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NVIDIA が年間最大のイベントのデジタル化にどのように取り組み、学んだこと

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新型コロナウイルスのパンデミックにより、GTC Silicon Valley が土壇場でオンライン化。どのように成し遂げたのかを紹介します。

世界規模のパンデミックについての話なしに 2020 年について語れる人は、今では世界中のどこにもいないでしょう。

私たちにも共有したいストーリーがあります。GPU Technology Conference をオンラインに移行したことで、新たなソーシャル ディスタンスの現実の中で、何がうまくいき、何がうまくいかないか、苦労して得られた教訓です。

3 月下旬にサンノゼ コンベンションセンターで開催される GTC に 1 万人の参加者を集めるために1 年間のほとんどを費やしてきました。2009 年の最初のカンファレンスで 1,500 人を集めて以来、GTC は NVIDIA の旗艦イベントとなっています。

この 11 年間に、NVIDIA は全世界で 40 のイベントを開催してきました。そのため、今回もいつも通りの方法でGTC を実施する予定でした。

2 月最後の日、COVID-19 が全世界に蔓延する中、NVIDIA は重要な決断を下しました。物理的なイベントを取り止め、最高のオンライン イベントを作り上げることになりました。それが GTC Digital です。

突貫作業が始まりました。

私のチームは、このような規模の完全なデジタル イベントを実施したことがありませんでした。どのようなツールが必要なのかも知りませんでした。物理的なイベントの準備を進めていたパートナーと参加者が、どのように反応するのかもわかりませんでした。さらに、自分たち全員が間もなくリモートで仕事をするようになるとは、思ってもいませんでした。

そこで、私たちは最初の教訓を得ました。「オフラインでイベントを開催するスキルを持つ人は、オンラインでも成功できる」ということです。登録者数は、当初の目標の 4 倍以上にもなりました。4 月 3 日までに、このオンライン イベントの視聴回数は 8 万回を超えました。参加者は、世界中のあらゆる場所からログインしていました。

2 つめの教訓は、「突貫作業を依頼する場合は、シンプルにする必要がある」ということです。デジタル化での実施が伝えられたとき、3 週間ですべてを作り上げる必要に迫られた GTC チームは、世界的な医療危機の中、在宅勤務をし、学校に行けなくなった子供たちの面倒を見ながら、目標を達成するために以下の 3 つの重大な決定を下しました。

  1. 振り返らない: 私たちは、物理的なカンファレンス全体を作り替えることを選びました。あらゆるサプライヤに取り消しを伝え、すべての参加者とスポンサーに全額を返金しました。
  2. 今あるものを活用する: 私たちは、全世界の人々が参加する仮想イベントに対応するためのプラットフォームとスキルを探しました。
  3. 計画を共有する: 私たちは、1,300 人の講演者全員に状況を連絡し、今も参加の意思があるかどうかを尋ねました。

それは、数多くの眠れぬ夜への対処法でした。

「泣きました。嘘ではありません」と言うのは、過去 10 年間に世界各地で開催された、40 回の GTC イベントの運営、営業、マーケティングを指揮してきたジャスミン デイブ (Jasmin Dave) です。

「1 年以上の期間、イベントのために心血を注いできました。展示会場は完売し、すばらしいデモが予定されていて、参加者数も新記録になるはずでしたが、実現することなく中止になったのです。あれは辛い体験でした」

厳しいスケジュールが救いになることも

3 月の最初の月曜日の朝、会議室は 50 人の参加者で膨れ上がり、床に座っている人もいました。さらに、数十人の人が電話で参加していました。これら人々は共通の疑問を持っていました。「GTC Digital って何?」です。

まず、展示会場がありません。しかし、数多くコンテンツが用意されています。数百の講演、チュートリアル、パネル ディスカッション、ハンズオン トレーニングが、ライブ配信のオンライン イベント、ポッドキャストおよびスライド付き講演のオンデマンド配信に姿を変えるのです。

ある意味、イベントの期限設定が救いになりました。GTCのコンテンツ責任者であった、クリスチャン ヒックス (Christina Hicks) はこう述べています。「講演者たちはすでに、GTC での講演内容を作成して、講演を行うためのスケジュールを確保していました。そのため、講演者の 80% がオンライン イベントに参加してくれました。最終的には、800 人以上の講演者が講演を録画して共有することに同意してくれて、とても感激しました」

オンライン経済の教訓

私たちは GTC Digital は無料にすると、早い段階から決めていました。何人の講演者が参加するのか、私たちにはまったく予想できませんでした。世界中のほとんどの人が自宅で避難している中、世界クラスの専門家からオンラインで学ぶことは、理想的な気晴らしであり、コミュニティを構築する方法であるようにも思えました。

今思えば、無料での実施には代償も伴いました。定員が限られているライブ イベントでは、わずかな料金を設定していれば、オーバーブッキングを回避でき、参加したくてもできない人を最小限に抑えることことができたかもしれません。

私たちは、高品質な体験を提供するために多くの時間を費やしました。結果的に、オンライン イベントのほうが、物理的なイベントより多くの時間が必要となりました。

チームは、講演者が手元にあるか、簡単にダウンロードできるツールを使って講演を録画するためのガイドを発行しました。イベント開幕直前の週末、チームは 150 本の動画の編集と処理を行いました。

いくつかの動画は最高のもので、グリーン スクリーンを使ったものもありました。犬の鳴き声を消したり、小さな音声を大きくしたりするために、NVIDIA のオーディオ ビジュアルのクルーがデジタル処理を行った動画もありました。

ライブ イベントを保存および共有するための既存の GTC On Demand サービスを、GTC Digital のほぼすべてのコンテンツをホストするために再利用しました。

仮想イベントには現実のインフラが不可欠

異なったプラットフォームのすべてを、ユーザーの登録状況に関連付けされた、単一の集約的なセッション カタログに接続するという、困難な作業もありました。わずか 2 週間で、スタッフはいくつかの登録データを手動で入力しなければなりませんでした。これは通常なら自動化されていた作業だったでしょう。

これは、チームが遭遇した、いくつかの予期せぬ障害の 1 つでした。

GTC Digital の最初の週には、世界中の人が在宅勤務しているためにトラフィックが混んでいる中、多くの人からのインターネット アクセスがありました。チームは、講演者やスタッフの接続が切断された場合に備えて、バックアップを探さなければなりませんでした。

サービス プロバイダーが需要の急増を感じており、あるプロバイダーからは、参加者が 2,000 人を越える可能性のあるセッションを事前に知らせるようにとの要請もありました。サービス プロバイダーと緊密に連絡を取り合い、代替案を用意しておくことが重要でした。

何が起こっているのかを目で見ることのできる物理的なイベントに比べて、オンラインでのライブ イベントではより多くの人とツールが必要になります。私たちは、不具合が発生した場合に備えて、Slack を講演者とのリアルタイムのバック チャンネルとして使用しました。NVIDIA の IT 部門は、メインのプラットフォームに不具合が発生した場合に備えて、ライブ セッションのバックアップを作ることを提案しました。

仮想での作業でも摩擦は起こる

物理的なイベントでは想定されていることでも、昼食休憩の設定など、全世界のオンライン視聴者にとって無意味なこともあります。

今思えば、ライブ イベントでシリコンバレーの現地時間を表示するのは意味がありませんでした。セッション カタログでは、参加者の現地時間を計算して表示すべきです。

そして、参加者はモバイル アプリよりもデスクトップでのカタログを好むことがわかりました。

デスクトップでの GTC Digital 体験が、モバイル アプリのものより好まれていることがわかりました。

最も困難な問題のいくつかは、技術的なものではありませんでした。

危機のときの在宅勤務は、コラボレーションは桁違いに難しくなっていました。

オフィスでの問題が、廊下での偶然の出会いによって解決することがよくありますが、今、それはあり得ません。その代わりに、子供たちに家庭教育を受けさせ、食事を与え、ベッドに寝かし、抱きしめる必要がありました。

NVIDIA の CEO から全世界の社員に送られたメモを読めばよくわかります。「家族のことを優先してください。仕事は後回しです。同僚に知らせてください。彼らはあなたをサポートしてくれるでしょう」

実際、彼らはサポートしてくれました。

助けを求めるのを恐れてはいけない

早い段階で、私たちは手元にあるツールの棚卸しを綿密に行いました。そして、社内外の人々が協力してくれるようになりました。

NVIDIA のウェビナーに使用されている外部サービスに精通している 2 人のチームが、GTC Digital のセッションでそのサービスを活用できるようにしてくれました。

NVIDIA の AI ポッドキャストを制作している、別の 2 人は、重要な講演者とのパネル ディスカッションとインタビューをホストすると申し出てくれました。

NVIDIA の Deep Learning Institute (DLI) は、Kaltura の Newrow ソフトウェアを使って、オンライン イベントをライブでホストするための初期テストを行っていました。DLI は、参加者がインストラクターから 1 対 1 の指導を受けられる小会議室といったような、私たちが欲しかった機能に対応していましたが、このときには、スケジュールが非常に厳しくなっていました。

「チームは大急ぎで作業をし、6 週間以内にプラットフォームを展開させるために奔走しました」と DLI を監督するウィル ラミー (Will Ramey) は、述べています。
Kaltura は、数十人の DLI インストラクターがNewrow に参加できるようにし、オンライン セッション中に問題が生じた際には、参加者に即座に対応しました。このプラットフォームは、NVIDIA のエンジニアと参加者が 1 対 1 で対話する時間を設ける、「Connect with the Experts」セッションでも大いに役立つことがわかりました。

仮想教室の準備が整うと、参加者が最高の経験ができるようにパートナーに協力を求めました。Microsoft Azure が GPU サーバーへのアクセスを提供し、世界中の DLI の参加者がディープラーニングのハンズオン トレーニングを受けられるようになりました。

このような状況の中、GTC チームは、ビデオ会議でワインで乾杯をしながら、その日の成功を祝う時間を取りました。

GTC Digital は今も進行中です。4 月 23 日までの毎週木曜日に新しいコンテンツが配信されます。

これまでのところ、数字は順調に推移しています。今週の時点で、GTC Digital は次のような数字をあげています。

  • 45,000 人以上の参加登録者
  • 300 以上の録画済み講演
  • 148 の研究ポスター
  • 86 時間におよぶ、DLI インストラクターによるトレーニング
  • 21 のウェビナー
  • 39 の Connect with the Experts でのライブ Q&A セッション
  • 9 つのデモ
  • 6 つのポッドキャスト

数万人の人々がライブ セッションに参加したり、オンデマンド コンテンツのダウンロードをしたりしていますが、そのうちの約 60% が北米以外からの参加です。ほぼすべての DLI トレーニングと「Connect with the Experts」セッションが完売しました。

チームは、今もフィードバックに目を通しています。余談ですが、あるパートナーは、「私たちは皆、NVIDIA がどのように行っているかを記録すべきです」と述べていました。

ある講演者からは、「今のような時節でもイベントを主催できるということを教えてくれた」とチームに感謝の言葉が寄せられました。

私が参加したセッションでは、人々が自宅に避難しているときにポジティブなことができたと、感謝の念を表していました。

専門的能力の開発のためにスケジュールを立てていたが、それがパンデミックのときにできるとは思わなかった、という人もいました。シリコンバレーに行く余裕がなかった学生は、仮想的な体験ができたと感謝を述べていました。

「正しいことでした。シンプルにして実行するという私たちのテーマが実を結びました」とジャスミン デイブは述べています。

これは将来につながるものであると、NVIDIA では考えています。オンライン体験の驚くような成功と、いくつもの重要な教訓を得て、私たちは、より多くのデジタル イベントを作り出す準備ができています。これが近い将来に見られるトレンドであることは、疑いの余地はありません。


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