パートナーのモデルとプラグインによって柔軟性がもたらされる、自動運転車のシミュレーション

大規模なシミュレーションを利用して自律走行車（AV）を開発するには、同様に広範囲のパートナーとツールのエコシステムが必要です。

Omniverse に対応したNVIDIA DRIVE Simは、スケーラブルかつ多様で、物理的な正確さを誇るシミュレーション プラットフォームとして AV 開発の課題に応えます。開発者は生産性とテスト網羅度を高めることができ、その結果、現実世界での走行テストの必要性を最小限に抑えるとともに、市場投入までの時間を短縮できます。

DRIVE Sim エコシステムを構成する企業の多様性と専門性は、このプラットフォームを自律走行車シミュレーションの最も優れたソリューションにするための非常に重要な要素です。

DRIVE Sim では、忠実度の高いシミュレーションが可能です。その実現のために、NVIDIA RTX、Omniverse、AI など、NVIDIA のコア テクノロジを利用した機能豊富なクラウドベースのシミュレーション プラットフォームとなっています。このプラットフォームを使用すれば、車両の認識システムをトレーニングするためのデータセットを生成できます。また、仮想の試験場を利用して車両の意思決定と制御ロジックもテストできます。

このプラットフォームをソフトウェアインザループ（Software-in-the-Loop）またはハードウェアインザループ（Hardware-in-the-Loop）の構成でAV スタックに接続することで、完全なドライビング体験をテストできます。

DRIVE Sim には、すぐに利用できる環境、シナリオ、車両、センサー、および交通に対応する、構成可能なモデルの豊富なライブラリが含まれています。

また、専用のアプリケーション プログラミング インターフェイス (API) が用意されており、開発者は DRIVE Sim のコネクタ、プラグイン、拡張機能を構築して、特定の要件やワークフローに合わせてシミュレーション体験をカスタマイズできます。これらの API は、既に確立されている AV シミュレーション ツールチェーンへの統合を可能にすることで、過去の投資および開発を活用できます。

広範囲に及ぶパートナー エコシステムが提供するコネクタ、プラグイン、拡張機能を利用して、DRIVE Sim のシミュレーション体験を特定の要件およびワークフローに合わせてカスタマイズできます。

シミュレーション パートナーの広範囲に及ぶエコシステムにより、DRIVE Sim は常に最先端の仮想シミュレーション モデル、豊富な環境、検証と妥当性確認のツールを提供しています。

絶えず変化し続ける環境

運転の挙動は車両が走行する環境によって異なります。交通量の多い都市部から、走行する車両もまばらな曲がりくねった高速道路まで、自動運転車はさまざまな環境に対応する必要があり、各国独自の法律にも従わなければなりません。

DRIVE Sim のエコシステム パートナーは、3 次元道路環境のリアルな仮想モデルを提供しています。これらのモデルには、道路環境を生成するためのツール、正確な道路ネットワークを構築するためのリファレンス マップ、環境アセット (交通標識、信号機、他の車両、歩行者、自転車に乗っている人、建物、樹木、街灯、消火栓、路上落下物など) などが含まれています。

DRIVE Simは、すぐに利用できるサンプル環境、あるいはエコシステム パートナーから提供される環境およびアセットによって、複雑な道路環境のリアルな仮想モデルを実現します。

NVIDIA はさまざまな 3D モデル プロバイダーと提携し、Omniverse を介してこれらのアセットを簡単にダウンロードし、DRIVE Sim のシミュレーション環境およびシナリオに取り込むことを可能にしています。

車両挙動のモデル化

シミュレーションの役目は現実世界の環境を仮想空間に再現するだけではありません。路面入力および制御 (アクセル、ハンドル、ブレーキなど) に対する車両自体の応答を正確に再現することも必要です。

ビークル ダイナミクス モデルは、DRIVE Sim から送られてくる車両制御信号に対して、入力に応じた車両の正しい位置および方向で応答します。

これらのモデルは車両の力学をシミュレーションして、可能な限りの忠実度で計画および制御のアルゴリズムを検証するのに役立ちます。車両が突然方向転換したりブレーキをかけたりするときのセンサーの方向と動き、さらには道路の振動やその他の厳しい条件に対するセンサーの反応を再現できます。

車両モデルは、自動運転システム自体の堅牢性の評価にも役立ちます。タイヤおよびブレーキの摩耗、積荷の変動、ホイール アライメントの狂いが車両に生じるときは、安全性の確保のためにシステムがどのように反応するのかを把握することが極めて重要です。

低速の駐車操作の場合でも、計画および制御のアルゴリズムを評価するためには、高忠実度のビークル ダイナミクス モデルが必要です。

NVIDIA は主要なすべてのビークル ダイナミクス モデル プロバイダーと協力して、各社のモデルを DRIVE Sim に統合できるようにしています。

センシング シミュレーション

現実世界での自動運転車と同様に、仮想車両にも周囲の状況を認識するためのセンサーが必要です。DRIVE Sim には、カメラ、レーダー、LiDAR、超音波センサーに対応する標準モデルのライブラリが付属します。

API を通じて、ユーザーとエコシステム パートナーがセンサー シミュレーションの専用モデルを DRIVE Sim に統合することも可能です。

一般に、これらのモデルでシミュレーションする対象は、トランスミッター、レシーバー、イメージ センサー、レンズなどのセンサー コンポーネントに加え、信号処理のソフトウェアおよびトランスコーダーなどがあります。

RTX リアルタイム レイトレーシングを使用した物理的に正確な光のシミュレーション。詳細なセンサー モデルとの組み合わせにより、認識のエッジ ケース (朝焼けや夕焼けといった、日光が直接カメラに差し込むときなど) を評価できます。

カメラ、レーダー、LiDARの複数のサプライヤーが、DRIVE Sim に対応するセンサー モデルを既に提供しています。このレベルの粒度でセンサー モデルを実装することで、DRIVE Sim は現実世界で車両走行時に物理センサーが生成する出力を正確に再現できます。

未知のものを発見する

現実世界では、走行する車両だけが道路にあるわけではありません。同じことがシミュレーションにも当てはまります。

詳細な交通モデルを使用することで、開発者は現実世界と同じ変動要素および不確定要素で特定のシナリオを再現できます。ある DRIVE Sim パートナーは、自動運転車両システムをテストおよび評価するために、自然な交通状況、つまり最終的な結果が分からない状況を開発しています。

エコシステム パートナーからのシナリオ カタログ、交通シミュレーション モデル、シナリオベースの V&V (検証と妥当性確認) 手法を利用して、リアルな (場合によっては予測できない) 事象を DRIVE Sim に取り込むことができます。

さらに別のパートナーは、自動運転システムが特定の KPI (重要パフォーマンス評価指標) を満たしているかどうかを評価する、特定のシナリオカタログおよびシナリオベースの検証と妥当性確認手法を提供しています。

これらの基準は、規制要件または業界標準になり得ます。NVIDIA は、自動運転車のシミュレーションに関する基準の策定を目的とした世界中のプロジェクト、コンソーシアム、標準化団体に複数参加しています。

常に最新の情報を得る

最後に、DRIVE Sim のエコシステムは、シミュレーションを使用した自動運転車のハードウェア システム全体に対するテストと検証を可能にします。

車両内で動作する AI コンピューティング システムを含む、NVIDIA DRIVE Constellation のハードウェアインザループ（Hardware-in-the-Loop）プラットフォームによって、対象のハードウェア上で動作する AV スタックに対してビット単位の精度で大規模な検証が可能になります。

システム インテグレーション パートナーは、DRIVE Constellation を車両の他の電子アーキテクチャに接続するためのインフラストラクチャを提供しています。ブレーキ、エンジン、コックピットの制御ユニットなどのコンポーネントと完全に統合することで、開発者は特定の自動運転シナリオにおいて車両全体がどのように反応するのかを評価できます。

経験豊富なパートナーから提供される多様で常に更新されているモデルによって、最高品質のコンテンツを使用して自動運転システムを継続的に開発、テストし、検証できます。