このたび、WEpodと呼ばれる自動運転電気自動車のシステムが、公道を走る初の自律走行シャトル・バスとなる歴史的偉業を達成しました。また、これらのシャトル・バスは、ナンバー・プレートが付与されるハンドルのない車両として、世界初となります。
他の形式の自動輸送機関とは異なり、この快適な6人乗り小型車は、特別なレーンを走ることも、レールや、磁石、ワイヤなどで誘導されることもありません。
代わりに、NVIDIAを搭載したいくつかの制御システムを含む一連の複雑なシステムによって操縦され、オランダ中部のヘルダーラント州の街、ヴァーヘニンゲンとエーデ間を結ぶ公道を走行しています。
さらに、WEpodは、乗客がスマートフォンのアプリをタップするだけで呼ぶことができます。
ディープラーニングによる出発
この成功の背景にはまず、ディープラーニングと呼ばれる新しいテクノロジが存在します。ディープラーニングを利用することで、ビジョン・ベースのシステムに広く採用されているトレーニング・プロセスを通じて、コンピュータに世界を学習させることができます。
WEpodは、NVIDIAを搭載したいくつかの制御システムを利用して、
オランダのヘルダーラント州を自律走行しています。
ディープラーニングは、すでにさまざまなタスクで人間をしのぐ能力をコンピュータに提供しています。そしてそれは、自律走行自動車にとって不可欠なものです。なぜなら、自律走行自動車が遭遇する可能性のあるすべてのシナリオについて(特に、車両の周囲にある物体を判断することに関して)、手作業でコードを書くのはとうてい不可能なためです。
そこで、デルフト工科大学のWEpodチームが、アウディ、BMW、フォード、メルセデスといった自動車メーカーとともに、NVIDIA GPUに基づくディープラーニングに目を向けたのも、自然な流れだったといえるでしょう。
データ駆動型のアプローチ
その結果、公道を走行しながら周囲環境の完全な画像を合成できる自動車が構想されました。
各WEpodが絶えず周囲環境とオプションを高速で判断することで、混合交通における実際の状況に、迅速、確実、かつ安全に対処できる動的システムが実現するはずです。
「これは、コンピューティングにおける大いなる挑戦です」と、デルフト工科大学の上級研究員であるディミトリオス・コティアディス(Dimitrios Kotiadis)氏は言います。
GPUを搭載した走るスーパーコンピュータ
GPUは、この挑戦を成功させる鍵となりました。一度にわずかなコンピューティング・タスクを全力で処理するCPUとは異なり、GPUは、瞬時に何千ものコンピューティング・タスクを処理できるよう設計されているためです。
並列アーキテクチャによって、GPUは多種多様なディープラ
ーニング・タスクに最適なパフォーマンスを提供します。
GPUは、その並列アーキテクチャ(と当社のソフトウェア・ツールの組み合わせ)によって、多種多様なディープラーニング・タスクに最適なパフォーマンスを提供します(「GPUによるAIの高速化―新たなコンピューティング・モデルの誕生」を参照)。また、GPUは、WEpodの自律走行自動車のトレーニングと実装を加速化する際の鍵にもなりました。
コティアディス氏は、次のように説明します。「NVIDIAのテクノロジは、我々がコンピューティング要件を達成するうえで重要な役割を果たしています。WEpodの1台1台が、さまざまな意味で走るスーパーコンピュータだといえるでしょう」
スマートフォンでの呼び出し
そうして生まれたのが、自動車を所有する面倒をなくしながらも、個人向け車両の利便性を備えた、新しい公共輸送機関の概念です。
現在のところ、車両は決められたルートを走っていますが、WEpodチームは、試験運用が終わりしだい、他の都市でもWEpodのテクノロジが導入されることを望んでいます。このシステムは、5月に正式運用が開始される予定です。
WEpodのプロジェクト・マネージャであるヤン・ウィレム・ファン・デル・ホイール(Jan Willem van der Wiel)氏は、次のように述べています。「WEpodのような自律型のオンデマンド輸送システムは、我々の都市に一大変革をもたらす可能性を秘めています。」
NVIDIAはその一翼を担うことができ、大変光栄に思っています。