太陽エネルギー。半導体の設計。電気自動車。
このような分野の研究者は、往々にして、物質の挙動を原子レベルで検討しなければならず、複雑なコンピュータ・シミュレーションに頼ることになります。
そのようなシミュレーションに広く使われているアプリケーションにVASPがあります。何百個という原子の挙動や相互作用を電子レベルでモデル化できるアプリケーションです。
この処理をCPUベースのコンピュータで走らせると、何時間、何日、場合によっては何週間もかかったりします。途中でエラーが起きたり、なにか修正が必要になったり、貴重な時間を浪費することになります。
VASPなら速度は2.5倍から4倍
NVIDIAのTeslaアクセラレーテッド・コンピューティング・プラットフォームを使えば、一部シミュレーションの実行速度を2.5倍から4倍まで高めることができます。つまり、短い時間で優れた知見を得て、現代の研究者が直面している難しい問題を解いていくことができるわけです。
VASP(Vienna Ab Initio Simulation Programの略)は、電子素子、触媒、磁性材料からガラス、ゴム、金属、セラミックスなどまで、あらゆる物質を原子レベルでシミュレーションすることができます。
見に見えない物質の構造やその特性をシミュレーションで理解できれば、優れた物質や強い物質、反応性の高い物質、あるいは、望ましい挙動を示す物質を開発できるわけです。
VASPは大学や産業界できわめて広く利用されています。世界の主要スーパーコンピュータでコンピューティング・サイクルの15%を占めるほどの人気なのです。
スピードアップとブレークスルーを狙う
VASPコードを開発したウィーン大学は、スピードアップを狙って他大学と協力し、GPUアクセラレータをサポートしたv 5.4.1という新しいバージョンのVASPをリリースする準備を進めています。
GPU対応VASPアプリケーションの主要アルゴリズムは、Tesla K80 GPUアクセラレータを使うと実行速度がCPUベースのシステムの2.5倍から4倍となるものがあり、パワフルなツールとして研究を後押ししてくれることでしょう。
新しいバージョンは、年内にリリースされる予定です。VASPのライセンシであれば、新バージョンに無償でアップグレードできます。