NVIDIA と VMware の CEOが対談 : 新時代のエンタープライズコンピューティングとは

by Kevin Deierling · September 7, 2022

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現代に向けたエンタープライズコンピューティングの革新を進めている VMware の CEO、ラグーラグラム (Raghu Raghuram) 氏は、今週 NVIDIA DPU (データプロセシングユニット) 上で動作する VMware vSphere 8 エンタープライズワークロードプラットフォームの提供開始を発表しました。これは、以前 Project Monterey と呼ばれていたイニシアティブです。

この発表の背景として、ラグラム氏と NVIDIA の創業者/CEO のジェンスンフアン (Jensen Huang) は、BlueField 向けに VMware vSphere 8 を実行することがエンタープライズコンピューティングにとっていかに大きな出来事であり、これがデータセンターを完全に改革するものであるかについて語りました。

ラグラム氏は次のように述べました。「今日、私たちは NVIDIA AIを社内やデータセンターに導入している顧客を獲得しました。我々は連携して、エンタープライズコンピューティングの世界を変えようとしています。」

VMware Explore 2022 カンファレンスでの 20 分間の対談では、両社は、あらゆる企業にとって、AI が中心的な役割を果たすことに同意し、マルチテナントデータセンターやハイブリッドクラウドの開発とインフラ展開の加速の重要性が増大していると語りました。

この課題への取り組みとして、両社は、NVIDIA DPU を使用した AI 向けのエンドツーエンドのエンタープライズプラットフォームとデータセンター、クラウド、エッジ向けの新しいアーキテクチャを提供して、既存と次世代のアプリケーションをサポートするために、2 年前に提携を発表しました。

「パートナーと顧客にとってのリスクは高く、AI はすべての企業にとって『ミッションクリティカル』になっています。しかし調査によると、インフラストラクチャの複雑さが主な要因で、AI プロジェクトの半分が本番環境に移行できていないことが示されています」とラグラム氏が説明します。

たとえば、VMware と NVIDIA は、AI を活用して医用画像処理を高速化し、患者により良いサービスを提供するために、医療機関と協力しています。

NVIDIA は Carilion Clinic と共同で、バージニア州の最大級の医療機関が病院を未来に対応させている方法を VMware Explore で講演しました。

すべての企業向けの AI

新しい AI 対応アプリケーションには、レコメンダーシステム、音声および視覚分析、自然言語処理などがあります。

フアンは次のように話しました。「これは、NVIDIA と VMware の AI 対応エンタープライズプラットフォーム上で実行されます。NVIDIA の GPU と DPU によって高速化され、広範な VMware 製品に最適化されます。」

現在、多くの業界で VMware と NVIDIA の共同ソリューションが採用されていると、フアンは述べました。

例えば通信業界では、NTT コミュニケーションズがこのプラットフォームを基盤としたマルチテナントサービスを導入しています。(VMware Explore でのブレイクアウトセッション「NTTcom Enabling AI Applications for Enterprises in the Cloud」をご覧ください)。

VMware vSphere 8 と NVIDIA DPU

VMware vSphere 8 と NVIDIA DPU は、企業がクラウド、マルチテナントクラウド、ハイブリッドクラウド、ゼロトラストセキュリティを導入するために極めて重要になるでしょう。

ラグラム氏は次のように指摘しました。「現代の企業は、大量のデータを継続的に生成し、処理しています。」

「また、データセンター、ネットワークエッジ、マルチクラウドにわたって高度に分散したワークロードの新たな潮流が発生し始めています。」

「この新しい時代に、顧客はパフォーマンスとセキュリティの向上を必要としています」。

DPU は、パフォーマンスを高速化し、CPU サイクルを解放し、セキュリティを改善することで、新しいインフラストラクチャアーキテクチャにおいて非常に重要な役割を果たします。

ラグラム氏はさらに次のように述べました。「当社は、DPU 上で実行されるように vSphere の設計を見直しています。これにより、ネットワークやストレージ処理などのソフトウェアデファインドインフラストラクチャタスクがオフロードされます。」

「また、ストレージとネットワークの処理はすべて DPU で実行されるようになり、I/O が加速され、開発者のアジリティが向上します」。

NVIDIA BlueField DPU

フアンは次のように説明しました。「クラウドコンピューティングと AI によってデータセンターアーキテクチャの革新が推進されており、データセンターがコンピューティングの新たな単位となっています。」

「DPU は、新しいタイプのプロセッサであり、CPU の処理負荷を軽減し、ゼロトラストセキュリティモデルを実現します。」

アクセラレーテッドコンピューティングプラットフォームである NVIDIA BlueField DPU は、すべてのエンタープライズワークロード向けに設計され、NVIDIA AI 用に最適化されています」。

BlueField DPU は、データセンターのソフトウェアデファインドインフラストラクチャ (ネットワーキング、セキュリティ、ストレージ、仮想化) をオフロードし、高速化し、分離します。

「投資回収、DPU に対応した vSphere 8 と NVIDIA BlueField の組み合わせがもたらすメリットは、非常に速いでしょう。コンピューティングのために非常に多くのリソースが解放されるので、即時に回収されます。極めて大きなリターンが生じるでしょう」とフアンは述べました。

セキュリティの分離

ラグラム氏は次のように説明しました。「このアプローチは、今日のセキュリティの課題に対して理想的です。従来のアプローチは、ネットワークの境界に重点を置いたファイアウォールに基づいています。」

vSphere プラットフォーム、VMware NSX、半導体の進歩によって、「セキュリティを内在させることができるようになりました」とラグラム氏は付け加えました。

フアンは次のように述べました。「この新しいアプローチ、すなわち BlueField DPU 上で実行される NSX 分散ファイアウォールによって、実質的にすべてのタッチポイントですべてのノードの安全性が強化され、ゼロトラストセキュリティモデルがようやく実現されます。」

「これは、BlueField、vSphere 8、BlueField 上で実行される NSX が、驚異的な革命である理由です。実質的に、すべての個々のコンピューターにファイアウォールを持つことになります。」

vSphere on DPU

企業はすぐに始めることができます。ラグラム氏は、vSphere 8 リリースで vSphere on DPU が初めて提供されることを発表しました。このリリースでは、BlueField DPU 上で ESXi と NSX がサポートされます。

ラグラム氏は次のように述べました。「これを使用すると、DPU 上に機能をオフロードおよび高速化することで、インフラストラクチャのパフォーマンスを改善し、より多くのホストリソースをビジネスアプリケーションに提供できます。」

「これまで仮想化『パススルー』を利用していたレイテンシと帯域幅の影響を受けやすい特定のワークロードは、vMotion や DRS などの重要な vSphere の機能を失うことなく、この新しいアーキテクチャではパススルーと同等のパフォーマンスですべて仮想化して実行できるようになります。」

「インフラストラクチャの管理者は、vSphere を利用して、DPU のライフサイクルを管理することも可能になるため、運用上のオーバーヘッドを削減できます。また、企業は、DPU 上でインフラストラクチャドメインを分離することで、インフラストラクチャのセキュリティを高めることができます。」

「vSphere エンジニアによる仕事の素晴らしい点は、管理モデルを変更しなかったことです。このため、未来に対応する一方で、今日のデータセンターアーキテクチャにもシームレスに適応することができます。」

vSphere on BlueField DPU ソリューションを展示した、Dellと NVIDIA は VMware を使用したエンタープライズ AI プラットフォームを発表しています。NVIDIA GPU による AI アクセラレーション、BlueField DPU によるインフラストラクチャアクセラレーション、NVIDIA の高度な AI フレームワーク、vSphere による管理などが含まれています。

これらすべてが、Dell のサーバーと Dell VxRail ハイパーコンバージドインフラ上で稼働し、間もなく利用可能となります。これにより、お客様は使い慣れた VMware vSphere ツールを使用して、AI インフラストラクチャを導入、管理することができます。