NVIDIA、AIが物理を学習するフレームワークを開発

投稿者: Jay Gould

NVIDIA Modulusフレームワークが革新的な物理機械学習MLモデルをトレーニングし、産業用デジタルツイン、気候科学、タンパク質工学などを加速

NVIDIAはカスタマイズ可能で導入しやすい、物理ベースのツールキットを提供するAIフレームワークを発表しました。これは、現代における最も困難な課題への取り組みを加速させるために役立ち、エンジニア、科学者、研究者が、デジタルツインのニューラルネットワーク モデルを構築することが可能になります。

この物理MLモデルを開発するためのフレームワークであるNVIDIA Modulusは、タンパク質工学や気候科学など、AIの専門知識が不足しているものの、AIと物理駆動のデジタルツイン機能の必要性が急速に高まっている幅広い分野を加速させるために設計されています。

デジタルツインは、創薬のような分子レベルから気候変動のような地球規模までの課題に取り組むための強力なツールとして登場しました。NVIDIA Modulusは、科学者に複雑で動的なシステムの高精度なデジタル複製を構築するためのフレームワークを提供し、幅広い分野で次世代のブレイクスルーを可能にします。

物理ベースのニューラルネットワーク

Modulusは、物理の基本法則を使用しながら、幅広い分野の複雑なシステムの振る舞いをモデル化するようにニューラルネットワークをトレーニングします。その後、代理モデルは、産業のユースケースから気候科学まで、デジタルツインのさまざまなアプリケーションで使用が可能になります。

多くのAIベースのアプローチと同様に、Modulusには観測データまたはシミュレーション データの管理に役立つデータ準備モジュールが含まれています。さらに、モデル化するシステムのジオメトリと、入力ジオメトリによって表される空間の明示的なパラメーターも考慮されます。

Modulusの主要な要素とワークフローは次のとおりです。

  • サンプリング プランナー:ユーザーが準ランダム サンプリングや重要度サンプリングなどのアプローチを選択して、トレーニング済みモデルの収束と精度を向上させることを可能にします。
  • PythonベースのAPI:シンボリック支配偏微分方程式を行い、物理ベースのニューラルネットワークを構築します。
  • キュレートされたレイヤーとネットワーク アーキテクチャ:物理ベースの問題に効果的であることが証明されています。
  • 物理MLエンジン:上記の入力により、PyTorchとTensorFlow、GPUアクセラレーション用のcuDNN、マルチGPUおよびマルチノード スケーリング用のNVIDIA MagnumIOを使用してモデルをトレーニングします。

速いターンアラウンド タイム

GPUで高速化されたツールキットは、従来の分析を補完する迅速なターンアラウンドを提供し、より迅速な洞察を可能にします。Modulusでは、ユーザーはパラメーターの変更による影響を評価することで、システムのさまざまな構成とシナリオを検討することができます。

Modulusの高性能なTensorFlowベースの実装は、TensorFlowモデルを高速化する線形代数のドメイン固有コンパイラであるXLAを利用して、パフォーマンスを最適化します。そこではマルチGPUスケーリングのためにHorovod分散ディープラーニング トレーニング フレームワークが使われます。

モデルのトレーニングが終わると、Modulusはほぼリアルタイムまたはインタラクティブに推論を行うことができます。対照的に、従来の分析では1回の実行ごとに評価する必要があり、分析には計算コストがかかりました。

簡単な導入

Modulusはカスタマイズ可能で、導入も簡単です。新しい物理とジオメトリを実装するためのAPIを提供します。これは、AI 主導のデジタルツイン アプリケーションを始めたばかりの人でも、速く動かせるように設計されています。

このフレームワークには、計算流体力学や熱伝達などを始めるためのステップ バイ ステップのチュートリアルが含まれています。また、乱流のモデリング、過渡的な波動方程式、ナビエ ストークス方程式、電磁気学のマクスウェル方程式、逆問題、その他のマルチ フィジックス問題などのアプリケーション領域の実装リストも増えています。

NVIDIA Modulusは、NVIDIA Developer Zoneから無料でダウンロードいただけます。

11 月 9 日に公開された、NVIDIA の創業者/CEO であるジェンスン フアンの GTC 基調講演をぜひオンデマンドでご視聴ください。