NVIDIA Jetson、エージェント型 AI を物理世界にもたらす

NVIDIA JetPack 7.2 と NVIDIA NemoClaw のサポートにより、Jetson はエージェント型 AI に対応可能になり、開発者は本番環境向けのスタックを活用してロボティクス、検査、産業オートメーションに新たなレベルのインテリジェンスをもたらすことが可能に
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エージェント型 AI が物理世界へと広がり始めています。

NVIDIA はCOMPUTEX において、NVIDIA Jetson での NVIDIA JetPack 7.2NVIDIA NemoClaw のサポートを発表しました。

JetPack 7.2 では、エージェント型 AI のスキル、Yocto Project のサポート、NVIDIA Jetson Orin での NVIDIA CUDA 13 対応、Jetson AGX Orin 32GB モジュールの大幅な性能向上、NVIDIA Jetson Thor でのマルチインスタンス GPU (MIG) サポートが実現します。

今回の発表は、GTC Taipei の Build-a-Claw イベントに合わせて行われました。GTC San Jose で人気を博したハンズオン イベントが、世界有数のグローバル テクノロジ ハブである台湾で開催されたのです。

今回のリリースにより、NVIDIA のエージェント型 AI フレームワークである NemoClaw が、本番環境向けの Jetson スタック上で利用可能になります。これにより、エージェント型 AI はサーバーやワークステーションから、ロボティクス、検査、産業オートメーションなどの物理世界へと広がります。

NVIDIA のロボティクスおよびエッジ コンピューティング担当バイス プレジデントであるディープゥ タラ (Deepu Talla) は次のように述べています。「エージェント型 AI はすでに現実のものとなっており、Jetson のプログラマビリティと高い性能により、開発者はエッジの本番環境でフィジカル AI エージェントを即座に展開できます。エージェントを活用した開発とワークフロー向けに専用設計されたスキルにより、開発者は市場投入までの時間を短縮し、総所有コストを削減し、大規模な展開を実現できます。しかも、これらはすべてメモリの最適化されたプラットフォーム上で実行できます」

NVIDIA のアシエル アランス (Asier Arranz) が、Build-a-Claw を通じて、NVIDIA Jetson 上で直接動作するパーソナライズされた常時稼働のアシスタントとして、AI をエッジにもたらす方法を紹介しています。

Jetson はすでに、OrinThor、そしてその先へと続く複数世代にわたるプラットフォームとして、ロボティクス、自律システム、産業検査、医療機器におけるエッジ AI を支えています。JetPack 7.2 はその基盤を強化し、NemoClaw はそれをさらに拡張します。

今回のリリースは、3 つのレイヤーで構成されています。基盤となるのが JetPack 7.2 であり、OS、コンピューティング、決定論的性能を支えます。その上に、開発者の作業を自動化するエージェントスキルに関するレイヤーが新たに加わり、最上位レイヤーとして NemoClaw が提供されます。

JetPack 7.2 により、Jetson のソフトウェア基盤が大幅に強化されます。Yocto ベースの OS がサポートされるため、産業分野のお客様は、より軽量でカスタマイズしやすい Linux 基盤を利用できるようになります。これは、メモリ容量に制約のある展開環境において重要です。Jetson Orin で CUDA 13 に対応することで、既存デバイスでも最新のコンピューティング スタックを利用できるようになります。Jetson Thor での MIG とリアルタイム カーネルにより、開発者は、無関係な AI 推論処理によって処理が中断することが許されないロボット認識システムなど、決定論的なワークロード向けに専用 GPU リソースを確保できるようになります。Jetson AGX Orin 32GB も性能が向上し、AI コンピューティング性能は当初の仕様を 20% 上回る 241 TOPS に達します。

中間レイヤーのエージェント スキルは、Jetson ベースのシステムそのものの構築作業を加速させます。Jetson のエージェント スキルには現在、Linux のカスタマイズ、メモリ最適化、モデル ベンチマークなど、開発者向けのタスクが含まれています。これらは NVIDIA のドキュメントと設計ガイドをもとに開発され、エージェントで展開可能なスキルとして提供されています。その結果、これまで数週間かかっていたタスクを数日で完了できるようになります。

最上位レイヤーにおいては、1 つのコマンドで NemoClaw を Jetson に展開できます。この組み合わせにより、エージェント型 AI が本番環境向けのロボティクスおよびビジョン AI スタック上で利用可能になり、産業システムのタスク自動化が加速します。開発者は、NVIDIA Metropolis VSS Blueprint スキルを活用することで、視覚情報を監視し、解釈し、それに基づいて行動するビジョンリーズニング エージェントを追加し、さらに高度な機能を実現できます。

エージェント型 AI はすでに Jetson とともに広がり始めている

 Jetson プラットフォームはすでに、ロボティクス、産業オートメーション、ドローン、ヘルスケア機器、農業機械、ヒューマノイド システムなど、さまざまな分野で導入されています。

Solomon は、NemoClaw を使用して、ヒューマノイド ロボットで動作する AI エージェントを連携させています。

Solomon は、NVIDIA NemoClaw を使用して、ヒューマノイド ロボットで動作する AI エージェントを連携させ、リーズニング、知覚、センサー統合、移動、操作を単一のワークフローに統合しています。NVIDIA のオープンソース型の基盤モデルを活用した Solomon の Active Perception 技術(能動的知覚)により、ロボットはタスクを理解し、ピッキングに最適な位置取りを行い、動的に適応できます。これらすべてにより、複雑な環境において信頼性の高い自律運用が可能になります。

Advantech は、自社の製造施設内でエージェント型ファクトリー ブレイン (工場全体の運用を支援する AI 基盤) を構築、展開し、NVIDIA NemoClaw、NVIDIA Nemotron 3、NVIDIA Jetson Thor を使用して AI ネイティブな運用を実現しています。このプラットフォームは、ロボットのフリート管理、インテリジェントな欠陥検出、自律的な意思決定を自動化し、次世代の産業オペレーションを推進します。こうしたソリューションは、すでにさまざまな業界で展開されています。

Rebotnix は、都市レベルでの意思決定を高速化するため、エージェント型リーズニング機能を備えたスマート シティ カメラを開発しています。

Spingence は、分析とナレッジ リーズニングを通じて根本原因を特定し、プロセス改善の推奨事項を提示する製造欠陥対応エージェントを構築しています。

また、ANIWEAVEAvalanche Computing は、不動産の空間を可視化して、AI 搭載の会話型エージェントによる没入型 3D 内覧体験へと変革するために協業しています。

より多くの AI を、より少ないメモリで

画像提供: SandStar

SandStar は、NVIDIA Jetson Orin NX と NemoClaw を活用し、AI ビジョン、LLM 駆動の対話、標準業務手順の監視、店舗最適化に対応した AI 自販機とスマート リテール オペレーションを 30 か国以上で実現しています。約 40% のメモリ最適化を達成したことで、SandStar は 16GB デバイスから 8GB デバイスへ移行し、高い性能を維持しながら展開コストを大幅に削減したと報告しています。

NoTraffic は、リアルタイムの交通状況を分析し、信号運用を動的に最適化する AI 搭載のインテリジェントな交通管理システムを開発しています。NoTraffic は、静的コンパイルと対象を絞ったカーネル プルーニングにより、CUDA ライブラリのオーバーヘッドを最適化したと報告しています。これらの最適化により、メモリ使用量が 29% 削減され、効率が向上したほか、認識スタックも効率化され、リアルタイム推論の高速化につながっています。

家族型ロボットを開発するGROOVE Xは、Jetsonモジュール上のさまざまなAIアクセラレータを活用し、CPUやGPUの負荷を軽減するとともに、メモリ使用量を削減しています。

Yocto ベースの JetPack 7.2 を本番環境へ

Hexagon Robotics は、より安全なヒューマノイド ロボットの実現に向けて Jetson Thor を統合しています。

Hexagon Robotics は、リアルタイム AI、高速センサー処理、マルチモーダル データ 統合により、より安全で自律性の高いヒューマノイド ロボットを実現するため、NVIDIA Jetson Thor をシステムに統合しています。再現性と安全性を高める Yocto ベースの OS カスタマイズと組み合わせることで、これらのヒューマノイド ロボットは、製造、物流、建設など、制約の厳しい環境において、より高い信頼性で動作します。

Zipline は、自律配送ドローンで NVIDIA Jetson Orin NX を使用し、リアルタイムのセンサー 統合、環境認識、安全なナビゲーションを実現することで、世界各地で医療品、食品、小売商品の迅速な配送を可能にしています。Zipline は、Yocto を使用して独自のオペレーティング システムを構築しています。この OS は、高性能なオンボード AI 処理を目的として設計されており、信頼性と効率を高め、メモリ使用量を抑えるよう最適化されています。

Neo Humanoid を開発する 1X と、 Universal Robots は、本番環境での展開に Yocto ベースの JetPack 7.2 を採用する予定です。

Yocto エコシステム パートナー

BalenaKonsulko GroupNeurealmPeridioRidgeRunWind River は、顧客が Yocto ベースの本番環境向けシステムをより迅速に展開できるようにする、Linux ディストリビューション製品、エンジニアリング サービス、長期サポートを提供しています。

AAEONASUSAvermediaConnect TechYUAN は、顧客の展開を加速するため、自社の本番環境向けエッジ コンピューティング システムで Yocto OS を検証しています。

今後の展開

NemoClaw はデータ センターでの利用から始まりました。現在では、小売店舗、工場フロアのヒューマノイド ロボット、交通量の多い交差点の交通システムで稼働しています。フィジカル AI エージェントの時代は、まさに始まったばかりです。

開発者は、Jetson ソフトウェア ページからエージェント型 AI への取り組みを開始できます。

NVIDIA の創業者/CEO であるジェンスン フアン (Jensen Huang) の基調講演を視聴し、NVIDIA GTC Taipei の詳細をご確認ください。

ソフトウェア製品情報に関する通知もご確認ください。