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NVIDIAとLockheed Martin、州および連邦森林局とタッグを組み、AI で山火事対策を実施

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シリコンバレーに新設されたラボでは、NVIDIA DGX システムと Omniverse を活用して炎をシミュレーションし、消火活動に取り組む

高温と乾燥が原因の大規模な山火事により世界中で広大な森林が消失しており、昨年の被害額は米国西部だけでも 200 億ドル近くにのぼるとも推定されています。

山火事への理解を深め、その拡大を食い止めるために、NVIDIA と Lockheed Martin は本日、AI とデジタル ツイン シミュレーションを利用して米国農務省森林局およびコロラド州防火管理局 (DFPC) と連携していることを発表しました。

両社はまた、山火事の予測と対応を専門とする、世界初の AI ラボを構築することを発表しています。このラボでは、NVIDIA の AI インフラストラクチャと NVIDIA Omniverse の高度なビジュアライゼーションおよび仮想世界シミュレーション プラットフォームを使用して火災の規模を整理し、その進行状況を予測します。このシステムは物理的に正確なデジタル ツインで火災を再現することにより、炎を最大限抑えられるアクションを提案することができます。

米国では今年、これまでに 650 万エーカー以上の山林で山火事が発生していますが、この問題は米国だけに留まりません。シベリアでは米国よりはるかに多くの土地が消失しており、地中海地域やオーストラリアでも未曾有の大火災に襲われています。

新しいシリコンバレー

シリコンバレーで建設が進んでいる NVIDIA の AI 開発ラボには、Lockheed Martin の Cognitive Mission Manager (CMM) システムが採用予定です。このシステムは、火災に関するリアルタイムのセンサー データを、燃える植物、地形、風などに関するデータ ソースと組み合わせて火災の広がりを予測する、AI 主導によるエンドツーエンドのプランニングおよびオーケストレーション プラットフォームです。CMM は、対応時間を短縮して山火事の抑制と人道的行動の効果を高めるための、行動方針に関する推奨事項を司令本部に提供します。

このラボはオープン コラボレーション スペースとしての役割を持ち、産業界やユーザーは CMM の設計に関する人材やリソースを集中させて NVIDIA Omniverse でプロトタイプを迅速に開発することができます。Lockheed Martin は、応用AI、プラットフォーム統合、計画、監視に関する専門知識を提供するほか、アプリケーション エンジニアやデータ サイエンティストといった数十人の人材を提供しています。NVIDIA は、ラボでの開発、モデル化、テスト、導入に役立つ、データ分析やシミュレーションに関する専門知識を提供しています。

Lockheed Martin は、データの処理や AI モデルのトレーニングにNVIDIA DGX システムを使用しています。また、火災を視覚化して火災がどのように広がるかを予測するために、同社は NVIDIA Omniverse Enterpriseを使用しています。

Lockheed Martin の AI担当プリンシパル アーキテクトであるシャシ ブーシャン (Shashi Bhushan) 氏は次のように述べています。「Lockheed Martin と NVIDIA のテクノロジが組み合わさることで、居住者へのリスクを軽減しながら、消防団員は山火事に迅速かつ効果的に対応できるようになる可能性があります」

デジタル ツインを使用して炎を視覚化

NVIDIA Omniverse により、火災挙動を分析する専門家は、周囲の環境のデジタル ツインを用いて予測を確認できます。Lockheed Martin は、マルチ GPU によってスケーラブルとなるリアルタイム シミュレーション プラットフォームを使用して、火の動きの予測結果を視覚化し、地形のデジタル レプリカ全体の流動を研究します。これにより、チームは NVIDIA Omniverse を複数のエリアで利用できるようになります。

防火業界は、Rothermel の延焼拡大モデルから生み出されたツールに頼って火災の進行を予測しています。Lockheed Martin のチームでは、このモデルを作成した森林局ミズーラ火災科学研究所 (Forestry Service Missoula Fire Sciences Lab) と連携して、AI が既存の火災前線予測法を迅速かつ正確に改善できる方法を模索しています。

Lockheed Martin のチームは NVIDIA Omniverse を使用することにより、Rothermel モデルと CMM アルゴリズムが火災を予測する方法を説明するだけでなく、実際のデータを使い過去の火災を再現して新しい AI モデルのトレーニング、開発、評価を加速させることができます。これによりエンジニアは、過去の火災がどのように進行したかを、両方のモデルから生成された予測と見比べて同時に比較できます。

また、NVIDIA Omniverse が提供する没入型デジタル ツイン環境により、緊急時対応要員、司令官、エンジニアは消火活動の影響を評価することができます。

ブーシャン氏は次のように語ります。「Omniverse には、デジタル環境をフォトリアリスティックに映す仮想世界があり、その中で、地形、斜面、風など、火災と火に影響を与える要因を視覚化することができます。近い将来、Omniverse のシーンに仮想アセットを飛ばして合成データを生成できるようになるでしょう。また、Omniverse のシミュレーションは、火災の応答挙動の調査に利用する AI ベースのモデルを新たに作成するための基盤になります。」

CMM の AI モデルは、赤外線カメラで撮影されたキャメロン ピークの火災の過去のデータを使用して、標高、傾斜、地形、風などの側面を考慮し、火災の進行状況を予測しました。その後、このデータは NVIDIA Omniverse のビジュアライゼーションおよびシミュレーション プラットフォームに入力され、そのプラットフォームで、上記のような火災のデジタル レプリカが作成されました。

CMM に携わる Lockheed Martin のエンジニアは、火災の予測を表示して消火のための行動指針をリアルタイムで提案できるよう、この技術を航空機のコックピットに組み込むことを目指しています。

米国およびコロラド州の消防機関との連携

モンタナ州にある 米国農務省森林局(USDA) ミズーラ火災科学研究所は、森林火災における最先端の研究を行っており、火災の分析やシミュレーションに役立つアプリケーション、データ、ソフトウェア、製品を提供してきました。同研究所は Rothermel の延焼拡大予測モデルを使用して、山火事の拡大と挙動を予測するツール FARSITEを開発しています。また、Lockheed Martin チームに火災の挙動と過去のデータに関する重要な専門知識を提供しています。

コロラド州消防局 (DFPC) は、Lockheed Martin と NVIDIA が開発している CMM AI テクノロジのパートナーであり、早くから採用しています。DFPC は、専門知識、ユーザー エクスペリエンス、フィードバック、およびリアルタイムのデータ収集によるプラットフォーム統合を提供してくれます。Lockheed Martin のチームは、マルチミッション航空機プログラムのチームとしても活動しており、オペレーションに参加してコロラド州の火災に関するデータをマルチミッション航空機から直接収集してマッピングしています。また、コロラド州消防局は NVIDIA Omniverse でのビジュアライゼーションのモデル化に利用できる過去の火災データも提供しています。この継続的なパートナーシップを通じて、Lockheed Martin のエンジニアは CMM を介して、航空機によってリアルタイムで観測された延焼中の山火事から取得したデータを処理して予測を行うことができ、消火活動中の人員を支援することができます。

Lockheed Martin と NVIDIA は、物理的にもデジタル ツイン環境内でも今後もコラボレーションを継続し、CMM の開発、発展に取り組んでいきます。いつの日か、山火事が発生しても迅速に対応して抑制できる無人航空機が実現することでしょう。

11 月 11 日までオンラインで開催している NVIDIA GTCでは、CMM チームのみなさんに、NVIDIA Omniverse を利用した火の動きの予測について、従来の方法による予測と CMM システムのアルゴリズムに基づく予測を実際に比較しながら説明していただきます。詳細については、Lockheed Martin の GTC セッションをご覧ください。


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