「In the NVIDIA Studio」 – 映像制作スタジオ Fabian&Fred と共にあらゆる恐怖に立ち向かう

by Gerardo Delgado · December 26, 2022

GeForce RTX 3090 GPU で高速化された Adobe Creative Cloud、Blender、DaVinci Resolve で制作した短編映画『I Am Not Afraid!』をご紹介します。

本ブログは、注目のアーティストを称え、クリエイティブ活動のヒントやコツを説明し、NVIDIA Studio テクノロジがクリエイティブワークフローを加速する様子を毎週紹介する「In the NVIDIA Studio」シリーズの最新号です。今回は、新しい GeForce RTX 40 シリーズ GPU の機能、テクノロジ、リソースをご紹介し、これらがどのようにしてコンテンツ制作を劇的に高速化するのかを深掘りします。

今週の「In the NVIDIA Studio」では、映像制作スタジオ Fabian&Fred が制作したショートフィルム『I Am Not Afraid!』を特集します。この作品で体現されているのは、子供のように純真な驚き、好奇心、想像力です。

さらに、NVIDIA Studio の #WinterArtChallenge の勢いは止まる気配がありません。本ブログの最後に注目のアート作品を紹介しています、ぜひご覧ください。投稿はまだまだ受付中です。

インスピレーションが欲しい方は、NVIDIA のアーティストのジェレミーライトキャップ (Jeremy Lightcap) と Adobe Substance 3D のエキスパートであるピエールマヒュート (Pierre Maheut) 氏による、NVIDIA Omniverse での冬をテーマにしたシーン制作の様子をご覧ください。NVIDIA Omniverse はメタバースアプリケーションを作成して作業するためのプラットフォームであり、アーティストはお気に入りの 3D デザインツールを接続することで、さらにシームレスなワークフローを実現できます。

感情を呼び起こす

Fabian&Fred の共同設立者であるファビアンドライホスト (Fabian Driehost) 氏とフレデリックシュルト (Frederic Schuld) 氏は約 10 年間にわたり、複雑な感情や社会的なトピックを敬遠することなく、あらゆる年齢層から理解を得られる、親近感を抱く物語に焦点を当ててきました。

ショートフィルムの主人公である Vanja は、自分の恐れに直面しています。

彼らの最新作の 1 つ『I Am Not Afraid!』では、Vanja という名前の少女が登場します。彼女は、勇敢であるということは自分自身の恐怖に立ち向かうことであり、自分より立派な人でも、この世界のすべての人たちが繰り返し恐怖を感じているということを知っています。

「暗闇を恐れる気持ちは誰にでもあるものです」と、Fabian&Fred は言います。

本作のコンセプトの元となったのは、ノルウェー出身の監督であるマリタマヨール (Marita Mayor) 氏が子供の頃の経験をチームに語ったことでした。このような感情的な瞬間が深い芸術的影響を与え、ビジュアルレイヤーをベースとしたフラットでミニマルな作風とそれにふさわしいカラーシステムが出来上がりました。

「自然から採用した構造、テクスチャに使用されるブラシストローク、そして子供の声を組み合わせました。これらはすべて、恐怖感が本物であることの証となる目的で使用しました」とチームは述べています。

脚本を片手に、プリプロダクション作業では物語のトーンに合わせて、さまざまなスケッチ、ムードボード、都会の隣人、都会に住む人、動物、植物の写真を用意しました。

ムードボードとスケッチが作品のトーンの支えとなります。

まずは Adobe Creative Cloud のクリエイティブアプリのスイートを使い、Adobe Photoshop で複数のキャラクターを作成することから始めました。ここで作られたキャラクターは Adobe Animate で整えられ、リグが組み込まれました。

アニメーションのキャラクターは、Premiere Pro でアニマティックを作成してボイスとサウンドのテストが行われました。Fabian&Fred をはじめとする制作スタジオは、新しい GeForce RTX 40 シリーズ GPU を使用すると、NVIDIA のデュアルエンコーダーによって書き出し時間がほぼ半分に短縮され、チームのレビューサイクルが高速化されます。

3D アセットは、Blender のビューポートで RTX アクセラレーテッド OptiX レイトレーシングによる Blender Cycles を使用することで、インタラクティブに鮮明なグラフィックス出力を見ながらモデリングされました。

Adobe Photoshop での下絵。

並行して、Adobe Illustrator できめ細かい大きな背景が作成されました。Illustrator のキャンバスは GPU で高速化されるので、Fabian&Fred は GeForce RTX 3090 GPU を使い、複雑なベクターグラフィックスをスムーズかつインタラクティブにパン、ズームイン、ズームアウトすることができました。

Adobe Illustrator で緻密に描かれた素晴らしい背景。

Fabian&Fred は再び Adobe Animate を使用し、コマ撮りアニメーションとリグアニメーションのテクニックを組み合わせて、すべてのアセットと背景を演出しました。サウンド制作はデジタルオーディオアプリの ProTools で行われ、最終的な合成作業は、2 人の思うがままに使うことができる 45 を超える RTX GPU アクセラレーション機能とエフェクトを備えた Adobe After Effects で完了しました。

最後に Fabian&Fred は『I Am Not Afraid!』の色の修正を、Blackmagic Design の DaVinci Resolve を使用して行いました。このアプリケーションは RTX GPU で高速化され、AI を活用した自動色補正機能を搭載しており、色相やコントラストを容易に改善できます。その後、手作業で最終的な仕上げを行いました。

新しい GeForce RTX 40 シリーズ GPU により、オブジェクトマスクなど、DaVinci Resolve の AI ツールが高速化されます。オブジェクトマスクはモーション映像の一部をフレームごとにロトスコープまたはハイライト表示する機能で、Blackmagic Design との緊密な協力により、前世代よりも 70% 高速化されています。

「私たちは NVIDIA と長期間にわたり、密接に協力してきました。今後も協力し続け、クリエイター向けにさらに画期的なツールやパフォーマンスを生み出せることを楽しみにしています」と、Blackmagic Design のソフトウェア開発ディレクターであるロヒトグプタ (Rohit Gupta) 氏は述べています。

「2D アニメーションもフォトグラメトリベースのリアルタイム 3D プロジェクトも、私たちの作品のすべてのプロジェクトが、信頼性の高い GeForce RTX GPU パフォーマンスの恩恵を受けています。」 – Fabian&Fred

GeForce RTX GPU によって、Fabian&Fred のクリエイティブワークフローのほぼすべてのステージがより速く、より簡単になっています。この強力なグラフィックスカードは最も困難で複雑なワークフローを高速化することはよく知られていますが、小規模なプロジェクトの効率化にも貢献します。

Fabian&Fred は共通の経験を振り返り、チームワークと多様性が彼らの強みであると口をそろえます。「私たちのスタジオでは、多文化のルーツを持つ人が集まってチームとなり、さまざまな方法で独自の映画を制作していますが、私たちの作品には多くの人々に訴えかける心の真実があります。」