NVIDIA が AWS 上のアクセラレーテッド ロボティクス シミュレーションでフィジカル AI を進化

NVIDIA Isaac Sim が Amazon EC2 G6e インスタンスの NVIDIA L40S GPU で利用可能に。ロボティクス シミュレーションのスケーリングが 2 倍に、AI モデルのトレーニングも高速化
投稿者: Akhil Docca

Field AI は、ロボットが幅広い産業プロセスを自律的に管理可能にするロボットの頭脳を構築しています。Vention は、ロボット タスクの開発を容易にする事前トレーニング済みのスキルを作成しています。また、Cobot は、材料の移動を処理し、動的な環境に適応し、人間とシームレスに連携するように設計された AI 搭載コボット Proxie を提供しています。

これらの主要なロボティクス スタートアップはすべて、Amazon Web Services 上の NVIDIA Isaac Sim を使用して進歩を遂げています。Isaac Sim は、開発者が物理ベースの仮想環境で AI ドリブンのロボットをシミュレートおよびテストするための、NVIDIA Omniverse 上に構築されたリファレンス アプリケーションです。

NVIDIA は、AWS re:Invent において、Isaac Sim が NVIDIA L40S GPU によって高速化された Amazon Elastic Cloud Computing (EC2) G6e インスタンスで実行可能になったことを発表しました。また、クラウドネイティブのオーケストレーション プラットフォームである NVIDIA OSMO を使用すると、開発者は AWS コンピューティング インフラストラクチャ全体で複雑なロボティクス ワークフローを簡単に管理できるようになります。

クラウドで利用できる NVIDIA アクセラレーテッド ハードウェアとソフトウェアのこの組み合わせにより、あらゆる規模のチームがフィジカル AI ワークフローを拡張できます。

フィジカル AI は、物理世界を理解してやりとりできる AI モデルを表します。これは、自動運転車、産業用マニピュレーター、移動ロボット、ヒューマノイド、さらには工場や倉庫などのロボットが運営するインフラストラクチャなど、自律型マシンとロボットの次世代の波を体現しています。

フィジカルAI では、開発者はトレーニング、シミュレーション、推論のための 3 台のコンピューターによるソリューションを採用して、画期的な進歩を遂げています。

しかし、ロボットシステム用のフィジカル AI では、展開時に正確な推論を実現するために、堅牢なトレーニング データセットが必要です。ただし、そのようなデータセットを開発して実際の環境でテストすることは、非現実的でコストがかかる可能性があります。

この解決策となるのが、AI ドリブン ロボットのトレーニング、テスト、展開を大幅に加速できるシミュレーションです。

クラウドで L40S GPU を利用してロボットのシミュレーションとトレーニングを拡張

シミュレーションは、展開前にロボットの設計およびシステムやそのアルゴリズムを検証、妥当性の立証、最適化するために使用されます。また、シミュレーションは、建設や改造が始まる前に施設やシステムの設計を最適化して効率を最大限に高め、コストのかかる製造変更注文を減らすこともできます。

NVIDIA L40S GPU によって加速された Amazon EC2 G6e インスタンスは、以前のアーキテクチャに比べて 2 倍のパフォーマンス向上を実現しながら、シーンやシミュレーションの複雑さが増すにつれて拡張できる柔軟性も提供します。インスタンスは、AI ドリブン ロボットを動かす多くのコンピューター ビジョン モデルのトレーニングに使用されます。つまり、同じインスタンスを、データ生成からシミュレーション、モデルトレーニングまで、さまざまなタスクに拡張できるのです。

クラウドで NVIDIA OSMO を使用すると、オンプレミスでも AWS クラウドでも、チームは分散コンピューティング リソース全体で複雑なロボット開発ワークフローをオーケストレーションして拡張できます。

Isaac Sim は、最新のロボット シミュレーション機能とクラウドへのアクセスを提供し、コラボレーションを促進します。重要なワークフローの 1 つは、認識モデルのトレーニング用の合成データを生成することです。

カスタム合成データ生成 (SDG) パイプラインを構築するためのフレームワークであり、Isaac Sim のコア拡張機能である NVIDIA Omniverse ReplicatorNVIDIA NIM マイクロサービスを組み合わせたリファレンス ワークフローを使用すると、開発者は生成 AI 対応 SDG パイプラインを構築することができます。

これらには、Python USD コードを生成して OpenUSD クエリに応答するための USD Code NIM マイクロサービスと、自然言語または画像入力を使用して OpenUSD アセットを探索するための USD Search NIM マイクロサービスが含まれます。Edify 360 HDRi NIM マイクロサービスは 360 度の環境マップを生成し、Edify 3D NIM マイクロサービスはテキストまたは画像のプロンプトからすぐに編集できる 3D アセットを作成します。これにより、生成 AI の力を活用して、アセットの作成から画像の拡張まで、多くの手間がかかる手動の手順が削減され、合成データの生成プロセスが容易になります。

Omniverse Replicator と統合された Rendered.ai の合成データ エンジニアリング プラットフォームにより、企業はセキュリティやインテリジェンスから製造や農業まで、さまざまな業界で使用されているコンピュータービジョン モデル用の合成データの生成が可能になります。

IT コンサルティングおよびデジタル サービスプロバイダーの SoftServe は、Isaac Sim を使用して合成データを生成し、ヨーロッパの大手食品メーカーである Pfeifer & Langen と共同で垂直農法において使用されるロボットを検証しています。

Tata Consultancy Services は、実際のシナリオをシミュレートすることで自動車や自律走行車のユースケースに対応するために、Mobility AI スイートを強化するカスタム合成データ生成パイプラインを構築しています。その用途には、欠陥検出、最終工程の品質検査、危険回避などがあります。

シミュレーションでロボットになることを学ぶ

Isaac Sim を使用すると、開発者は物理的に正確なシミュレーションでロボットをテストおよび検証できますが、Isaac Sim 上に構築されたオープンソースのロボット学習フレームワークである Isaac Lab は、AWS Batch で実行できるロボットポリシーを構築するための仮想プレイグラウンドを提供します。

これらのシミュレーションは繰り返し可能なので、開発者は簡単にトラブルシューティングでき、検証とテストに必要なサイクル数を減らすことができます。

次のようなロボット開発者が、フィジカル AI を開発するために AWS 上の NVIDIA Isaac を採用しています。

  • Aescape のロボットは、Isaac Sim でオンボード センサーを正確にモデル化して調整することで、精密に調整されたマッサージを提供できます。
  • Cobot は、AI 搭載のコボット Proxie に Isaac Sim を使用して、倉庫、病院、製造現場などの物流を最適化しています。
  • Cohesive Robotics は、多品種製造環境で使用されるロボット ワークセルの開発と展開のために、Isaac Sim を Argus OS と呼ばれるソフトウェア フレームワークに統合しました。
  • ロボット基礎モデルを構築する Field AI は、Isaac Sim と Isaac Lab を使用して、建設、製造、石油・ガス、鉱業などの業界にわたる複雑で非構造化環境でのモデルのパフォーマンスを評価しています。
  • Standard Bots は、製造および機械加工セットアップで使用される R01 ロボットのパフォーマンスをシミュレートして検証しています。
  • Swiss Mile は、ロボット学習に Isaac Sim と Isaac Lab を使用して、車輪付き四足ロボットが工場や倉庫で新しいレベルの効率で自律的にタスクを実行できるようにしています。
  • フルスタックのクラウドベースの自動化プラットフォームを提供する Vention は、中小規模の製造企業が使用するロボットセルの新しい機能の開発とテストに Isaac Sim を活用しています。

AWS Marketplace で、NVIDIA L40S GPU を搭載した Amazon EC2 G6e インスタンスで現在利用可能な Isaac Sim 4.2 の詳細をご覧ください。