新しい AI 機能とクラウドへのアクセスにより、Isaac Sim ロボティクス プラットフォームを使用する企業は、物流や製造からエネルギー、小売などの業界を自動化可能に
サプライ チェーンの課題や労働力不足に対処するため、自動化を採用する業界が増えるにつれ、インテリジェント ロボットの需要が高まっています。
ABI Research によると、産業用および商業用ロボットの導入は、2020 年の 310 万台から 2030 年には 2,000 万台へと 6.4 倍以上に増加する見込みです。これらの新しい AI ベースのロボットを開発、検証、展開するには、ロボットを現実的なシナリオに配置するシミュレーション テクノロジが必要になります。
CES において、NVIDIA は Isaac Sim の大規模なアップデートを発表しました。これは、さまざまな動作条件にわたるリアルな環境で仮想ロボットを構築およびテストするためのロボティクス シミュレーション ツールです。クラウドからアクセスできるようになった Isaac Sim は、メタバース アプリケーションを作成および運用するためのプラットフォームである NVIDIA Omniverse 上に構築されています。
ロボット開発者向けの強力な AI ドリブン機能
人間と、協働ロボット (コボット) や自律搬送ロボット (AMR) との並行作業がますます増えるなか、人間とその一般的な行動をシミュレーションに追加することが重要になっています。
Isaac Sim の新しい人間シミュレーション機能により、人間のキャラクターを倉庫や工場に追加し、荷物を積み重ねたり、カートを押したりするなど、よくある動作を実行する作業を課すことができます。最も一般的な動作の多くは既にサポートされているため、コマンドを送るだけで簡単にシミュレートできます。
シミュレーションの世界で確認された結果と現実の世界で見られる結果の違いを最小限に抑えるには、物理的に正確なセンサー モデルが不可欠です。
NVIDIA RTX テクノロジを使用して、Isaac Sim はセンサーからの物理的に正確なデータをリアルタイムにレンダリングできるようになりました。RTX でシミュレートされた LiDAR の場合、レイトレーシングは、さまざまな照明条件の下で、または反射素材に応じて、より正確なセンサー データを提供します。
Isaac Sim は、物理的に正確なシミュレーション環境を構築するために不可欠な、シミュレーションに対応した新しい 3D アセットも多数提供しています。倉庫の部品から良く使われるロボットまで、すべてがすでに使える状態になっているので、開発者とユーザーはすぐに構築を開始できます。
ロボティクス研究者にとって重要な新機能には、強化学習用の Isaac Gym や共同ロボット プログラミング用の Isaac Cortex のアップデートが含まれます。さらに、新しいツールである Isaac ORBIT は、ロボットの学習と動作計画のためのシミュレーション動作環境とベンチマークを提供します。
また、ロボット オペレーティング システム (ROS) 開発者の大規模なコミュニティのために、Isaac Sim は ROS 2 Humble と Windows のサポートをアップグレードします。すべての Isaac ROS ソフトウェアをシミュレーションで使用できるようになりました。
Isaac プラットフォームの機能とエコシステムの拡大が導入を促進
大規模で複雑なロボティクス エコシステムは、物流や製造から小売、エネルギー、持続可能な農業など、複数の業界にまたがっています。
エンドツーエンドの Isaac ロボティクス プラットフォームは、高度な AI およびシミュレーション ソフトウェアと、アクセラレーテッド コンピューティング機能をロボティクス エコシステムに提供します。100 万人を超える開発者と 1000 を超える企業が、いずれかもしくは複数の機能を活用しています。Isaac Sim を使用して仮想世界で開発およびテストされた物理ロボットをすでに展開している企業も多く含まれます。
Telexistence は、日本の 300 のコンビニエンス ストアに飲料補充ロボットを導入しました。Deutsche Bahn (ドイツ鉄道) は、安全性を向上させるためにAI モデルをトレーニングして、現実世界ではめったに起こらない非常に重要ながら予想外のコーナー ケース (線路に荷物が落ちるなど) を処理できるようにしています。Sarcos Robotics は、再生可能エネルギー設備において、ソーラー パネルを選んで配置するロボットを開発しています。
Festo は Isaac Cortex を使用してコボットのプログラミングを簡素化し、シミュレートされたスキルを物理的なロボットに移しています。Fraunhofer は、Isaac Sim の物理的に正確で高忠実度の可視化機能を使用して、高度な AMR を開発しています。 Flexiv は、AI モデルをトレーニングするための合成データ生成に Isaac Replicator を使用しています。
ロボットのトレーニングは重要ですが、シミュレーションはロボットを操作してプログラミングする人間のオペレーターのトレーニングにおいても重要な役割を果たしています。Ready Robotics は、Isaac Sim を活用した産業用ロボットのプログラミングを教えています。Universal Robotics は、労働力開発に Isaac Sim を使用して、現場のオペレーターをクラウドからトレーニングしています。
クラウド アクセスでどこからでもIsaac プラットフォームにアクセス可能に
Isaac Sim をクラウドで利用可能にすることで、ロボティクス プロジェクトに取り組むグローバルな学際的なチームは、仮想ロボットのテストとトレーニングのためのアクセシビリティ、アジリティ、スケーラビリティを向上させて共同作業を行うことができます。
適切なトレーニング データが不足していると、ロボティクス システムを備えた新しい施設を建設したり、既存の自律システムをスケーリングしたりする際の展開が妨げられることがよくあります。Isaac Sim は Isaac Replicator を利用して、開発者が現実世界の環境の物理を模倣する大規模なグラウンド トゥルース データセットを作成できるようにします。
導入後は、自動化要件の拡大に合わせて数百台のロボットを効率的に運用するために、動的な経路計画が必要になります。リアルタイムのフリート タスク割り当ておよび経路計画エンジンである NVIDIA cuOpt は、自動化によって運用効率を向上させます。
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Isaac Sim はこちらからダウンロードいただけます。新しいプラットフォームの機能に関する技術的な詳細は技術ブログをご覧ください。
CES での NVIDIA の特別講演で、自律型マシン、ロボティクス、設計、シミュレーションなどにおける製品やパートナーシップについての詳細をご覧ください。