誰にでも英雄はいる――ディープラーニングの先駆者の1人、Baiduのチーフ・サイエンティストであるアンドリュー・ウン(Andrew Ng)氏は、我々にとってそんな英雄の1人です。
そこで、NVIDIAのCEOであるジェンスン・フアン(Jen-Hsun Huang)は、スタンフォード大学での輝かしい真夏の夜に、ディープラーニングの専門家が一堂に会した「NVIDIA TITAN X」の発表会場を盛り上げようと、NVIDIA最上位モデルの最新GPUをウン氏に贈呈することにしました。
スタンフォード大学の教職員クラブの広々とした風通しの良いホールには、500名を超す教員、研究者、学生が詰めかけました。それらの聴衆は、手にした軽食をすばやく置いたかと思うと、その瞬間を写真に収めようと各自のスマートフォンを取り出しました。
「私がワクワクするのは、不可能が可能になるときです」と、ジェンスンは彼のトレードマークであるレザー・ジャケットの1つに身を包み、聴衆に向けて語り始めました。「NVIDIAは、学術機関の誰もが恩恵を受けることができるように、スーパーコンピューティング能力をGeForceシリーズに取り入れたいと考えていました」
我々の英雄
ジェンスンは、「先駆者であり、偉大なる科学者でもある、我々の英雄」とウン氏を称えるTITAN Xに刻まれた碑文を読み上げながら、最初の「TITAN X」をウン氏に贈呈しました。
ウン氏をはじめとする研究者によって導かれ、世界を根底から揺るがしているディープラーニング・ブームでは、GPU――および、インターネットによって解放された膨大な量のデータ――が重要な役割を果たしてきました。
2012年、ウン氏はGPUを利用して人口ニューロンのディープ・ネットワークを構築し、そのシステムで1,000万本のYouTubeビデオを再生して初期のディープラーニング・システムの1つをトレーニングすることにより、人工知能分野の活性化に貢献しました。それ以来、ディープラーニングの速度は50倍に高まりました。
ウン氏やその他の研究者によって実現された飛躍的進歩は、あらゆる業界に大きな影響を及ぼし始めています。だからこそ、音声認識から画像検索まで、ディープラーニングをあらゆる分野に応用することを目指すBaiduの取り組みを現在率いているウン氏は、TITAN Xを初めて贈呈するのにふさわしい人物だといえるのです。
変革の動き
スタンフォード大学の准教授でもあるウン氏は、満員の聴衆を前に次のように述べました。「100年前に電気があらゆる業界に次々と変革をもたらしたように、私は、ディープラーニングを利用したAIが業界に変革をもたらすと考えています。今後10年間でAIによる変革の影響を受けないと思われる業界を挙げるのは、至難のわざでしょう」
AIは、最先端のインフラストラクチャの利用が不可欠な分野です。「たとえば、2倍高速のマシンを利用できる機械学習研究者なら、他の研究者の2倍の生産性が得られます」とウン氏は説明します。
TITAN Xはまさに一流企業に最適な、究極のグラフィックス・カードです。どのような目的に使用する場合でも、NVIDIA Pascalアーキテクチャを採用したこの画期的なGPUがあれば、不可能だと思えたことを達成できるようになります。
「私がNVIDIAを高く評価する理由の1つが、利益を追求するだけでなく、新分野を開拓しようとするその姿勢です」とウン氏は述べています。
このGPUには、可能な限り最大の力を詰め込みました。1.5 GHzで動作する3,584基のNVIDIA CUDAコアによって、TITAN Xは11 TFLOPsという途方もないパワーを備えています。さらに、世界で最も高速なメモリ・テクノロジーの1つである12 GBのGDDR5Xメモリを内蔵しています。
息を呑む研究者たち
ジェンスンがTITAN Xについて詳しく説明する間、詰めかけた聴衆は息を呑み、感嘆の声を上げるばかりでした。唯一、会場から大きな歓声が上がったのは、ジェンスンが聴衆に提供するTITAN Xの数を読み上げたときだけです。
「Tシャツを着た人の横に立って製品を発表する経験なんて今までになかったよ」とジェンスンは言います。
TITAN Xの発表後、イベント幹事の1人は言葉を詰まらせながら次のように述べました。「ものすごくぶっとんでいたね。正直、言葉が出ないよ。こんなのは予想していなかった。テクノロジー史上最もクレイジーな製品発表の1つだったね!」
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