ロボット・リサイクルの新興企業SadakoがNVIDIAの「Early Stage Challenge」で10万ドルを獲得

投稿者: Alain Tiquet

NVIDIA「Early Stage Challenge」の10万ドルに手を伸ばし、つかみ取るには、ロボット・アームは必要ありません。このイベントは毎年、GPUテクノロジ・カンファレンスの「新興企業サミット」内で開催されるものです。しかし、このセオリーは、今年は当てはまらなかったようです。駆け出しの新興企業12社による2時間にわたるハイテク戦の末、Sadako Technologiesがトップに躍り出て、10万ドルの小切手をその場で手にしました。 

バルセロナを拠点とするSadakoは、機械学習を利用してリサイクル品を分別し、PETボトルなど、利用価値のある特定の種類のごみを抜き出すロボットを開発しました。コンテストの場には、データ可視化を専門とし、2年前の第1回「Early Stage Challenge」の勝者であるMapDのCEOが姿を見せました。MapDは先週、1000万ドルの資金調達を終えたところです。

SadakoのCEOであり共同創業者であるエウゲニオ・ガルニカ(Eugenio Garnica)氏は、「Shark Tank(サメの水槽)」さながらのコンテストにおいて、プレゼンテーションに与えられた4分間を使って、会場を埋め尽くす250名以上の観客を前に、GPUを活用した自社のロボットがごみの種類を分別し、特殊設計のグリッパーでつかむ方法を説明しました。これまでに販売されたのは3台のみであるものの、このロボットの投資回収期間は16か月未満であり、30億ドル以上の規模を持つ市場で強い関心がもたれていると語りました。

史上最も過酷な「Early Stage Challenge」

Sadakoは、4名の審査員が3年前の「Early Stage Challenge」の開始以来最も過酷な争いと評したコンテストを勝ち抜きました。12社の新興企業は、まず世界6か国からの100社以上の応募企業の中から選ばれました。選ばれたのは、ドローン専門メーカーならびに、視覚障害を持つ人が周囲を把握できるようにすることや、より正確な気象予報の導出、食品品質の完全性の試験などを目的に、コンピュータ・ビジョンとAIを活用する各企業などでした。(全社のリストは下記参照)

各社のCEOはパネリストからの質問を受けました。パネリストに名を連ねたのは、テクノロジ評論家であるロブ・エンデルレ(Rob Enderle)氏、In-Q-Telの投資パートナーであるジョージ・ホイエム(George Hoyem)氏、Rothenberg Venturesのパートナーであるブランドン・ファーウェル(Brandon Farwell)氏、NVIDIAのビジネス開発担当バイスプレジデントであるジェフ・ヘルプスト(Jeff Herbst)の面々です。また、NBC Bay Area TVのキャスター兼テクノロジ担当レポーターであるスコット・マグルー(Scott McGrew)氏が司会を務めました。最後のプレゼンテーションが終わると、観客とパネリストが投票を行い、勝者が決まりました。

「Early Stage Challenge」は「新興企業サミット」の目玉イベントの1つで、他に、中国の新興企業事情に関するセッションや、バーチャル・リアリティ(VR)に注力する新興企業に関するセッションが開かれました。

「Early Stage Challenge」に参加した企業は次のとおりです。

  • Aerialguard(イスラエル) – ドローンや無人機(UAV)向けに自律状況認識機能を提供し、安全性、帰還性、任務遂行能力を大幅に高めています。
  • CogniCor(スペイン) – AIと自然言語処理を取り入れ、製品に関する質問やクレームなど、カスタマー・サポートの問題解決を支援しています。
  • Lucid VR(米国) – 180度広角レンズと空間オーディオ機能を搭載した、一般消費者向け立体3Dカメラ「LucidCam」を開発しています。
  • Linkface(中国) – ディープラーニングを利用した顔認識テクノロジを提供しています。同社のクラウド・プラットフォームでは、非商業利用向けの無料サービスと、ビジネス向けの同時並行性の高いサービスが用意されています。
  • Intelligent Voice(英国) – コンプライアンス目的での音声テキスト変換テクノロジと非構造化コミュニケーションの分析(音声やその他のデータ・タイプの収集、処理、分析など)を提供しています。
  • Horus Technology(イタリア) – 視覚障害を持つ人々を支援するため、コンピュータ・ビジョンと機械学習を利用して、骨伝導で周囲の状況を説明するウェアラブル・デバイスを開発しています。
  • Hypercubes(米国) – かつてない精度で地球の詳細を明らかにするための人工衛星を開発しています。同社の人工衛星には、精密農業、鉱業、石油・ガス事業などに応用可能な化学組成をリモートから分類できる機能が搭載されています。
  • BriSky Technology(中国) – コンピュータ・ビジョンとディープラーニングによって、送電線や風力タービンの検査、交通の監視、調査、公安などの作業を自律的に行う、全天候型産業用ドローンを開発しています。
  • TempoQuest(米国) – より迅速かつ正確な気象予報を求める企業ユーザーや政府機関のニーズを満たすことを目的とした、サービスとしてのソフトウェアを開発しています。
  • Entropix(米国) – スマートフォンやドローンなどに搭載し、最大8Kの超高解像度画像を取り込める、低コストのカメラを実現します。
  • Analytical Flavor Systems(米国) – 機械学習とAIを取り入れ、食品・飲料メーカー向けに欠陥、汚染、バッチ間の偏差などをリアルタイムで識別・予測できるシステムを提供しています。