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ディープラーニングで地球外生命体の探索が加速

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はるか昔、ゼウスが少年だったころから、人々は夜空を眺め、地球外の生命体に思いをはせてきました。そして今、ディープラーニングがその謎に迫ろうとしています。

ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの天文学者チームによって考案されたディープラーニング・システムでは、生命体が存在する可能性のある惑星を発見しようと、かなた遠くのさまざまな太陽系についてトレーニングされた望遠鏡からのデータをふるいにかけています。

同大学の博士課程を修了した研究者であり、システムの開発チームを率いるインゴ・バルトマン(Ingo Waldmann)氏は、次のように述べています。「私たちは、さらに研究を進める価値のある惑星を見極めるとともに、その作業を自動化したいと考えています」

同氏は、このGPUアクセラレーテッド・ディープラーニング・プログラムを「RobERt」と呼んでいます。これは「Robotic Exoplanet Recognition」(ロボットによる太陽系外惑星認識システム)の略称です。太陽系外惑星とは、私たちの太陽系の外にある惑星のことです。また、ディープラーニングとは、人工知能の一種であり、人間に近い精度で画像認識や音声認識などのタスクを実行できるようコンピューターをトレーニングする手法です。

ディープラーニングはいかに宇宙生命体の気配を発見するのか

RobERtは、望遠鏡で収集されたデータを活用して、太陽系外惑星の大気を通過する光を分析し、メタンや二酸化炭素など、生物活動につながるガスが存在するかどうか調べます。

なぜ光を利用するかというと、異なる種類の分子は特定波長の光を吸収し放出するので、それぞれの分子が光スペクトルにおいて固有の「指紋」を持つためです。その光の指紋、すなわち「パターン」によって、天文学者はどの種類のガスが存在するのか知ることができます。

バルトマン氏は、次のように説明します。「われわれ人類は、そうしたパターンを見つけ、経験からそれらにラベルを付けることが非常に得意ですが、その作業にはとても時間がかかります。しかし、RobERtなら、通常は数日から数週間かかる作業を、ほんの数秒で完了できるのです」

同氏とそのチームは、CUDA Pythonを、NVIDIA Tesla K80 GPUおよびTesla K40 GPUアクセラレータと組み合わせて使用し、シミュレートされた85,000を超える光波長と5種類の太陽系外惑星について独自のディープ・ニューラル・ネットワークのトレーニングを行いました。各光スペクトルは、それぞれ1種類のガスの指紋を持っていました。

ケプラー186fnの画像
ケプラー186fは、ハビタブル・ゾーン(生命が存在する可能性のある領域)内で発見された初の岩石惑星です。
(画像提供:NASA Ames/JPL-Caltech/T. Pyle)

AIがかなた遠くのさまざまな太陽系の謎に迫る. . .

研究者チームは、ハッブル宇宙望遠鏡からのデータに対してRobERtを使用しました。本当の挑戦は、今後10年間、より強力な望遠鏡の打ち上げと大がかりな宇宙ミッションの始動とともに始まるだろう、とバルトマン氏は言います。その第一弾が、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡です。この望遠鏡は、宇宙で最初に生まれた銀河を観測することを目的とした赤外線望遠鏡であり、2018年の打ち上げを目途に開発が進められています。

バルトマン氏は、次のように話します。「これらのミッションから途方もない量のデータが生まれるはずです。そのデータを分析し、遠く離れた世界の実態を解明するなかで、RobERtがきわめて重要な役割を果たすことになるでしょう」

同氏の目標は、この望遠鏡からデータを取得し、対象となる惑星のガス、分子、気候、化学的性質の分析を行う自動システムを開発することです。すでに科学者は、私たちの太陽系が銀河系における標準的存在でなく、きわめて低温の氷でできた惑星から、ホット・ジュピターのような非常に高温の巨大惑星まで、あらゆる惑星が銀河系に含まれていることを知っています。

. . .そして、私たちの太陽系の謎にも

このようなデータにより、研究者は、はるか遠くのさまざまな太陽系が形成されたしくみをより深く理解できるようになります。異なる太陽系の統計サンプルを調べることができれば、まだほとんど解明されていない私たちの太陽系が誕生した経緯についても明らかになるだろう、とバルトマン氏は言います。

そして、同氏は次のように続けます。「1995年以前は、私たちの太陽系が唯一知られていた太陽系でした。それが今では2,500以上見つかっています。これほど多くのデータをすべて解明し、銀河系のより壮大なコンテキストの中で私たちの太陽系を考えるには、RobERtのようなAIシステムがますます必要になるでしょう」


Jamie Beckett

Jamie most recently spent four years as director of communications at Stanford’s School of Engineering, and previously served as managing editor for Cisco’s newsroom and for HP Labs’ newsroom. She began her career as a journalist, and spent a decade at the San Francisco Chronicle. Earlier she worked at the Stamford Advocate, in Connecticut, where she was part of a team that was nominated for the Pulitzer Prize.

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