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低電力で高性能――小さなエネルギーで膨大な記憶を持つ脳のしくみをGPUが解明

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約束を忘れたり、鍵を置き忘れたり、人の名前を思い出せない――そんなことが繰り返しあれば、言いわけを考えるのも一苦労でしょう。最新の研究では、脳の記憶容量は1ペタバイトだといわれており、これは従来考えられていた容量の10倍に当たります。

1ペタバイトとは、テレビの高画質録画を13年分以上、あるいは米国人口の2倍以上のDNAを十分に保存できる大きさです。

また、ソーク研究所と共同研究者による研究から、脳がこれほどエネルギー効率に優れている理由や、それが圧倒的な処理能力と低エネルギー消費を兼ね備えたコンピュータの実現につながる可能性があることも明らかになっています。

ソーク研究所の教授であり、この研究に関する論文(eLife誌で発表)の共同上席著者でもある、テリー・セジュスキー(Terry Sejnowski)氏は、次のように述べています。「これは衝撃的な事実であり、神経科学だけでなく、コンピュータ・サイエンスにおいても重要な意味を持ちます。この事実は、我々に脳のしくみに関するまったく新しい視点をもたらすでしょう」

シナプスの決め手はサイズ

研究者たちは、シナプスを研究することで脳の記憶容量を特定しました。シナプスとは、脳細胞(ニューロン)間で信号を伝達する接合部のことです。シナプスは、大きいほど機能が高くなります。つまり、シナプスのサイズでニューロンの記憶容量が決まるわけです。また、大きいシナプスの利点として、強度が高いことや、より確実に信号を伝達できることなども挙げられます。

同チームは、ラットの海馬(脳の記憶中枢)の細胞組織を、3Dデジタルできわめて精巧に再現しました。この再現は、GeForce GTX TITAN GPUによって実現したもので、「これまで試みたなかで最高の精度」だと、計算論的神経科学の第一人者であるセジュスキー氏は言います。

この再現モデルと電子顕微鏡によって、チームは、特定のシナプスのサイズの違いを測定できるようになりました。その結果、シナプスのサイズには約26種類あることと、それぞれのサイズ間の違いはおよそ8%であることを突き止めました。

1シナプスあたりの情報量は、コンピュータに換算すると約4.7ビットです。従来、神経科学者の間では、海馬の各シナプスが保持できる情報量は、ほんの1~2ビット程度だと考えられていました。

より強力で、エネルギー効率の高いコンピュータの実現へ

しかし、脳の膨大な記憶容量を知ることで、大きな疑問が生まれました。シナプスは、全体の10~20%の時間しかニューロン間でメッセージを伝達していないのに、脳が効率的に機能できるのはなぜか。

ソーク研究所所属の科学者であり、前述の論文の著者の1人でもあるトム・バートル(Tom Bartol)氏は、次のように問いかけます。「シナプスの信頼性がそれほど低いのなら、脳はどうやって計算をこなしているのでしょうか?――このことは、ずっと疑問でした。」

可能性として考えられる答えは、“シナプスは、受け取る信号に応じて絶えずそのサイズを調整しているため、時間とともに成功率と失敗率は平均に近づく”というものでした。

脳の“消費電力は薄暗い電球と同じ

脳の驚くべきエネルギー効率は、セジュスキー氏が脳の“確率的”戦略と呼ぶ方法によって説明がつくでしょう。シナプスは、全体の10~20%の時間しか活動していないため、残りの時間は脳がエネルギーを節約できるというわけです。大人の脳は、起きている間に約20ワットの電力を消費しますが、これは薄暗い電球と同等の消費電力です。

これらの研究結果から、脳の不完全ながらも優れたシステムをモデルとするコンピュータを実現できる可能性があります。そして、「コンピュータと脳のどちらにとっても、精度が向上し、必要なエネルギーが大幅に減るという未来が訪れるはずです」とセジュスキー氏は言います。

そのようなコンピュータは、画像解析や音声認識などのタスクに効率的な処理能力を大量に必要とする、ディープラーニングや人工ニューラル・ネットワークに最適でしょう。


Jamie Beckett

Jamie most recently spent four years as director of communications at Stanford’s School of Engineering, and previously served as managing editor for Cisco’s newsroom and for HP Labs’ newsroom. She began her career as a journalist, and spent a decade at the San Francisco Chronicle. Earlier she worked at the Stamford Advocate, in Connecticut, where she was part of a team that was nominated for the Pulitzer Prize.

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