オラクルと NVIDIA 、企業のエージェント型 AI 推論を加速

【プレス リリース】カリフォルニア州サンノゼ — GTC — 2025 年 3 月 18 日 —オラクル と NVIDIA は、NVIDIA アクセラレーテッド コンピューティングおよび推論ソフトウェアと、オラクル の AI インフラ、生成 AI サービスとの初の統合を発表しました。これにより、世界中の組織がエージェント型 AI アプリケーションの開発を加速できるようになります。

Oracle Cloud Infrastructure (OCI) とNVIDIA AI Enterprise ソフトウェア プラットフォームの新しい統合により、160 以上の AI ツールと 100 以上の NVIDIA NIM™ マイクロサービスを OCI Console からネイティブで利用できるようになります。さらに、オラクルとNVIDIAは、Oracle Blueprint と NVIDIA Blueprint の両方をノンコードで展開すること、また、NVIDIA cuVS ライブラリを使用して、Oracle Database 23ai でのOracle AI Vector Search を高速化することにおいて協業しています。

オラクル CEOのサフラ・キャッツ（Safra Catz） 氏は次のように述べています。「オラクル は AI トレーニングと推論の両方において選ばれるプラットフォームとなっています。このパートナーシップは、お客様が大きなイノベーションを成し遂げ、ビジネスで成功するように支援する当社の能力を強化するものです。NVIDIA の製品およびサービスを OCI の柔軟性、拡張性、パフォーマンス、セキュリティと組み合わせることで、AI の導入が加速し、お客様は自社のデータからさらなる価値を引き出すことができます」

NVIDIA 創業者/CEOのジェンスン フアン (Jensen Huang) は 次のように述べました。「オラクル と NVIDIA は完璧なパートナーです。AI とアクセラレーテッド コンピューティングの企業と、世界の企業データの大半を処理する主要な企業が協力します。両社は共にエージェント型 AI で企業のイノベーションを推進し、顧客やパートナーにすばらしい価値を提供できるように支援します」

企業の AI ニーズに対応する専用ソリューション

NVIDIA AI Enterprise は、推論モデルの展開にかかる時間を短縮するため、OCI Console からネイティブで利用できるようになり、顧客は NVIDIA NIM™ などの AI ツールに迅速かつ簡単にアクセスできます。NVIDIA NIM は、高度な AI リーズニング向けの最新の NVIDIA Llama Nemotron モデルを始め、主要なAI モデル向けに最適化された100以上のクラウドネイティブの推論マイクロサービスです。

NVIDIA AI Enterprise は、OCI ベアメタル インスタンスおよび OCI Kubernetes Engine を使用した Kubernetes クラスター向けの展開イメージとして提供予定です。OCI Console の顧客は、オラクルを通して直接請求およびカスタマー サポートをご利用いただけます。

組織はデータセンター、パブリック クラウド、あるいはエッジにて、NVIDIA アクセラレーテッド コンピューティングおよび NVIDIA AI Enterprise を利用した OCI の 150 以上の AI およびクラウド サービスを展開できます。このサービスでは、データ プライバシー、ソブリン AI、低レイテンシといった要件に対応できる統合 AI スタックが提供されます。

バイオテクノロジ企業の Soley Therapeutics は、AI 創薬プラットフォームを構築するために OCI AI インフラ、NVIDIA AI Enterprise、NVIDIA Blackwell GPU を導入しています。このプラットフォームでは、細胞の運命を予測する細胞言語を捕捉、解読、解釈することで複雑な疾患の治療法の可能性を解き明かすことを目指しています。

Soley Therapeutics の共同創業者兼 CEO の Yerem Yeghiazarians 氏は次のように語りました。「がんやその他の複雑な疾患の治療法を見つけられる新しいソリューションを開発する上で AI の可能性を当社は信じています。OCI と NVIDIA の組み合わせは、フルスタックの AI ソリューションをもたらし、AI 創薬プラットフォームの開発において、ペタバイト単位のデータによるイノベーションの加速に必要なストレージ、コンピューティング、ソフトウェア ツール、サポートが提供されます」

カスタマイズされたブループリントによる大規模な AIの展開

OCI AI Blueprint は、顧客がソフトウェア スタックについて決定したり、インフラを手動でプロビジョニングしたりすることなく、AI ワークロードを迅速に実行できるようにするノンコードの展開レシピを提供します。このブループリント は、NVIDIA GPU、NIM マイクロサービス、プリパッケージ済みの監視ツール向けの明確なハードウェア推奨事項を提供し、企業の AI プロジェクトにかかる時間が数週間から数分に短縮されるよう支援します。

さらに、NVIDIA Blueprint は、NVIDIA スタック全体で統一された体験を開発者に提供し、エンタープライズ AI のユースケースのための参照ワークフローを提供します。NVIDIA Blueprint を利用することで、組織は NVIDIA AI Enterprise と NVIDIA Omniverse™ ソフトウェア、アプリケーション プログラミング インターフェイス、およびマイクロサービスを活用して、カスタム AI アプリケーションを構築し、運用することができます。たとえば、開発者はカスタマー サービス AI アシスタント用の NVIDIA AI  Blueprint から始め、それを独自の用途のためにカスタマイズすることができます。

高度なフィジカル AI やシミュレーションのアプリケーションおよびワークフローの開発、展開、スケールアウトを簡素化するため、NVIDIA Omniverse プラットフォーム、NVIDIA Isaac Sim 開発ワークステーション、Omniverse Kit App Streaming が、今年の後半に Oracle Cloud Infrastructure Marketplace で提供される予定です。NVIDIA L40S GPU で高速化されたコンピューティング ベアメタル インスタンスで事前構成されます。

ビジネス プロセス管理のための AI を活用した自動化プラットフォームである Pipefy では、文書の前処理と画像処理に推論ブループリントが使用されています。

Pipefy の主任ソフトウェア エンジニア、Gabriel Custodio 氏は次のように語りました。「当社では文書や画像処理用途のために OCI AI Blueprint を利用して短期間で NVIDIA GPU ノードを立ち上げ、マルチモーダルな大規模言語モデルを迅速に展開しました。こうしたプリパッケージ化された検証済みのブループリントを利用することで、OCI に当社の AI モデルの展開がすべて自動化され、大幅に高速化されています」

OCI Data Science での NVIDIA NIM によるリアルタイム AI 推論

企業の AI 導入をさらに加速し、最小のセットアップで速やかな AI 展開を可能にするため、データ サイエンティストは OCI Data Science で直接、最適化済みの NVIDIA NIM マイクロサービスにアクセスできるようになります。これにより、複雑なインフラ管理なしでリアルタイム AI 推論ユース ケースがサポートされます。

データのセキュリティとコンプライアンスを維持するため、モデルは顧客の OCI テナンシー内で実行されます。顧客は柔軟な従量課金制で、時間単位の価格設定モデルを購入するか、Oracle Universal Credit を適用できます。

組織はこの統合を利用することで、事前構成かつ最適化された NIM 推論エンジンで推論エンドポイントを数分で展開できます。AI アシスタント、リアルタイムの推奨エンジン、コパイロットなどのユース ケースで価値を創出するまでの時間が短縮されます。さらに、顧客は小規模なワークロードに対してこの統合の利用を始め、その後、企業全体の展開をシームレスに拡張できます。

NVIDIA のアクセラレーテッド コンピューティング プラットフォームが Oracle Database 23ai の AI ベクトル検索を高速化

オラクルと NVIDIA は、NVIDIA GPU と NVIDIA cuVS を使用して、Oracle Database 23ai のAI Vector Searchワークロードの計算集約的な部分であるベクトル埋め込みとベクトル インデックスの作成を加速するために協力しています。

企業は、大量のテキスト、画像、動画などの入力データを一括ベクトル化することでベクトル埋め込みを可能にできるほか、ベクトル インデックスの高速の作成と保守も可能になります。NVIDIA によって高速化された AI ベクトル検索を利用することで、Oracle Database の顧客は自社の AI パイプラインのパフォーマンスを大幅に上げ、大量の AI ベクトル ワークロードを処理できます。

DeweyVision は、メディアをデータに変換する高度なコンピューター ビジョン機能および人工知能 (AI) 機能を提供し、メディア検索可能、取得可能、発見可能、実用可能にしています。DeweyVision は、AI を活用したノンコード ウェアハウジング ツールとして Oracle Autonomous Database 上の Oracle Database 23ai を使用しています。このツールは数分で映像をカタログ化し、直感的な検索機能を提供します。制作のプロフェッショナルはワークフローを接続し、映像を速やかに編集できます。

DeweyVision の CEO、Majid Bemanian 氏は次のように語りました。「AI Vector Searchを備えた Oracle Database 23aiは DeweyVision の検索パフォーマンスを大幅に向上させ、同時に、DeweyVision プラットフォームの拡張性を広げます。NVIDIA GPU を利用してベクトル埋め込みを生成し、それを Oracle Database に読み込むことで、当社プラットフォームにおける新しいデータの取り込みが高速化されます。同時に、Autonomous Database と、Oracle Database 23ai の統合機能により、事業の成長と新たな機会の創出にともなう運用コストが削減されます。DeweyVision、Oracle Database 23ai、NVIDIA GPU の組み合わせを OCI で実行することは、ハリウッドのデータ ウェアハウスになるという当社の目標の達成に貢献するでしょう」

OCI 上の NVIDIA Blackwell が AI をあらゆる場所に

オラクルと NVIDIA は、OCI のパブリック リージョン、政府向けクラウド、ソブリン クラウド、OCI Dedicated Region、Oracle Alloy、OCI Compute Cloud@Customer、および OCI Roving Edge Devices に新しい NVIDIA GPU を導入することで、AI インフラの進化を継続しています。

これには、NVIDIA Quantum-2 InfiniBand クラスター ネットワーク環境、NVIDIA Spectrum™ Ethernet スイッチ、および市場最大級の AI スーパークラスター向けに最適化された NVIDIA NVLink™ および NVLink Switch 機能が含まれています。

オラクルは、OCI Supercluster 上で NVIDIA GB200 NVL72 システムを提供予定で、最大 131,072 基の NVIDIA GPU を搭載した構成が間もなく一般提供されます。また、NVIDIA Blackwell Ultra GPU を搭載したクラウド最大級の AI スーパーコンピューターの予約注文を受け付けています。

オラクルは、次世代の NVIDIA Blackwell アクセラレーテッド コンピューティング プラットフォームを提供する最初のクラウド サービス プロバイダーの一社になります。1 年前に発表された画期的な Blackwell アーキテクチャを基に構築された Blackwell Ultra には、NVIDIA GB300 NVL72 ラックスケール ソリューションと NVIDIA HGX™ B300 NVL16 システムが含まれています。GB300 NVL72 は、NVIDIA GB200 NVL72 よりも 1.5 倍高い AI 性能を発揮し、また、NVIDIA Hopper™ で構築されたものと比較して、Blackwell は AI ファクトリーの収益機会を 50 倍に増加させます。

対話型インテリジェンスで世界をリードする SoundHound は音声と対話型 AI のソリューションを提供しています。世界のブランドが販売する無数の製品で音声関連の体験を強化しています。その音声 AI プラットフォームは OCI 上で実行され、数十億単位のクエリを年間処理しています。また、NVIDIA GPU を利用し、高速かつ正確な音声サービスを顧客に提供しています。

SoundHound AI の製品最高責任者、James Hom 氏は次のように語りました。「SoundHound と OCI は長期的な関係を構築してきており、両者の継続的なコラボレーションが将来の成長を支える重要な役割を果たすでしょう。NVIDIA GPU は、当社の次世代の音声 AI のトレーニングを大幅に高速化するでしょう」

追加情報

• OCI AI インフラストラクチャの詳細
• Oracle Cloud Infrastructure の詳細
• Oracle が NVIDIA AI Enterprise で拡張する分散クラウド機能の詳細
• OCI Dedicated Region と Oracle Alloy のための OCI AI インフラストラクチャの詳細
• OCI Supercluster技術ブログおよび動画

オラクル分散クラウドについて

オラクルの分散クラウドは、管理機能と柔軟性を備えたクラウドの利点を提供します。
オラクルの分散クラウドのラインナップは以下となります:

• パブリック クラウド: ハイパースケール パブリック クラウド リージョンは、厳格なEU の主権管理を必要とする組織を含め、あらゆる規模の組織に適しています。 全リージョンの一覧はこちらをご覧ください。
• 専用クラウド: お客様は OCI Dedicated Region を使用して、自社のデータ センターでオラクルのすべてのクラウド サービスを実行できます。パートナー企業は Oracle Alloy を使用して、OCIのクラウド サービスを再販し、エクスペリエンスをカスタマイズできます。 オラクルは、米国、英国、オーストラリアの各国で「Governments Cloud」を、国家安全保障を目的として「Isolated Cloud Regions」を運営しています。これらの製品により、お客様がソブリン クラウドとして展開可能なクラウドおよび AI をフルスタックで提供します。
• ハイブリッド クラウド: OCI は、Oracle Exadata Cloud@Customer と Compute Cloud@Customer を介してオンプレミス環境でクラウド サービスを提供し、 60 か国以上でインフラストラクチャを管理しています。さらに、堅牢でポータブルな高性能デバイスの複数の構成から成る OCI Roving Edge Infrastructureは、エッジ環境でのリモート AI 推論を支援します。
• マルチクラウド: OCI は、AWS、Google Cloud、Microsoft Azure など、すべてのハイパースケール クラウド プロバイダー内に物理的に展開され、Oracle Database@AWS、Oracle Database@Azure、Oracle Database@Google Cloud、AWS 上の Oracle HeatWave など、低レイテンシでネイティブ統合されたオラクルのデータベース サービスを提供しています。 Oracle Interconnect for Microsoft Azure および Oracle Interconnect for Google Cloud を利用すると、お客様はクラウド間で主要な機能を統合できます。