自律運転車から、環境センシング・ロボットまで、ディープラーニングは世界で最も困難な技術的課題のいくつかに取り組んでいます。しかし、これは機械や道具のためだけのものではありません。文法の手直しも目指しています。
今日(2016年3月4日)は「文法の日」なので、それにちなんで、次の文を見てみてください。中学の英語の先生でも驚くに違いありません。「Its a scandal! Seven people was arrested at they’re National Grammar Day party, after they set a stack of mispelled word’s on fire.」
間違いを見つけられますか? ご心配なく。その必要はありません。GPUを利用したディープラーニングと、Grammarlyという自動文法チェッカーを使えば、ほんの一瞬で間違いを見つけられます。
Grammarlyは、文法チェッカー部門でランキング上位をずっと占めているツールで、ChromeまたはSafariの機能拡張として使用でき、Outlook、Word、ソーシャル・メディアでも使用できます。多くの自動エディターと同様に、無料版とプレミアム版があります。
データが増えれば、ディープラーニングはよりスマートに
ディープラーニングは、Grammarlyが誤りの検出と修正に使用する、多くの機械学習技法の1つであり、非常に強力です。従来の機械学習では、たとえばコンマの使い方など、コンピューターがデータ内で評価すべきすべての要素を、人間の専門家が定義する必要があります。通常、これは時間がかかる、困難なプロセスです。
GPUを利用したディープラーニングでは、専門家でなくても未処理のデータをコンピューターに読み込ませることができ、ニューラル・ネットワークが自動的に、どのパターンが重要であるかを発見します。そして、文法的に正しい文章を書くための重要なパターンというのは無数にあります。
サンフランシスコに拠点を置くGrammarly社のオンライン・マーケティング・マネージャーであるニコラス・バロン(Nikolas Baron)氏は、次のように述べています。「何百万もの文書を読み、修正を行い、何十億もの修正案を提示する取り組みを続けた結果、私たちはエラー修正アルゴリズムを洗練させることができました」
大半のツールでは、自然言語処理と、何らかの形の機械学習を使用して、テキストを分析し理解します。Grammarly社の他にも少なくとももう1社、テキサス州オースティンに拠点を置く新興企業Deep Grammarが、ディープラーニングを使用して文法を修正しています。
「より多くのフレーズを読み込ませるほど、より多く学習が行われます」と、Deep Grammar社の共同創設者であり同ツールの作成者であるジョナサン・ムーガン(Jonathan Mugan)氏は述べています。
スタイル・ブックは捨てないで
Grammarlyは完璧ではありません。私がテストした、他のどの無料ツールもそうでした。
プレミアム版も試用させてもらいましたが、このバージョンでは、上記の例にある6つの誤りすべてが検出され、それだけでなく、「were arrested」の受動態を避けるよう推奨されました。無料オンライン版では、誤りを1つだけ見逃しましたが、これは、他の文法修正ツールを含めた中でも最高の出来でした。しかし、その成績は、他の3つの文をGrammarlyにかけたところ、無料版でもプレミアム版でも答えに詰まってしまう、という結果の後にようやく得られたものでした。
無料オンライン校正ツールで、高校の英語のクラスで並レベルの成績ですら取れるものは、いくつもないでしょう。前述の不体裁な文章ですべての誤りを見つける唯一の方法は、テストした10個のツールすべてを使って、その結果を組み合わせることでした。
これらのツールはとても高価なものではないだけに、よく言われるように、「支払った分に見合った効果しか得られない」のかもしれません。あるいは、編集作業はロボットにはこなせない仕事の1つなのかもしれません。少なくとも今はまだ。