仮想化グラフィックスが北海の石油リグでの日々を改善

投稿者: Jens Neuschäfer

北海の真ん中に建設された石油リグは、大きなリスクをはらんでいます。厳しい天候や荒れる海の他にも、問題は山積みです。リグの運転には1日約30万ドルを要し、複数の企業が時間や作業を分担することもあり、昼夜のシフトで24時間操業をなんとか維持しています。

このように困難な作業を、NVIDIA GRIDの仮想化テクノロジがはるかに容易なものにしています。

海上油田事業は、機材の管理、役割の委任、危険な状況、作業員間のコミュニケーションなど、多くの可変要素をともないます。このすべてに対処するには、コラボレーションと、リグの運転という複雑な技能の練習が欠かせません。

ノルウェーを拠点とするAbelwareは、NVIDIA GRIDテクノロジを利用し、石油/ガス業界向けに、健康、安全、運用費の問題を最適化する視覚的シミュレーションを開発しています。その結果生まれたコラボレーション・ツールにより、エネルギー会社は時間と何百万ドルものコストを削減できます。

時は金なり

平均的な石油リグ運用の複雑さを見てみましょう。まず、ベスト・プラクティスを分析し、リスクを評価する、陸上リグおよび油田のオーナーのオフィスが存在します。陸上チームは、リグの日勤の作業員と協同で働くだけでなく、運用計画を審査する国家当局ともやりとりをします。また、アドバイスをする専門家もいます。そして、夜勤の作業員と日勤の作業員は、シフト交代のたびに互いに運用の状況を確認し合う必要があります。

これらのチーム間で行われるやりとりのいずれの過程であれ、そこにコミュニケーション・ミスがあれば、作業員の安全、経済的コスト、環境への影響に深刻なダメージが及びかねません。日々のリグの運用費がこれほどまで高額なため、プロジェクトを数日短縮できるだけでも、採掘業者にとって大きな節約が可能となります。

石油/ガス事業を成功させるためのコラボレーション

Abelwareでは、リアルなデジタル世界を作るUnreal Engineゲーム・エンジンを使用して、石油リグの高度な視覚シミュレーションを作成しました。NVIDIA GRIDを使用することで、この3Dシミュレーションは、PC、タブレット、電話など、あらゆるデバイスに、ネットワーク接続によりストリーミング配信できます。GRIDテクノロジは、陸上と海上双方の人員間でリアルタイムのコラボレーションを実現します。

Abelwareのオファリングにより、1日のタスクの計画と作業の進捗状況の確認は、仮想ネットワーク上で行われるようになりました。インターフェイスはまるで、高性能のマルチプレイヤー・ビデオゲームのようです。ゲーム・エンジンのリアルなグラフィックスによりリグが再現され、GRIDテクノロジにより、シミュレーションはリアルタイムで更新されます。これにより、複数のユーザーが同時にタスクに取り組んだり、戦略を立てたりできます。

安全第一:クレーンの届く範囲を示すAbelwareのシミュレーション  
安全第一:クレーンの届く範囲を示す
Abelwareのシミュレーション

リグの作業員は、現実の世界ですべてを経験する前に、仮想環境で共に作業をすることで、仕事に取り組んだり、新しい機材を試したり、危機や困難な状況への対応を練習したりできます。これは、石油会社が作業を何時間または何日も短縮するのに役立ち、その節約額はあっという間にかなりのものになります。予備調査によれば、100日間のキャンペーン内で3~4日の節約が可能と見込まれます。リグを利用するコストだけで1日に約30万ドルかかることから、コスト削減は何百万ドルにも上ります。

GRIDを利用したAbelwareのソリューションは、同地域の石油/ガス業界の多くの企業にすでに採用されています。このソリューションで唯一手に負えないのは、悪名高い北海の天候ぐらいです。