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AI がドミノ・ピザの配達をサポート

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NVIDIA の GPU によって大手ピザ チェーンの身近な店舗で AI が活躍

宅配ピザを頼むとき、チーズを追加するのが好きな人もいれば、ソースやペパロニを追加するのが好きな人もいるでしょう。そして、Zack Fragoso 氏のピザにかける情熱には、大盛りのデータがトッピングされています。

大手ピザ チェーンのドミノ・ピザでデータ サイエンスおよび AI 担当マネージャーを務める Fragoso 氏は、人間の行動における変化を統計を用いて分類する職業心理学の分野で博士号を取得しています。

「私はその定量分析的側面が好きなのだと気付きました」と、同氏は述べています。ドミノ・ピザの拡大する AI チームのマネージメント職に就くまで、同氏はその数字に対する頭の回転の速さを生かして、地元デトロイトの警察や交響楽団の分析を行うコンサルティング業務を行っていました。

「ドミノ・ピザはここ数年でデータ サイエンス チームを飛躍的に拡大させてきました。その原動力は、分析から得た洞察をビジネス チームのアクション アイテムに変換することによる効果です」

年間 30 億枚を超えるピザを配達するには、迅速に意思決定を行うこと、すなわち「速さ」が重要です。そこでドミノ・ピザは、注文ができあがるまでの時間をより正確に予測するなど、多くの用途に AI を活用しようと検討しています。

昨年のスーパーボウル (米アメリカン フットボールの王座決定戦) から始まった「Points for Pie」キャンペーンは、ドミノ・ピザにとって過去もっとも注目を集めた AI プロジェクトとなりました。食べているピザの写真をスマートフォンで撮って投稿すると、同社から無料のピザと引き換えられる顧客ロイヤルティ ポイントがもらえるというものです。

「組織内ではこのプロジェクトへの意気込みが高まっていましたが、購入と獲得ポイントを認識する方法については誰もよくわかっていない状態でした」と Fragoso 氏は振り返り、次のように続けます。

「AI を利用する絶好の機会だというデータ サイエンス チームの言葉に従い、私たちはピザの画像を判別するためのモデルを開発し、おかげさまで大変ご好評をいただきました。多くの人が引き換えに押し寄せ、このキャンペーンを利用されました」

ドミノ・ピザは、8 基の V100 Tensor コア GPU を搭載した NVIDIA DGX システム上で 5,000 枚以上の画像を使ってモデルのトレーニングを行いました。その中には、顧客から投稿された犬用のプラスチックでできたピザのおもちゃの画像も含まれます。それらの画像に対して送られた調査が、今では戦略的な企業資産として扱われている独自のデータセットにラベルを付ける作業の一部を自動化するのに役立ちました。

注文の準備が整う時間を AI が予測

さらに最近、Fragoso 氏のチームは新たなマイルストーンを達成し、注文の準備が完成するまで時間の予測精度を 75% から 95% に引き上げました。いわゆるロードタイム モデルの計算には、働いているマネージャーや従業員の数、パイプライン内の注文の数と複雑さ、現在の交通状況など、さまざまな可変要素が考慮されています。

この予測精度の向上は高い評価を得て、今後オペレーターの効率と顧客体験を高める上で基盤となることが期待されていますが、NVIDIA GPU がその一翼を担っています。

「ドミノ・ピザは、店舗でのデータのカタログ化において非常に高い成果を上げていますが、最近までそのような大規模モデルを構築するためのハードウェアがありませんでした」と、Fragoso 氏は述べています。

当初、配達準備時間モデルのトレーニングには 3 日を要したため、実用化するには時間がかかりすぎていました。

「DGX サーバーを導入してからは、より複雑なモデルでも 1 時間以内でトレーニングできるようになりました」と同氏は 72 倍のスピードアップを報告し、次のように加えます。「その結果、新しいデータを追加してモデルを改善する反復作業を非常に素早くできるようになり、現在はバージョン 3.0 が稼働中です」

さらなる AI の導入へ

Fragoso 氏のチームの次の大きなステップは、ドミノ・ピザでリアルタイム予測を必要とするすべての作業に対する AI 推論を、複数の NVIDIA Turing T4 GPU を利用して高速化することです。

ドミノ・ピザでは、業務における新たな活用事例のいくつかはまだ「隠し味」のように明らかになっていないと考えていますが、データ サイエンス チームは、顧客にできるだけ迅速かつ簡単にピザを届けられるように、現在複数のコンピューター ビジョン アプリケーションを検討中です。

「モデルのレイテンシは非常に重要です。そこで私たちは、稼働中の AI モデルを運用するために T4 を使って推論スタックの構築を進めています。すでにレイテンシを 50 ミリ秒から 10 ミリ秒未満にまで短縮し、極めて大きな向上を達成しています」と、同氏は報告しています。

ほかにもドミノ・ピザでは、GPU でデータ サイエンス クエリを実行するためにオープンソース ソフトウェアの BlazingSQL を最近採用しました。その際、NVIDIA RAPIDS ソフトウェアが従来の CPU ベース ツールの API をサポートしながら、パフォーマンスの向上をもたらし、移行を容易にしました。

データセットの構築にかかわる AI プロセスに含まれるすべてのユース ケースで平均 10 倍の高速化を実現しています。

「以前は、データのクリーニングと特徴量エンジニアリングの作業に 24 時間かかることもありましたが、今では 1 時間もかからずにそれらの作業を終えることができます」と、同氏は述べています。

NRF 2020 での AI

ドミノ・ピザは、GPU を使って小売りでの AI の利用を目指す、多くの先進的企業の 1 社です。

たとえば、NVIDIA の GPU によって、Alibaba は中国で独身の日を祝う光棍節に世界最大のショッピング イベントを開催し、380 億ドルの収益を上げました。また、世界最大手の小売業者 Walmart も、昨年開催したイベントで GPU と NVIDIA RAPIDS を採用したことを明らかにしています。

さらに、IKEA は、NVIDIA パートナーである Winnow の AI ソフトウェアを利用して、店内カフェテリアでの食品廃棄を削減しています。

1月12日~14日に開催された全米小売業協会主催の年次イベント「NRF 2020」では、小売業での AI の利用におけるベスト プラクティスについて、より詳しい情報が発信されました。NVIDIA とその 100 社を超える小売パートナーの一部が参加し、データが生成されるローカル環境 (店舗内の通路、レジ、倉庫など) に AI を拡張できる、エッジ コンピューティング向けの EGX プラットフォームのデモを行いました。

EGX プラットフォームのリアルタイム エッジ コンピューティング機能は、万引きを止める、混雑時にレジ台数を増やす、顧客に最高のショッピング体験を提供するといった目的で、店舗スタッフに通知を送信できます。


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