自動運転自動車の開発競争が激化しています。
NVIDIAの新製品、Tegra X1が正式に発表された2日後、自動車用自動走行機能の開発にこの新しいモバイル用スーパーチップを使うとアウディ社が発表しました。
アウディは未来を感じさせる白く輝くブースをコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)に出しています。そこで自動運転自動車という夢の実現にあたって必要となる頭脳を開発するため、今後はいままで使用してきたTegra K1の後継品であるTegra X1を用いるとアウディの重役が発表しました。
アウディが注目しているのはTegra X1の機械学習機能です。この能力があれば、自動車が自ら学ぶ形で周囲の状況をチェックし、道路上の障害物を認識・分類するようにできるからです。
アウディ社で電気電子開発を担当する上級副社長、リッキー・ヒューディ(Ricky Hudi)氏は、次のように述べています。「走る距離や時間が延びれば延びるほど、たくさんのことを学びます。」
この発表に歓声が上がる中、アウディ社は、スマートウォッチに触れるだけで無人の自動車を呼び寄せられることを誇らしげに示しました。
今週頭には、自動走行のアウディA7が、シリコンバレーからCESが開催されるラスベガスまで、高速道路を使いながら800キロメートル以上も走ってきたことが大きな話題を呼びました。途中、ゆっくり走る車を追い抜いたり、必要に応じて車線を安全に変えたりしながら走ったのです。
これは自動走行という新時代の幕開けを告げるものだとアウディ社は考えています。このあと開かれた記者会見でヒューディ氏が語ったところによると、これは2年もたたずに現実となり、フラッグシップのラグジュアリー・セダン、アウディA8に自動走行機能が搭載されるそうです。
「あと一息のところまで来ています。我々がお見せしているのはビジョンではありません。もうすぐ現実となるものをお見せしているのです。」
アウディが自信を示すこのような機能には、消費者も注目しています。ある調査では、ラグジュアリー・カー購入層の1/3から1/2が自動走行機能を買うという統計が出ています。将来的には、これが当然あるべき安全機能となっていくでしょう。
アウディの研究開発チーフ、ウルリッヒ・ハッケンベルグ(Ulrich Hackenberg)氏は、次のように述べています。「まずは高級車に導入し、そのあと、大衆車で普及を図りたいと考えています。安全は高級車を買う人だけに提供すればいいものではなく、全ての人に提供しなければならないものです。」
アウディ社は10年近くもNVIDIAと緊密な協力関係にあるパートナーで、今回、Tegra X1の採用に大手企業として最初に名乗りを上げました。このTegra X1は、そのあまりにすさまじいパフォーマンスから、圧倒的なモンスターとも呼ばれています。
Tegra X1は親指の爪ほどの小さなチップに1テラフロップス超のコンピューティング・パワーが詰め込まれているのです。これは15年前に世界最速だったスーパーコンピュータに相当する処理能力ですが、超高効率のMaxwellアーキテクチャを採用していることから、消費電力はわずか10ワット程度に抑えられています。
このTegra X1プロセッサを2基使うNVIDIA DRIVE PXが先日発表されました。これは、最大で12台のオンボード・カメラからのビデオ入力を処理し、車両の周囲360度の画像をシームレスに提供したり全自動駐車を実現したりすることができます。