自動車メーカー、GPUパワーの活用で追い越し車線を走行

投稿者: Andrew Cresci

追い越し車線でミスは許されません。

何万人もの従業員を抱え、世界各地に製造設備を展開し、世界中の人々に自動車を提供するメーカーにとっては存亡にも関わりかねない重大事です。その業務の細部を調整するには、大ヒットした映画『ブリット』で街を駆けぬけるカーチェイスをすばらしい運転技術で演じたスティーブ・マックイーンに匹敵するスキルが必要となります。

過去10年にわたり世界的な景気後退、売上の低迷、厳しい供給問題に直面してきた自動車メーカー各社は、効率を少しでも高めようと業務のあらゆる側面を見直してきました。その一環として、労働環境の流動化やデータ・セキュリティの強化が進められています。

このような背景から、フィアット系のトファシュ社とPSAプジョーシトロエン社では、NVIDIA GRIDを搭載した仮想デスクトップの採用に踏みきりました。パワフルなグラフィックスが使えるこの仮想デスクトップなら、コンピューティング・パフォーマンスを犠牲にすることなく、大量のデータを使用する業務を統合したり、デザイナーをはじめとする人々にリモートで働きやすい環境を提供したりできるからです。

大きなニーズ、大きな処理能力

トファシュは自動車メーカーとしては小さな会社かもしれませんが、そのニーズは大手各社と変わりません――デザイナーに柔軟性とモビリティを提供したいのです。

これまで、トファシュのデザイナーは会社の机以外で仕事をするのが困難でした。Siemens NXAutodesk AutoCADなどの高いグラフィックス性能を要求するアプリケーションが使えるコンピュータと一般業務用コンピュータの2台が必要だったからです。ノートパソコンも用意されていましたが、CAD機能が低いという問題がありました。ハードウェアやソフトウェアに障害が起きると仕事ができなくなるという問題もありました。

 

この問題を解決しようと、トファシュ社では、GRIDテクノロジとVMware vSphere Hypervisorを用いた仮想デスクトップを採用することにしました。この形なら、データセンターに置かれた最先端のアプリケーションをセキュアに使うことができます。また、どのような機器からアクセスしても最高のパフォーマンスが得られるため、従来型のVDIなど時代遅れにしか思えません。

このテクノロジは、デザイナ以外の社員にも役立ててもらえます。パワーユーザにはNVIDIA GRID K2 GPUを提供し、グラフィックス処理がさほど必要ないその他のユーザには共有GPUを使ってもらえばいいのです。

データセンターに置いたアプリケーションにリモートでアクセスする形式にすれば、リソースの管理がシンプルになりますし、ハードウェアに多大な投資をせず、オートマチック車のようにスムーズな処理能力の増減も可能になります。

パワフルな処理能力

PSAプジョーシトロエン社は160カ国に事業を展開しており、その業務ネットワークは複雑を極めています。8万5000台のコンピュータを世界各地に配置し、一般的なオフィス・アプリケーションからDassault SystemsのCatiaのようなハイエンドの3Dグラフィックス・アプリケーションにいたるまで、あらゆるものを処理しているのです。このインフラストラクチャを維持するのは、簡単なことではありません。

製品ライフサイクル全体をカバーし、世界各地で働く社員にハイエンドの3Dグラフィックスと高い処理能力を提供できる集中型の仮想デスクトップが欲しいとPSAプジョーシトロエンは考えました。もちろん、コストアップは避けなければなりません。こうして、GRIDテクノロジとCitrix XenServerハイパーバイザを使い、デザイナがどこからでも高性能ワークスペースにアクセスできるようにする3D仮想化プロジェクトが始まったのです。

自動車メーカーが競争力を維持するためには、設計サイクルの短縮と単位原価の引き下げが欠かせません。アクション満載の映画のカーチェイスでどの瞬間の演出も重要であるように、どのような選択をする際にも高効率は重要なのです。

 

GRIDでは、どのような場所のどのような機器からでも、高いグラフィックス性能が必要となるソフトウェア・パッケージを走らせることができます。しかも、従来はワークステーションでしか実現できなかった画質とフレームレートで走らせられるのです。また、パリのPSAデータセンターから500キロメートル離れた場所でも、レイテンシを十分に低く抑えることができます。実際、パリから1万9000キロメートルも離れた中国のユーザさえ、レイテンシを気にせずに仕事ができています。

仮想デスクトップの導入で、生産性は高くなりましたが、ユーザひとり当たりのコストは下がりました。ユーザひとり当たりの導入コストは従来のワークステーションも仮想デスクトップもあまり変わりませんが、ワークステーションというのは多くの人が共有するサーバとほぼ同じ電力を消費するわけで、省エネルギーの効果が大きいのです。

昨年の販売台数が280万台に達したPSAでは、いま、GRID対応VDIの展開を計画しています。

NVIDIA GRIDについてさらに詳しくお知りになりたい方は、こちらをご覧ください。