。
南カリフォルニア大学もデータセンタにGRIDを導入し、工学系ワークフローを可視化したのですが、その背景にはたくさんの理由があったそうです。まず、カリキュラムの拡張に伴ってラボを増やさなければならず、莫大な費用がかかることが予想されていました。既存の講義による需要の拡大にも対応する必要がありました。すべてのコンピュータについて、アプリケーション・ライセンス、パッチ、メンテナンス、アップグレードなどを適切に行い、最新の状態に保つ必要もありました。
ノースカロライナ州ダラムのデューク大学では、爆発的に増える医療画像の取り扱いにNVIDIA GRIDを活用し、かつてはごく一部の人しかアクセスできなかったデータに、臨床医や学生、研究者がどこからでも自由にアクセスできるようにしました。GRIDでデータ共有が可能となった結果、複雑な疾病についてデューク大学の学生や研究者が深く理解できるようになったわけです。
BYOD、GRIDでグラフィックスのテストに合格
昔は、2D・3Dアプリケーションでは高いグラフィックス性能が要求される点が、バーチャル環境の実現を妨げていました。
ジョージア州アトランタのジョージア工科大学工学部では、航空宇宙や生物医学、土木工学、機械工学などの学科でArcGIS、CATIA、Creo、Siemens NX、SOLIDWORKSといった3Dソフトウェアが使われています。これらのアプリケーションでは、すさまじいばかりのグラフィックス処理能力が必要となります。
ジョージア工科大学工学部では、データセンタにGRIDを導入することでパフォーマンスを底上げしました。その結果、特定のPCしか使えないという制限がなくなりました。学生は、自分のスケジュールに合わせて自由にカリキュラムをこなしていけるようになったのです。開講準備で教員がアプリケーションの試験や選定を行う場合も、スムーズにできるようになりました。学生が使うための準備も、ずっと簡単かつ短期間で整えられるようになりました。
GRID導入について、南カリフォルニア大学Viterbi工学部のMichael Goay氏は、次のように述べています。「GRIDの導入により、投資を最大限に活用することができました。アプリケーションの互換性を100%確保し、ワークステーションとまったく変わらないレベルにパフォーマンスを保ちつつ、ユーザ密度を増やすことができたのです。この結果、3Dアプリケーションを使うクラスをオンラインでもキャンパスでも増やしつつ、アプリケーションや講義、学生の数を大幅に増やすことが可能になりました。」