ディープラーニング スーパー サンプリングが、高い性能を必要とするバーチャル プロダクション、建築ビジュアライゼーションおよびプロダクト デザインでのリアルタイム プロダクションを推進
AI がコンピューター グラフィックスの視覚的忠実度を新たなレベルへと引き上げています。その革命を先導しているのが、NVIDIA ディープラーニング スーパーサンプリング (DLSS) テクノロジです。
DLSS は AI を使い、低解像度のレンダリング画像を高解像度の画像に変換します。これにより、ユーザーは低い解像度のレンダリングを行いながら、高い解像度のビジュアル品質を維持できるようになります。
NVIDIA RTX GPU には、Tensor コアと呼ばれる、専用の AI プロセッサが搭載されています。このプロセッサを使用することで、DLSS をレンダリングされた画像上でリアルタイムに実行することができます。
ゲーミング業界では、『Minecraft RTX』や『フォートナイト』、『サイバーパンク2077』といったタイトルが DLSS をいち早く実装しており、このテクノロジによってフレームレートが最大で 2 倍に向上しています。
現在、コンテンツ制作業界がこのテクノロジを採用し、バーチャル プロダクション、建築ビジュアライゼーション、アニメ映画、プロダクト デザイン、シミュレーションおよびデータ生成を含む、あらゆる種類のワークフローを向上させようとしています。
51 World や Goodbye Kansas Studios、Hyundai Motors、Lucasfilm 傘下の Industrial Light & Magic、Orca Studios、Surreal Film Productions といった大手のクリエイティブ制作会社が DLSS を活用してパフォーマンスを高め、自らのクリエイティブ ビジョンを実現しています。
バーチャル プロダクションを新たなレベルに引き上げる
映画、テレビおよび YouTube のプロジェクトでは、イテレーションをできる限り迅速に行い、撮影の効率を上げなければならないという強いプレッシャーがスタジオやアーティストにかかっており、バーチャル プロダクション テクノロジを導入する傾向が高まっています。
HYPERBOWL のバーチャル プロダクションのパイプラインに DLSS を導入することによって、NSYNK では、レンダリングの性能が大幅に向上し、これまでは不可能であった組み合わせであるリアルタイム レイトレーシング効果を採用した場合でもフレームレートが 2 倍近くに向上しています。DLSS はさらに、フル解像度でのアンチエイリアス手法よりもクリアで、安定した画像を生み出します。
HYPERBOWL のバーチャル プロダクション担当ヘッドのデニス ボレスラウスキー (Dennis Boleslawski) 氏は、次のように話しています。「DLSS は、レンダリング結果を向上させながら、費用を抑えることができるため、まさにゲームチェンジャーとなっています。DLSS は当社のレンダー パイプラインに欠かせないものとなっています」
(映像提供: Parasol Island GmbH および HYPERBOWL)
Orca Studios でも、DLSS がバーチャル プロダクション向けのリアルタイム レンダリング作業の重要な要素となっています。同社の LED ウォールの高解像度と、リアルなライティングに不可欠なレイトレーシングベースのレンダラーでは、DLSS が Orca Studios のレンダリング設定のマストアイテムとなっています。
Orca Studios のバーチャル プロダクション スーパーバイザーであるエイドリアン プエヨ (Adrian Pueyo) 氏は、次のように話しています。「DLSS は、要件の厳しい Unreal Engine レンダラーでライブ バーチャル プロダクションに必要な性能およびノイズ比を実現するための実にパワフルな方法となっています」
(映像提供: Orca Studios)
建築ビジュアライゼーションに命を吹き込む
DLSS と RTX アクセラレーション レイトレーシングにより、建築家は、建築が始まる前であっても最大の忠実度でデザインを提示できるようになり、これまでのプロジェクトを取り巻いていたストレスと不確実性を軽減することができます。
DLSS により、Away Digital Home ではフレームレートが最大で 50% 増加し、フル レイトレーシングを使うことで同社の Porter Davis ホームのインタラクティブなウォークスルーの視覚的忠実度を新たなレベルへと引き上げています。これによって、ライト ベイキングに費やされていた時間が削減され、ワークフローが劇的にスピードアップしています。
Away Digital Home のプロジェクト リーダーであるポール ヘラウェル (Paul Hellawell) 氏は、次のように話しています。「DLSS によって品質とフレームレートが向上するので、当社の開発時間をほとんど増やすことなく、住宅を買いたい人にこれまでにないビジュアル体験を提供できるようになっています」
D5 Render は、DLSS を活用する建築ビジュアライゼーションに特化した、最初のアプリケーションです。この無料のツールキットにより、建築家とデザイナーは、自分たちのモデルのインポートと修正、レイトレーシングを使った照明の検証、ならびに NVIDIA RTX および DLSS で加速された高品質な画像や動画のフライスルーのレンダリングを簡単に行うことができます。
D5 Render の創設者であるゼピン ニウ (Zeping Niu) 氏は、次のように話しています。「DLSS はD5 Render のレイトレーシング機能の性能を根本的に向上させ、リアルタイム インタラクティブ モードでのフレームレートを倍増させるとともに、最終レンダリングでのエクスポートの速度を 100% 高速化させます。DLSS により、建築家は大規模な建築モデルもスムーズに扱うことが可能になり、設計を効率的に行えるようになります」
製品設計を現実のものに
自動車の設計は複雑で長期にわたるプロセスであり、あらゆる細部を考慮に入れる必要があります。Hyundai では、NVIDIA RTX 6000 GPU で動作するシミュレータで DLSS をテストし、視覚的な品質を損なうことなく、大幅な性能向上を得られることを確認しました。DLSS を製品開発プロセスに導入することにより、Hyundaiでは、より多くの情報に基づいた意思決定を行えるようになり、長期的には貴重なリソースの節約が可能になります。
Hyundai Motors のバーチャル車両検証チームのシニア リサーチエンジニアであるキム ホンヨン (HongYong Kim) 氏は、次のように話しています。「当社の車両コンフィグレータとドライビング シミュレータでは、リアルタイム レイトレーシングと DLSS を利用しています。DLSS により、画質を維持しながら毎秒 60 フレームの安定したアプリケーションのピクセル ストリーミングが可能になり、これによってパフォーマンスが 50% 向上しています」
ARCWARE では、数百種類のファブリック、皮革、木材で構成可能な椅子の製作を得意とする、スウェーデンの家具ブランドである Conform のために、ArcStationと呼ばれる 3D コンフィグレータを構築しました。DLSS の導入により、ArcStation のユーザーは、毎秒 60 フレームでレイトレース リフレクションを 4K スクリーンで確認できるようになり、ARCWARE では視覚的忠実度と出力解像度を下げる必要がなくなりました。
ARCWARE のチーフ テクニカル アーティストのマノリス エマヌイリディス (Manolis Emmanouilidis) 氏は、次のように話しています。「ゲームチェンジャーである、NVIDIA の DLSS テクノロジにより、ゲーム以外でも高い忠実度を体験することができます。DLSS は、POS やデジタル サイネージから、これまで不可能であった 3D 体験をウェブからお客様にストリーミングする機能まで、さまざまなもので利用することができます。DLSS によって、ARCWARE では素晴らしい 3D 体験をお客様に提供できるようになっています。これはきわめて刺激的で、かつては不可能だと思われていたビジュアル品質が実現されます」
これらは、さまざまな業界で DLSS が急速に普及しており、コンテンツ制作に革命をもたらしている事例の一部に過ぎません。その他の導入事例については、こちらをご覧ください。
アプリケーション開発者向けには、DLSS をメインラインの Unreal Engine のプラグインとして利用可能です。このプラグインは Unreal Engine マーケットプレイスから入手でき、UE 4.26 と互換性があります。カスタム エンジン統合用のフル DLSS SDK については、NVIDIA DLSS 開発者向けページをご覧ください。
DLSS は、エンタープライズ向けのプロフェッショナル デザインおよびビジュアライゼーション ソリューションから、クリエイター向けの Studio PC および ノート PC に至る、さまざまな NVIDIA 製品によって加速されます。