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ISC 2022 での講演で、「ハイパースケールのデジタル ツインが驚異的なスーパーパワーをもたらす」という見解を NVIDIA の幹部が披露

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物理的なオブジェクトあるいはシステムをきわめて正確にデジタルで表現する手法、つまり「デジタル ツイン」が、産業の仮想化と AI を次の時代に導くと、NVIDIA と BMW の幹部が発言しました。

ドイツのハンブルクでの ISC 2022 カンファレンスの開会に際し、NVIDIA の Omniverse およびシミュレーション テクノロジ担当バイス プレジデントであるレヴ レバレディアン (Rev Lebaredian、左) が、BMW Group の生産システム、技術プランニングおよびツール ショップ担当シニア バイス プレジデントのマイケル メルキオーレ (Michele Melchiorre) 氏とともに登壇しました。

レバレディアンは、次のように述べています。「現実世界のような複雑さ、スケールおよび精度を備えた仮想世界が構築できるようになると、これを使ってとても多くのことができるようになります」

デジタル ツインの進化を主導する、多様なトレンドと技術の発展のあらましをレバレディアンが述べると、メルキオーレ氏は、BMW 自社社工場でのデジタル ツイン活用事例を詳細に紹介しました。

メルキオーレ氏は、デジタル ツインをツールとして使用し、BMW を「より効率的で、より環境に優しく、よりデジタル」にする計画について説明し、デジタル ツインとのリアルタイム コラボレーション、ならびにAI をトレーニングする方法について、「工場計画の革命」を起こすものとして話しました。

メルキオーレ氏が紹介した BMW iFACTORY イニシアティブのようなデジタル ツインは、リアルタイム データ、シミュレーションおよび機械学習を活用しており、Amazon Robotics や BMW などの企業がデジタル ツインを迅速に導入しているなかでも、代表的な導入例となっています。

これらのシステムは、我々が表現している世界と、これらの世界からリアルタイムに流れ込んでくるデータとを結びつける、とレバレディアンは説明しています。

レバレディアンは次のように話ました。「現在、NVIDIA が投入しようとしているのは、2 つの世界を結びつけるためのメカニズムです。これにより、物理的な世界のあらゆる変化を検知できるようになり、それをデジタル世界に反映できるようになります。そのリンクを構築できれば、私たちは、驚異的なスーパーパワーを手に入れられるようになるでしょう」

スーパーコンピューティングがあらゆる分野の発見に変革をもたらす

スーパーコンピューティング業界のテクノロジ、とりわけシミュレーションとデータセンター規模の GPU コンピューティングを主体としたものが、より幅広い世界に普及していることを示す、強力な実例です。

それと同じように、集約されたテクノロジがハイパフォーマンス コンピューティングを変容させている、とレバレディアンは言います。GPU アクセラレーテッド システムは、サイエンティフィック コンピューティングだけでなく、エッジ コンピューティングやデータセンター、クラウド システムでも主流となっています。

NVIDIA のシミュレーション テクノロジおよび Omniverse エンジニアリング担当バイス プレジデントであるレヴ レバレディアン (Rev Lebaredian) が、ISC 2022 で講演。

また、AI アクセラレーテッド GPU コンピューティングも、現代のハイパフォーマンス コンピューティングの要となっています。コンピューター グラフィックスの本来の目的である、シミュレーションでも、スーパーコンピューティングが活用されています。

コンピューター、アルゴリズムおよび AI はいずれも、産業規模で活用できるほどの複雑な世界をシミュレートできるほどに成熟しており、これらのシミュレーションを AI のトレーニングに使用することも可能になっています。

変曲点を迎えた世界のシミュレーション

デジタル ツインにより、新しいレベルのシミュレーションが可能になっている、とレバレディアンは言います。

このようなシミュレーションには、正確なタイミング、つまり複数の自律的なシステムを同時にシミュレーションする能力が必要となります。

そのためには、物理的に正確なシミュレーションが必要となります。

さらに、そのためには、「現実世界」から情報を正確に取り込み、継続的に同期させることが必要です。

デジタル ツインによる、これらのシミュレーションは、私たちに「スーパーパワー」を与えてくれます。

レバレディアンが最初に取り上げたのは、テレポーテーションでした。マルチプレイヤーのビデオゲームと同じように、地球上のあらゆる場所のあらゆる人が仮想世界にテレポートできる、とレバレディアンは言います。

次の話題は、タイムトラベルでした。

「時系列的に世界の状態を記録したら、任意の時点にその記録を呼び戻せるようになります。そうすることで、タイムトラベルが可能になります」とレバレディアンは言います。

「今はあちらの世界にテレポートできるだけでなく、タイムラインを移動して、任意の時間に戻り、その時間の空間を探索することができるのです」

最後は、これらのシミュレーションが十分に正確であるなら、私たちは次に起こることを把握できるようになる、という話でした。

「きわめて正確で、未来に起こることを実際に予測できるシミュレーターがあり、物理法則を十分に理解できていたら、基本的には未来へのタイムトラベルは可能です」とレバレディアンは言います。

「1 つのあり得る未来だけでなく、いくつものあり得る未来を計算できるようになります」とレバレディアンは言い、これによって都市計画者が、都市改良、道路計画、交通システムの変更などを行う際に、何が起こるのかを事前に見られるようになり、「最良の未来」を発見できるようになる、と説明しました。

現代のスーパーコンピューティングは、きわめて低いレイテンシで精度の高いタイミングのネットワーキングを必要とする、きわめて演算集約型のこれらのデジタル ツインを実現させようとしています。

「人工知能を本当に加速し、真にリアルタイムで大規模なシミュレーションを実行できる新しい種類のスーパーコンピューターが必要です」とレバレディアンは言います。

そのためには、精度の高いタイミングを可能にするに、システムのあらゆるレイヤーで最適化されている、GPU アクセラレーテッド システムが必要となります。

これらのシステムは、データセンターで機能するだけでなく、ネットワークのエッジも対象とし、データを正確なタイミングで仮想シミュレーションに送り込まなければなりません。

このようなシステムは、創薬のような小さいものから、気候シミュレーションのような大きいものまで、あらゆる規模の発展のカギとなるでしょう。

「私たちは、気候をシミュレーションしなければならず、はるか先のことまで見られるようにしなければなりません。前例のない精度で行わなければならず、さらにシミュレーションが実際に未来を予測可能であり、正確であると信用できるようにしなければなりません。もし、それが可能となれば、私たちは現在の気候変動の状況に対処する希望が持てるでしょう」とレバレディアンは言います。

BMW の iFACTORY: 「より効率的で、より環境に優しく、よりデジタルに」

BMW のメルキオーレ氏は、より効率的で、より環境に優しく、よりデジタルであることを求めている、BMW が現在、この広範なビジョンを実際の作業に組み込んでいる例を紹介しました。

BMW Group の生産システム、技術プランニングおよびツール ショップ担当シニア バイス プレジデントであるマイケル メルキオーレ氏。

BMW は、きわめて複雑なデジタル ツインを構築し、同じ時間、同じ空間で人間とロボットがやり取りをする工場のシミュレーションを行っています。

このシミュレーションは、工場の現場から同社のデータセンター、サプライチェーン全体にまで及んでいます。このデジタル ツインには、大規模なサプライチェーンに接続されている、数百万の可動部品および資材が含まれています。

メルキオーレ氏は、デジタル ツインで工場のさまざまな部分をデジタル ツインでシミュレートする例をいくつか紹介し、産業機械、ロボットおよび人間が一体となって作業する様子のシミュレーションを披露しました。

Omniverse を活用した、BMW の組み立てシステムのデジタル ツインの内側では、工場全体のシミュレーションが行われています。

メルキオーレ氏はさらに、NVIDIA のテクノロジを活用して、工場全体を建設前の段階からシミュレーションしているのだと語りました。

メルキオーレ氏は、ハンガリーにある、BMW の新工場が建設されている現場の航空写真を披露しました。現実世界の工場はまだほとんどが空き地の状態ですが、デジタル工場は 80% が完成しています。

「生産開始のずっと前から完全なデジタル ツインが完成された最初の工場となるでしょう」とメルキオーレ氏は話しました。

将来的には、100年の歴史を持つBMWの本拠地ミュンヘン工場から、近々オープンするハンガリーのデブレツェン工場まで、BMWのすべての工場でiFACTORYが実現するとメルキオーレ氏は説明しています。

「これは、単一の工場だけではなく、当社の生産ネットワークです。それぞれの工場がすべてこの方向に進み、あらゆる工場が BMW iFACTORY へと発展するというのが、未来に向けての当社のマスタープランです」とメルキオーレ氏は語りました。


Brian Caulfield

Brian Caulfield edits NVIDIA's corporate blog. Previously, he was a journalist with Forbes, Red Herring, and Business 2.0. He has also written for Wired magazine.

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