NVIDIA DRIVE Orin がもたらすハイパフォーマンス コンピューティングが軽量な地図作成機能と正確な認識を可能に
自律走行トラックは、地図の作製の負荷を軽減しながらも、周囲環境を確実に認識することが求められます。
それこそが、自動運転トラックを手掛けるシリコンバレーに拠点を置くスタートアップ Kodiak Robotics が、より安全で効率的な配送とロジスティクスの展開を目指すうえで採用しているアプローチです。同社は、NVIDIA DRIVE Orin を搭載した第 4 世代の車両を発表しました。シンプルな地図作製機能とディスクリート モジュール式のハードウェア設計を採用し、レベル 4 の自動運転機能を実現しています。
HDマップ(高精細地図)への過度な依存を避け、柔軟なアーキテクチャに重点を置くことで、Kodiak は常に正確でありながらもインストールや変更が容易な、自動運転システムの展開を目指しています。
「トラック業界では、システムの製造と保守をいかに行うかがきわめて重要になります。全車両が常に稼働していなければなりません」と、Kodiak の共同創業者/CEO であるドン バーネット (Don Burnette) 氏は説明します。
配送需要が高いうえに運転手のなり手不足という 2 つのプレッシャーを抱える業界にとって、このような容易な適応性は不可欠です。
ラストマイル テクノロジを手掛ける Convey Inc. によれば、2020 年には、e コマースでの注文件数が前年比 60% 近く増加し、買い物客の 36% が当日配送を選択したとのことです。また同時に、トラック業界の離職率 (当該年に同分野に入退社した従業員の総数) は 92% に上り、米国トラック協会は 2028 年までに 16 万人の運転手不足に陥るだろうと予測しています。
これらの要因が重なり、トラック運送会社は導入しやすく、交通安全も確保できるソリューションを必要としています。
ライブ パフォーマンス
自律走行には、自律走行車が現在位置を特定してルート計画を行うための地図が不可欠です。
工事や新しい経路など、道路状況の変化を反映してリアルタイムに更新することができない既製のHDマップに頼るのではなく、Kodiak の車両は地図を主にナビゲーション目的で使用する一方で、周囲環境を認識します。
地図への依存を軽くしたこの手法では、車両が路上の物体や標識などをすべて検知できなければなりません。そのようなリアルタイムの認識には、もっとも厳しい安全性基準を満たすよう設計された、高パフォーマンスの集中型 AI コンピューティングが欠かせません。
NVIDIA DRIVE Orin は 250 TOPS 以上を実現し、自律走行車内で同時に実行される多数のアプリケーションやディープ ニューラルネットワークを処理できるよう設計されていると同時に、ISO 26262 ASIL-D などの体系的な安全性基準を達成しています。
NVIDIA DRIVE Orin は、確実な意思決定と実行を安全かつセキュアに進めるためのデータとコンピューティング パワーを Kodiak Driver に提供します。
「NVIDIA DRIVE のおかげで、車両のコンピューティングを一元化することが可能になり、完全な自律性の実現に向けて安全で安定した経路を提供するのに役立ちます」と、バーネット氏は話します。
外観より安全性を重視
Kodiak の自律走行トラックの設計は、安全性を重視しており、注目を集めることを目的としたものではありません。
第 4 世代のトラックは、3 か所に設置された一組のモジュール式ディスクリート センサーを特徴とします。1 つはトラック前方のルーフラインに配置されたスリムな「センター ポッド」、もう 2 つは両サイドのミラーに組み込まれたポッドです。このような目立たないセンサーの配置により、設置と保守が容易になると同時に安全性も向上します。
「これらのトラックを見かけても、誰もが気付かずに通り過ぎるでしょう」と、バーネット氏。
オープンでスケーラブルな NVIDIA DRIVEプラットフォームを中心に、このようにディスクリート システムを構築することで、Kodiak は今後も安全性とセキュリティを犠牲にすることなく、柔軟性とリアルタイム認識に重点を置き続けることができるのです。