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NVIDIA の研究者がリアルタイム グラフィックスの画期的な進化を発表

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夏の主要なグラフィックス カンファレンスで、NVIDIA がアーティスト、クリエイター、ゲーマー向けのリアルタイム パス トレーシングおよびコンテンツ制作ツールを進化させる研究成果を公開

コンピューター グラフィックスと AI は、NVIDIA の基盤となる技術です。これらを組み合わせることで、「映画のような品質の 3D 画像をリアルタイムでレンダリングする」というクリエイターたちの目標の達成に近づいています。

NVIDIA Research は、今夏開催の一連のグラフィックス カンファレンスで、リアルタイム パストレーシングとコンテンツ制作における画期的な研究成果を発表しています。その多くは、最先端の AI 技術に基づくものです。これらのプロジェクトでは、リアルタイム レンダリングの水準を向上させる最新のツールを使って、グラフィックス関連のとりわけ困難な未解決の問題に取り組んでいます。

目標の 1 つは、毛皮や霧などの複雑な素材を通過する光のレンダリングのリアルさを向上させることです。もう 1 つの目標は、アーティストたちのクリエイティブなビジョンを、今まで以上に簡単に、生き生きとしたモデルやシーンに変換することです。

今週開催されている SIGGRAPH 2021、また最近開催された High-Performance Graphics カンファレンスEurographics Symposium on Rendering で発表されたこれらの研究成果は、NVIDIA RTX GPU がいかにしてフォトリアルなリアルタイム グラフィックスの可能性を広げることができるかを示すものです。

フォトリアルな画像をリアルタイムにレンダリングするためには、物理的な世界における光の法則をモデル化し、光を正確にシミュレーションする必要があります。現在知られている最も効果的なアプローチであるパストレーシングは、膨大な計算リソースを必要としますが、素晴らしい画像を提供できます。

専用のレイトレーシング ハードウェア、および AI モデルを効率的に評価できる高性能な Tensor コアを搭載した NVIDIA RTX プラットフォームは、このタスクを実行するのに最適です。しかし、それでもなお、高精細な画像のレンダリングが難しいケースもあります。

木々の間をうろついている虎を例に挙げて考察しましょう。

光を見る: リアルタイム パス トレーシング

完全にリアルなシーンを再現するためには、クリエイターは反射や影、目に見える靄などの複雑な照明効果をレンダリングする必要があります。

森の中のシーンでは、木の葉の間から差し込むまだらの太陽光が、霧の中に浮遊する水分子の間でかすんで見えます。このような霧、そして雲や埃っぽい表面などのリアルな画像をリアルタイムにレンダリングするのは、かつてであれば到底不可能なことでした。しかし、NVIDIA の研究者は、このような現象の視覚効果を 10 倍効率的に計算できる技術を開発しました。

虎は日光に照らされていたり、木の影になっていたりします。虎が木々の間を歩くと、足元の池にその姿が映り込みます。こうした直接反射と間接反射が混在する豊かなビジュアルの照明効果を演出するためには、シーン内の各ピクセルに対してそれぞれ何千ものパスを計算する必要があります。

このタスクをリアルタイムで解決するには、膨大なリソースが求められます。そこで NVIDIA の研究チームは、最終的な画像の見え方に貢献する可能性の高いライト パスや反射を優先的に処理するパスサンプリング アルゴリズムを開発し、従来の 100 倍以上の速さで画像をレンダリングすることに成功しました。

ニューラル ラディアンス キャッシング

NVIDIA の別の研究者グループは、「ニューラル ラディアンス キャッシング」という新技術によって、グローバル イルミネーションに画期的な成果をもたらしました。この手法では、NVIDIAのレイトレーシング用の RT コアと AI アクセラレーション用の Tensor コアの両方を使って、動的なシーンをレンダリングしながら、小型のニューラルネットワークをライブでトレーニングします。

ニューラルネットワークは、シーン全体での光の分布を学習します。このニューラルネットワークは、NVIDIA GeForce RTX 3090 GPU 上で動作する場合、1 秒間に 10 億以上のグローバル イルミネーション クエリを評価し、従来のインタラクティブなフレームレートでは実現できなかった虎の厚い毛皮を、豊かな光のディテールによって描き出します。

難しいテクスチャをシームレスに作成

レンダリング アルゴリズムの進化に伴い、利用可能な 3D コンテンツのレベルも、アルゴリズムが対応できる複雑さや豊かさについていくことが求められます。

NVIDIA の研究者は、リッチでリアルな 3D 環境をモデリングするコンテンツ制作者のためにさまざまな技術を開発することで、この分野に取り組んでいます。特に注目している分野の 1 つは、従来の技術ではシミュレーションが困難な、幾何学的な複雑性に富んだ素材です。

例えばポロシャツの織り目、カーペットの質感、草の葉などは、ピクセルのサイズよりもはるかに小さいことが多く、それらの表現を効率的に格納したり、レンダリングしたりするのは困難です。NVIDIA の研究者は、ニューラルネットワークを使ってこれらの難しい素材を再現し、照明に対する反応をコード化するためのアプローチである NeRF-Tex によって、この問題に取り組んでいます。

木を見て森を見る

複雑な幾何学的物体も、見る人との距離によって見え方が変わります。例えば、木の葉について考えてみましょう。近くで見ると、その枝や葉、樹皮などには膨大なディテールが含まれています。しかし遠くから見ると、それらはただの緑の塊にしか見えないでしょう。

描写されている森の反対側にある木の樹皮や葉をいくら細かく描き込んでも、時間の無駄になってしまいます。しかし、それらのモデルにズームインして目近で見るときには、できるだけリアルでなければなりません。

これはコンピューター グラフィックスの古くからの問題で「LOD (level of detail)」と呼ばれるものです。アーティストは、効率的なレンダリングを行う前提として、複数のバージョンの3Dオブジェクトを手作業でモデリングすることが多く、その負担に悩まされてきました。

このたび NVIDIA の研究者は、インバース レンダリングに基づき簡略化されたモデルを自動的に生成する新たなアプローチを開発しました。これによりクリエイターは、オリジナルと見分けがつかないほど最適化され、かつ、幾何学的な複雑さが大幅に軽減された簡略化モデルを生成することが可能になります。

SIGGRAPH 2021 における NVIDIAの取り組み

世界中の 200 人以上の科学者が NVIDIA Research チームを作り、AI、コンピューター グラフィックス、コンピューター ビジョン、自動運転車、ロボティクスなどに注力しています。SIGGRAPH 2021では、NVIDIAの研究者が以下の論文を発表しています:

8 月 11日午前 9 時 30 分 (日本時間) からのリアルタイム ライブ デモでは、NVIDIA Research がAI を活用したデジタル アバターを作成する様子をご覧いただけます。

また、8 月 12 日(日本時間)のパネル ディスカッションでは、リアルタイム グラフィックスの課題としての e スポーツについて議論します。インタラクティブな e スポーツのデモは、SIGGRAPH Emerging Technologies プログラムからオンデマンドで利用できます。

詳細については、SIGGRAPH 2021 での NVIDIA イベントの全ラインナップをご覧ください。


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