NVIDIA が GPU アクセラレーションでゲノミクスを促進、医用画像 AI の初の利用を可能に
NVIDIA のディープラーニング技術やアクセラレーテッド コンピューティング技術の貢献により、ついにゲノミクスが主流になる準備が整いました。
2003 年にヒトゲノムの配列が初めて完全に解読されて以来、全ゲノム解読のコストがムーアの法則で予測されていたよりもはるかに速いペースで着実に縮小しました。新生児のゲノム解読から、国家的な集団ゲノミクス プログラムの実施まで、この分野は日増しに勢いを得ると共に、パーソナライズも進んでいます。
解読技術の進歩は、ゲノム データの爆発的増加につながりました。解読データの総量は 7 か月ごとに倍増しています。この恐ろしいほどのペースが続けば、2025 年にはゲノミクスのデータ量が、天文学や Twitter、YouTube といった他のビッグ データ ソースから生成されるデータの 10 倍を超え、2 桁台のエクサバイトにまで達することも考えられます。
この技術の幅広い利用を後押ししているのが、世界最大のゲノミクス研究グループ BGI Group の DNBSEQ-T7 をはじめとする最新の解読システムです。DNBSEQ-T7 は、なんと 1 日あたり 60 個のゲノム (6 テラバイトのデータに相当) を生成します。
BGI のフロー セル技術の進歩と、2 基の NVIDIA V100 Tensor コア GPU を使用した高速化によって、DNBSEQ-T7 の解読スピードは 50 倍になり、過去最高のスループットを備えたゲノム解読システムとなりました。
コストの低減と解読時間の短縮により、一刻を争う集中治療における新生児のゲノム解読機能などの新たなユース ケースが続々と出現しています。
ゲノム解析のボトルネックを解消: GPU で高速化する GATK
各ゲノミクス コミュニティが、引き続き DNA から新たな洞察を引き出そうと取り組んでいます。最近のブレイクスルーには、細胞レベルで変異を理解するためのシングルセル解析や、血中循環 DNA を用いたがんの検出と監視を行う液体生検などがあります。
一方、ゲノム解析はこれまでゲノム解読パイプラインにおけるコンピューティングのボトルネックとなってきましたが、その問題は GPU アクセラレーションによって解消できます。
主要なゲノム解析パイプラインに継続的な GPU アクセラレーションのロードマップを提供するために、ミシガン州アナーバーに拠点を置くゲノミクス用 GPU ソフトウェアの開発元である Parabricks のチームが、NVIDIA のヘルスケア担当チームに加わることを、このたび GTC China で登壇した NVIDIA の創業者兼 CEO のジェンスン フアン (Jensen Huang) が発表しました。
BGI と連携することで、Parabricks のソフトウェアは、1 時間足らずでゲノム解析を行えるようになりました。8 基の NVIDIA T4 Tensor コア GPU を搭載したサーバーを使って、BGI は、スループットがゲノム解読のコストを 2 ドル (既存システムのコストの半分以下) まで削減できることを証明したのです。
スマートな医療機器でもっと詳しく、もっと効率的に
医療業界全体で新しい医療機器の開発が進められています。たとえば United Imaging Healthcare は、業界初の医療機器を 2 つ発表しました。1 つ目の「uEXPLORER」は、世界初の全身 PET-CT スキャナーです。同じ体勢で全身を撮影できるその先駆的な機能によって、全身のトレーサー分布の迅速かつ継続的な追跡が可能になります。
全身の撮影に対応した uEXPLORER によって、スキャン時間を大幅に短縮できます。30 秒という短い時間でスキャンできるにもかかわらず、スキャンに 20 分以上かかる従来のシステムよりも高画質を実現します。また、uEXPLORER は、トレーサー量においても新たな基準を打ち立てており、通常量のおよそ 50 分の 1 で画質を損なわず画像化することができます。
FDA の承認を得たこのシステムは、NVIDIA V100 Tensor コア GPU を 16 基と、Mellanox の 56 GB/秒 InfiniBand ネットワーク リンクを 8 つ採用し、最大 1 テラバイトのデータを取得できる動画のようなスキャンを処理します。科学者チームがこのシステムの設計に協力したカリフォルニア大学デービス校では、このシステムがすでに展開されています。また、Nature 誌の記事や、YouTube で 50 万人近くの視聴者が見たビデオでも、このシステムが取り上げられています。
United Imaging Healthcare の 2 つ目の画期的なシステムである「uRT-Linac」は、検出から予防まで一連の放射線治療をサポートする初の装置です。
この装置によって、へき地の村にいる患者が一度だけの長距離移動でもっとも近い診療所で診断検査と治療を受けるだけで済むようになります。uRT-Linac は、CT での撮影と、治療計画の策定を支援する AI 処理と、放射線治療提供システムによるシミュレーションを組み合わせたものです。多様な技術と AI を利用することで、United Imaging Healthcare はがん治療の提供のあり方を変えました。
幅広い分野で、信号や画像の処理、ワークフローの最適化、データ分析などを強化するために AI を利用するスマートな医療機器の数が増えています。
また近い将来には、患者が危険な状態にある場合に感知できる患者監視装置や、手術中に外科医にガイドを提供できるスマート内視鏡が登場するでしょう。将来的に病院内のすべてのセンサーに AI 搭載機能が採用されると言っても過言ではありません。
NVIDIAが最近発表した開発者向けキット NVIDIA Clara AGX によって、このトレンドへの対応が容易になります。Clara AGX は、NVIDIA Xavier SoC と Volta Tensor コア GPU をベースとするハードウェアで構成され、Clara AGX ソフトウェア開発キットが付属しています。そのため、医療のスマート化とパーソナライズの両方を促進するスマートな医療機器の普及を実現できます。
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