GPU、ナノテクノロジ、そして才能豊かなエンジニアの相乗効果から生まれたもの――それは、手のひらサイズほどのドローンです。
「ブラック・ホーネット(黒スズメバチ)」という名前にぴったりの、ノルウェーのProx Dynamics社による製品は、全長16センチメートル、重量18グラムの機体を持ち、1マイルの範囲において最長25分の飛行時間を実現します。
さらに、このヘリコプタは、ほぼ無音で飛行し、3台のカメラ、各種センサ、十分な自律機能を搭載し、障害物を避けることができます。
世界中の捜索隊や救助隊、警察機関、軍隊などで利用されるブラック・ホーネットの小型の機体は、設計において大きな課題となりました。なにしろ、大手家電量販店でさえ、ヘリコプタのミリメートル幅のコンポーネントがすべて手に入るわけではありません。
水曜日に開催されたGPUテクノロジ・カンファレンスにおいて、Prox Dynamicsの研究開発担当ソフトウェア・エンジニアであるジョン・ルンド(John Lund)氏は、関心を示す参加者を前に次のように説明しました。「当社は、電気部品の巻き線に至るまで、すべてを自分たちで作成しなければなりません。当社の設計プロセス全体において、実際に基準となるのは重量です。ミリグラム単位でモデル化され、構成されます」
ブラック・ホーネットの場合、その多くの要件から、重量と性能間の繊細なバランスを取ることが容易ではありません。悪条件の中でも飛行でき、操作しやすく、高品質の動画を提供し、極秘任務の遂行に十分な静音性と自律運転機能を備える必要があります。さらに、そのすべてを、飛行時間や航行可能な範囲に影響を与えずに達成しなければなりません。
それには、できる限り軽量の、優れた内蔵コンピューティング・リソースが必要です。そこで、ブラック・ホーネットの約4倍のサイズを持つ、緊密に設計されたNVIDIAのJetson Tegra K1組み込みシステムを、ヘリコプタの超小型フォーム・ファクタに詰め込まなければならないという課題が生じました。
しかし、Prox Dynamicsは、この課題を見事に解消したのです。今では、再構成されたTK1がブラック・ホーネットの設計に採用されています。そして、正確な飛行、4K品質の動画の提供、リモコンとの接続の維持、片手で操作できるリモコンの実現といった、ブラック・ホーネットが必要とする性能を提供しています。
この偉業を達成してもなお、ルンド氏のチームは、自動操縦機能の向上をはじめとする一層の改善を求めて設計の改良を続けています。これには、より高いコンピューティング能力が必要になるでしょう。ルンド氏は、次のように続けます。「当社は、さらなる小型化を進め、より高い自律機能を搭載したいと考えています。つまり、開発はまだこれからなのです」
それにも飽き足らず、Prox Dynamicsは、ブラック・ホーネットの量産化と低価格化を、コンポーネントに影響を与えずに実現することにも目を向けています。またその一方で、同社は、現在のモデルが顧客に好評であるとも報告しています。
ルンド氏は、次のように述べています。「ブラック・ホーネットは従来の状況を一変させるものだというご意見を、ユーザーの皆さまからいただいています」