「In the NVIDIA Studio」 – コンピュータ グラフィックス アーティストのシュエグゥオ ヤン (Xueguo Yang) 氏によるフラクタル アート シリーズをご紹介

投稿者: Stanley Tack

Autodesk 3ds Max および Adobe Substance 3D Painter 用の Omniverse Connectorと、NVIDIA Omniverse Create および NVIDIA Canvas の GPU アクセラレーションにより、コンセプトから制作までがより迅速に

本ブログは、注目のアーティストを称え、クリエイティブ活動のヒントやコツを説明し、NVIDIA Studio テクノロジがクリエイティブ ワークフローを加速する様子を毎週紹介する「In the NVIDIA Studio」シリーズの最新号です。

1980 年代半ば、芸術、数学、コンピュータを組み合わせることで、「フラクタル アート」という新しいデジタル メディアのジャンルが生まれました。

今週の「In the NVIDIA Studio」では、コンピュータ グラフィックス (CG) アーティスト、教育者、キュレータであるシュエグゥオ ヤン氏に、幾何学的な物体から導かれる演算をデジタル画像やアニメーションとして芸術的に表現するためにアルゴリズムを用いるフラクタル アートについて、その知見を語っていただきます。

国際的に著名なアーティストであるヤン氏が、その素晴らしいフラクタル アートシリーズ『Into the Void (虚空へ)』と、その制作過程を紹介します。ヤン氏の芸術的コラボレーションは、大手出版社や世界的なエンターテインメント企業に及び、またその作品は国際 A 級クラスの CG ギャラリーに展示されたり、コンペティションの最終選考に選出されたりしています。

NVIDIA Studioで制作されたフラクタル アートのマスタークラス

ヤン氏は、『Into the Void』の各作品の制作を Daz Studio または Autodesk 3ds Max で開始し、非常に基本的な 3D シェイプを生成すると、その大きさを慎重に抽出しました。次に、Chaotica、Mandelbulb3D、または最近では JWildfire など、好みのフラクタル アート アプリケーションを利用しました。

フラクタル アートワークは、限りなく複雑な 3 次元の数学的形状を備えています。

従来、このような 3D を多用するアプリケーションは、CPU アーキテクチャのみで実行されており、処理速度に制限され、耐え難いほどの速度低下が生じていました。NVIDIA GeForce RTX GPU と OpenCL プログラミング フレームワークを使用した新しいテクノロジにより、クリエイティブなプロセスは劇的に高速になり、現在では複雑なフラクタル ジオメトリを数秒で生成、プレビュー、修正できるようになっており、ヤン氏の作業効率が改善しています。

NVIDIA PhysX を搭載した Autodesk 3ds Max で Tyflow を使用して作成したグラフィカル ダイナミクス ビジュアル エフェクト。

次にヤン氏は、フラクタル アート作品を生み出すための数式の作成に取りかかりました。数式は、刻々と変化する 3D のサンプルで表現され、ヤン氏が納得できる結果を得るまで、その組み合わせをランダムに試行錯誤する必要がありました。

次に、スタイリッシュな 2D エフェクトを加えてから、3D デザインのコラボレーションおよびワールド シミュレーションのプラットフォームである NVIDIA Omniverse に RAW ファイルをインポートしました。

実世界の物理的なマテリアルを基にした Omniverse の NVIDIA vMaterials ライブラリを使用して、ガラスや金属片などのフォトリアリスティックなディテールを持った宇宙空間の虚空を作り上げました。

ヤン氏は常に新しい色やテクスチャを試みて、さらに発想を刺激しています。

ヤン氏は、Adobe Substance 3D Painter Connector を使ってテクスチャをさらに洗練させました。また、「スマート マテリアル (リアルな表面のディテールを表現するためにシーンを自動的に調整する機能)」を適用して、完璧な組み合わせが得られるまで作品を微調整しました。

Omniverse Create アプリケーションにより、最終的なコンポジットとレンダリングのために、すべてオリジナルの品質でライティングとシャドウを調整できました。GeForce RTX 3080 Ti Laptop GPU は、Create に内蔵された RTX Renderer を強化し、ハードウェア アクセラレーションによるレイトレーシングで、高速かつインタラクティブな 3D モデリングを可能にしました。

次にヤン氏は、NVIDIA Canvas アプリを使って、さまざまな空や宇宙の背景を素早く生成しました。この作業にかかった時間はほんの数分で、背景を探し回ったり、一から作成したりするよりもはるかに効率的でした。

Photoshop で Canvas の背景を適用し、好みの色に調整します。最終的なエクスポートが素早く生成され、『Into the Void』の傑作が完成です。「In the NVIDIA Studio」にアクセスすることで、ユーザーは『Into the Void』の虚空にも足を踏み入れることができます。

ヤン氏は、そのクリエイティブ ワークフロー全体が GPU によって高速化されており、ASUS ProArt Studio ノート PC は贅沢品ではなく、むしろ必需品になっていると指摘しています。

「RTX GPU のリアルタイム レイトレーシングと AI アクセラレーションがなければ、どうすればいいのか想像もつきません」 とヤン氏は述べています。

フラクタルな起源

ヤン氏にとって、フラクタル アートワークは、自身の物事の起源についての思索を最も純粋な形で表現したものです。ヤン氏は、以下のように述べています。「世界はもともと空っぽでした。基礎的な粒子から現実の物質に至るまで、すべては虚空から生まれてきたのです。いつ、どこで、どのように今世の中にある物が現れたのかは誰にも分からないのです。」

シュエグゥオ ヤン氏による『Into the Void』シリーズ。

ヤン氏の作品は、場所、風景、記憶、あるいは当然のことと受け止められがちなあらゆる形式の美を分解し、再構築することで、観る者に既視感を与えることを目的としています。

「創る」のではなく「探る」という考え方は、自然や物理、哲学、中国伝統医学へのヤン氏の強い関心に由来しています。

このシリーズは、虚空に起源をたどる時空の旅であるとヤン氏は述べています。

ヒューマノイドの存在は、タオの存在を呼び起こします。

ヤン氏は、ファンタジーの世界を制作する際、意図的に人間の意識を虚空に加えています。

ヤン氏の探求の旅は、音楽、特にロックやヘビー メタルに刺激を受け、色彩やテクスチャを生かした表現に強い影響を与えています。

ヤン氏は次のように指摘しています。「物理的なメディアがなければ、すべての創造は空虚に始まります。本質的に、すべてはマシンと人間の意識の中で行き交う電子やエネルギーに過ぎません。」中国文化では、これを「タオ」と呼び、未知の世界に意味を求めることとしていますが、ヤン氏はそれを表現しようとしています。

CG アーティスト、教育者、キュレータであるシュエグゥオ ヤン氏。

ヤン氏の他の作品もご覧ください。

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