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DRIVE ラボ: Safety Force Field で衝突を回避

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Safety Force Field (SFF) は、車両の衝突を避けるために特別に設計された車載用ソフトウェアです。搭載車両のプランニングと制御を司るプライマリ システム (人による運転または自動運転) による行動を独立して監視する役割を担います。具体的には、プライマリ システムによって選択された制御に対するダブルチェックをリアルタイムで行い、その制御が安全でないと判断した場合は、プライマリ システムの決定を拒否して修正を行います。

SFF は、すべての道路利用者が SFF に準拠していて、知覚と車両制御が想定された設計マージンの範囲内の場合、車両の衝突がゼロになることを数学的に実証可能であるという点で、安全性が証明されます。

SFF のしくみ

SFF は各種センサーから収集される知覚データを基に、自車両周辺の道路環境で検知したすべての物体に対し物理学ベースのシミュレーションを行います。そのシミュレーションの計算では「安全手順」を実行します。安全手順とは、各物体を安全に停止させるための軌道のことです。たとえば、ある安全手順はブレーキ操作だけであったり、別の安全手順では走行方向に合わせたハンドル操作の後でブレーキ操作を行うと定義することもできます。

各物体は特定の軌道を描きます。もっと正式に言えば、この軌道とは、安全手順の実行中に物理的に占有する時空間の広さのことです (NVIDIAではこれを車両の「Claimed Set」 (要求セット) と呼んでいます)。各物体の要求セットが重なるということは、いずれはそれらの物体が同時に同じ空間を占有する、つまり衝突するリスクがあるということを意味します。要求セットが重なる状況が生じると、SFF は即座にそれらの物体にその状況を緩和するための行動をとるよう命令し、物体ごとに最適なリアルタイム制御コマンドを計算します。

物体ごとにどのような制御コマンドが最適かを判断するため、SFF では潜在的安全性と呼ばれる数学関数 (与えられた状況での安全性を示す数値指標) を利用します。そして、物体間の要求セットの重なりに対し摂動解析を行い、どの制御行動が衝突回避に役立つか、そしてそれらが基本の安全手順と比べどのくらい有効かを確認します。

画像: 自車両の要求セット (黄色) が、自車両に対し適切に道を譲っていない左折車両の要求セット (ピンク) と重なっている様子。自車両に搭載された SFF は、ブレーキで介入し、衝突を避けます。

SFF は、制御コマンドのあらゆる選択肢の中から、プライマリ システムによって計画された制御に対してもっとも混乱の少ない、かつ安全手順の安全性と同等以上になるブレーキ操作とハンドル操作の組み合わせを選びます。このプロセスでは、車両のハンドルを操作しながらブレーキ操作を行うという選択肢もあり得ます。急ブレーキだけで前方車両との衝突を避けることができない場合は、待避可能な路肩へとハンドルを切るという人間のドライバーの的確な直感が再現されます。

SFF は、観測された速度と加速度でのシミュレーションのみではなく、安全手順を実行した場合の物体をシミュレートします。なぜなら、安全手順は、常に安全性の観点から許容される制御行動に基づいて定義されているためです。安全手順の実行では、シーン内のすべての物体が停止するまでのシミュレーションが行われます。その時点で、衝突が起こる可能性がないことが保証されるわけです。

縦方向と横方向の要素を考慮する

完全な 3 次元時空間で行われる SFF のシミュレーションと衝突確認に必要な計算は、GPU コンピューティングによって加速されます。両方の処理を 3 次元で行うには、それらの処理を縦方向と横方向で別々の要素に分けて行うよりも高い演算能力が求められます。

現実世界では、縦方向と横方向のどちらにも障害物がある中で安全に運転しなければいけない状況 (渋滞した道路での車線変更など) も多いため、縦方向と横方向の要素を合わせて考慮することが重要になります。それどころか、車線の境界線が消えている場合や駐車場での走行といった実際のシナリオでは、横方向がはっきりしない場合さえあります。そのような複雑なシナリオに即座に対処できるという点も、SFF ならではの特徴といえます。

実際の車内実装についても、SFF には、現実世界での反応時間のほか、その他の自動運転用ソフトウェア コンポーネントやサブシステムにおける不完全性や遅延時間などを考慮した、安全手順マージンが組み込まれています。

Safety Force Field の詳細については、SFF に関するホワイト ペーパーをご確認ください。

DRIVE ラボ シリーズの他のブログは、以下よりご覧ください。


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