世界有数の非営利人工知能研究チームが、世界最速のAIシステムを必要としています。
そこで、NVIDIAのCEOであるジェンスン・フアン(Jen-Hsun Huang)は先週、世界初のオールインワンAIスーパーコンピューター「NVIDIA DGX-1」をサンフランシスコのOpenAIに自ら届けました。
「世界初の人工知能専用スーパーコンピューターを、オープンな人工知能に特化する研究所に贈ることは極めて適切なことだと思ったのです」フアンは述べています。
OpenAIの研究者たちは、従来型サーバー250台分に相当する170テラフロップスの処理能力を備えた初の本番DGX-1を、人工知能の最も困難な問題への取り組みに充てる予定です。
OpenAIのチームは、驚くべき進歩が期待される分野の最先端で研究に取り組んでいます。例えば、デジタル・ライフを管理してくれる人工的な個人秘書や、誰もが利用できる自律走行車やロボットを想像してみてください。
そのためには、Open AIの研究者の要求に対応できる処理能力を備えたテクノロジが必要です。DGX-1の開発には3年間で3,000人が携わったとジェンスンは言います。
「そのため、これが唯一出荷された製品だとすれば、このプロジェクトには20億ドルのコストがかかったことになります。」
AIのXeroxパロアルト研究所
OpenAIの研究者は活用に意欲的です。
OpenAIのリサーチ・サイエンティストのイリヤ・スツケヴェル(Ilya Sutskever)氏は、「DGX-1は大きな進歩です。これまでまったく探索されていない問題の探索が可能になるだけでなく、従来は実現不可能であったレベルのパフォーマンスを得ることも可能になります」と述べています。
OpenAIは、デジタル・インテリジェンスを全人類に恩恵をもたらす形で前進させることを目的に昨年設立され、一部ではすでにAIのXeroxパロアルト研究所と称賛されています。
OpenAI CTO(最高技術責任者)のグレッグ・ブロックマン(Greg Brockman)氏は、次のように述べています。「人工知能は、人類がこれまでに開発した中で最も建設的なテクノロジとなる可能性があります。非常に長い間、人類を苦しめてきた問題に対する解決策を明らかにする可能性も秘めています。」
マシンとの対話
これらの課題に取り組む上でのカギの1つは、OpenAIの研究者が「生成モデリング」と呼ぶものです。マシンが音声を認識するだけでなく、そのデータを使用して適切な応答を自ら生成できるほどスマートになれば、さらにインテリジェントに振る舞えるようになります。
OpenAIのリサーチ・サイエンティストのアンドレイ・カパーシー(Andrej Karpathy)氏は、次のように述べています。「人々がインターネット上で話し合うのに役立つであろう大量のデータを利用すれば、いわゆるチャットボットをトレーニングすることはできますが、その際、コンピューターが言語の仕組みと人間のやりとりのあり方を学習できるような形でトレーニングをするのです。」
解き放たれたDGX-1、世界初のオールインワンAIスーパーコンピューター
すべてのカギはスピードにあります。現在の研究者は、システムの処理能力によって制限されています。
「研究の前進は高速なGPUにかかっています。コンピューターのスピードは、ある意味、ディープラーニングの生命線なのです」とスツケヴェル氏は述べています。
カパーシー氏は、次のように述べています。「モデルの機能を必ず改善できる非常に簡単な方法の1つは、単に計算量を増やすことです。例えば、現時点でRedditでの1か月分の会話を使ってトレーニングをしているのであれば、Reddit全体で人々が交わしている何年分もの会話でトレーニングをします。」
「そうすることで、人間のやりとりのあり方に関して、はるかに多くのデータを得ることが可能になります。そして最終的には、それを使って、まるで人間同士が話し合うようにコンピュータと話せるようになります。」
このようなプロジェクトこそが、NVIDIAがDGX-1を開発した理由であり、今後数週間、世界トップレベルのAI研究チームにDGX-1を順次提供していく理由です。
DGX-1がどのように研究を前進させることができるのかについて、詳しくはここをクリックしてください。