NVIDIA の CEO であるジェンスン・フアン (Jen-Hsun Huang) は今年、NVIDIA DGX-1 ワンボックス AI スーパーコンピューターを、カリフォルニア大学バークレー校のバークレー AI 研究所 (BAIR) に提供しました。
BAIR の 20 人あまりの教職員と 100 人を超える大学院生は、最先端のマルチモーダル ディープラーニング、人間共存型 AI、他の科学分野や人文科学と AI との連携に取り組んでいます。
「最初の製品の 1 つをこの研究所に提供することができ、大変うれしく思います」ジェンスン・フアンは、BAIR の研究者グループに DGX-1 が到着したことを祝い、こう述べました。
AI のスピードに対するニーズ
BAIR のチームは、幅広い分野にわたり、目がくらむほど多数の AI の問題を研究しており、できる限り多くの異なるアプローチを利用した実験に、熱心に取り組んでいます。
これらの実験を行うためにはスピードが重要であることを、UC バークレー校の電気工学およびコンピューター サイエンス学部のピーター アビール (Pieter Abbeel) 准教授は話します。
「コンピューティング能力が高まれば高まるほど、すぐに、より多くのアイデアが調査され、試され、調整されて、実際に機能するようになります。現在のところ、実験にはおそらく、数時間から 2、3 日程度を要する場合が多いため、10 倍スピードアップできるようなものを手に入れられれば、実験に要する時間を現在の時間から大きく短縮し、すぐに次のアイデアを試せるようになるでしょう。」
自動運転
そのスピード、そして大量のデータを管理する能力は、ディープラーニングにおける画期的な進歩への鍵であり、同様に、公道など人々が毎日行き来する環境を、コンピューターが行き来できるよう支援するための鍵である、と説明するのは、UC バークレー校の電子工学およびコンピューター サイエンス学部、工学の Paul and Stacy Jacobs 財団特別教授であるジョン カニー (John Canny) 氏です。
カニー教授は、次のように述べています。「運転において、ドライバーは自ら得た経験により、何年も何十年も運転技術が向上し続けます。機械学習において、ディープラーニングは、現在のところ、それほど大きなサイズのデータ セットをうまく使いこなせないため、私たちが関心をもっているのは、そのような巨大なデータ セットを収集し、処理し、活用することです。」
自動車は、それ自体の経験のみならず、他の数百万もの車両の経験からも学習し、大幅な安全性の向上を保証する、と説明するのは、UC バークレー校の電子工学およびコンピューター サイエンス学部のトレバー ダーネル (Trevor Darnell) 教授です。
ダーネル教授は述べています。「しかし、それは氷山の一角にすぎません。輸送とロジスティクス、つまり、ものを単に移動するプロセス (小包をこちらからあちらへ移動したい場合など) においても変革が起こるでしょう。私たちが、すべての物やサービスを運ぶ、あらゆる種類のサイズに対応した自律型車両を手に入れることができるとしたら、私たちにどれほどの生産性がもたらされるのか、想像もできません。」
日常生活のロボット工学
機械に自らの経験から学習する能力を与えることは、ロボットが工場から家庭やオフィス、病院など、より予測困難な環境へ進出する支援の鍵にもなる、とアビール准教授は言います。
「重要になってくるのは、これらのロボットが、これまでに見たことのない新しい状況に順応できることです。ここでの大きな課題は、これらのロボットにこれまでに見たことのない状況を理解させ、それでもなお適切な行動をとる人工知能を、いかにして構築するかという点です。」
ディープラーニングは、すでに日常的に使用されている Web サービスの一部であり、機械による情報の分類 (音声認識や画像認識など) を支援しますが、アビール准教授と彼の同僚は、機械がそれ自体で意思決定を行うよう支援する方法を研究しています。
「強化学習」と呼ばれるこの新しいアプローチは、機械が複雑な環境を理解し、行き来できるようにする支援に有望である、とアビール准教授は説明します。
環境から学習するのみならず、冒しているリスクを判断できる機械の構築は、よりスマートなロボットを構築する鍵である、と UC バークレー校の電子工学およびコンピューター サイエンス学部のセルゲイ レビーン (Sergey Levine) 助教授は説明します。
たとえば、飛行するロボットは、みるみるうちに変化する環境に適応する必要があるのみならず、飛行中に冒しているリスクも意識する必要があります。「私たちは、ディープラーニングを利用してディープ ニューラル ネットワークの飛行時のポリシーを確立し、結果をよく理解できないような行動をとらないよう、ロボット自体の不確かさを認識できるようにします」とレビーン助教は言います。
AI による変革を加速
このような新しいアプローチは、究極の、より役立つ機械を研究者が構築する支援に有望です。DGX-1 の GPU と統合されたソフトウェアのスピード、およびそれらの間の接続は、BAIR がこれまでよりも迅速にこれらの新しいアイデアを検討するのに役立ちます。
ダーネル教授は言います。「どれほど高いコンピューティング能力を持っているかということと、どれほど多くの実験を行えるかということの間には、比例関係のようなものがあります。そして、どれだけ多くの実験を行えるかにより、どれほど多くの知識を得たり、発見できるかが決まります。」
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