NVIDIA の創業者/CEO であるジェンスン フアン (Jensen Huang) から、NVIDIA の従業員に向けて、次のようなレターが送られました。
みなさん、こんにちは。
本日、Arm 買収についての正式契約を締結したことを発表しました。
30 年前、英国ケンブリッジのコンピューター サイエンティストのビジョナリー チームが、電力効率を最適化する、新しい CPU アーキテクチャと、広範な分野での採用を可能にするライセンシングのビジネスモデルを発明しました。エンジニアたちは、スマートフォンや PC から、クラウド データセンターやスーパーコンピューターに至る、あらゆるものに Arm CPU を組み込みました。驚くべきことに、1,800 億台のコンピューターに Arm が実装されました。今年だけでも、その数は 220 億台に達しています。Arm は、世界で最も普及しているCPU になっています。
同社の CEO であるサイモン シガース (Simon Segars) と Arm の人々は、コンピューター業界だけでなく、世界中のほぼすべてのテクノロジ市場を変容させました。
私たちは Arm とともに、AI 時代の最高峰のコンピューティング企業を生み出します。AI は、今の時代で最もパワフルな勢いのあるテクノロジです。データから学習するAI スーパーコンピューターは、人間には書けないようなソフトウェアを書くことができます。驚くことに、AI ソフトウェアは環境を認識して、最高のプランを推論し、インテリジェントに行動することができるのです。この新しい形式のソフトウェアにより、世界のすべての街角にコンピューティングがもたらされるようになるでしょう。いつの日か、AI を実行する数兆台のコンピューターが、現在のヒトのインターネット (internet-of-people) の数千倍の規模を持つ、新しいモノのインターネット (internet-of-things) を生み出すようになるでしょう。
NVIDIA の AI コンピューティングと広大に普及された Arm CPU が一体となると、私たちは、非常に優れた AI がもたらす、前途に待ち受ける絶好の機会を活かして、クラウド、スマートフォン、PC、自動運転車、ロボティクス、5G および IoT でのコンピューティングをさらに前進させることができるようになるでしょう。
NVIDIA は、世界をリードする AI テクノロジを Arm のエコシステムに提供することで、現在 200 万人の開発者が利用している NVIDIA のテクノロジを、1,500 万人以上のソフトウェア開発者に届けることができるようになります。
NVIDIA の研究開発の規模は、Arm のロードマップの進捗を早め、データセンター、エッジ AI および IoTの機会を加速します。
Arm のビジネスモデルは、すばらしいです。私たちは、同社のオープンライセンシング モデルとお客様との中立的な関係性を維持して、世界中のあらゆる業界のお客様にご利用いただき、世界をリードする NVIDIA の GPU と AI テクノロジによって、Arm の IP ライセンシング ポートフォリオをさらに拡大させてまいります。
Arm の本社はケンブリッジに存続し、英国のテクノロジ エコシステムの中心であり続けます。NVIDIA は、Arm の名称と強固なブランド アイデンティティをそのまま残します。サイモンと彼の経営チームは、NVIDIA に加わることを楽しみにしています。
Arm が拠点を置いているからこそ、NVIDIA は英国において最小限の投資で成果を得ることができます。私たちは、NVIDIA の Turing GPU という名称の元になっているアラン チューリング、および Isaac ロボティクス プラットフォームに名前が冠せられたアイザック ニュートンを生んだ大学の街、ケンブリッジにワールドクラスの AI 研究センターを開設します。この NVIDIA の研究センターには、Arm CPU を活用した、最先端の AI スーパーコンピューターが設置されます。このコンピューティング インフラストラクチャは、ヘルスケア、ライフサイエンス、ロボティクス、自動運転車、その他の分野で画期的な研究を行っている、世界中の研究者から大いに注目されるようになるでしょう。このセンターは、大学、業界のパートナーおよびスタートアップ企業と連携するための、ヨーロッパのハブとして機能します。この場所は、ヨーロッパの NVIDIA Deep Learning Institute にもなり、このすばらしい AI テクノロジの利用方法を学ぶ場となります。
Arm と NVIDIA の社員が作り上げた基盤があったからこそ、AI の時代にトップクラスのコンピューティング企業を作り上げるという、このすばらしい機会がもたらされるようになりました。両社の融合が生み出す可能性は、計り知れません。
今から楽しみでなりません。
ジェンスン