ドキュメンタリー シリーズ「I AM AI」のエピソード 3 は、命に関わる病気のより適切な診断について詳しく取り上げます。
肺がんは、長い間、診断が最も難しい病気の 1 つでした。
ドキュメンタリー シリーズ 「I AM AI」のエピソード 3 では、12 Sigma Technologies 社を紹介します。サンディエゴに拠点を置くこのスタートアップ企業は、GPU を導入した AI とディープラーニングを適用し、この状況を変えようとしています。
医師は通常、目視で CT スキャン画像を診断し、小さな結節を探し、良性か悪性かの推定を試みます。その結節が小さければ、見つけるのはより困難になります。その結果、肺がんは見つかったときには手遅れのことが多く、17% という気が滅入るような生存率になる― そう話すのは、12 Sigma 社の共同創業者兼 CEO であるシン チョン (Xin Zhong) 氏です。
チョン氏は言います。「ほぼすべての肺がんは、小さな結節から始まります。その小結節は、さまざまな外観になる可能性があり、医師がその外観の違いをすべて理解するには何年もかかります。」
ディープラーニングを利用した、より適切ながん診断
チョン氏とそのチームは、AI アルゴリズムのトレーニングにディープラーニングを活用することを決めました。AI アルゴリズムは、医師が CT スキャン画像をより効率的に分析するのに役立ち、その結果、より迅速かつ正確に肺がんを診断できるようになります。CT スキャンには、最大で 500 枚の画像があります。CT スキャンおよびその他の画像ベースの医療検査はますます一般的になってきており、強力な分析テクノロジの必要性も同様に高まっています。
12 Sigma 社の共同創業者兼 CTO であるダション ガオ (Dashan Gao) 氏は、次のように述べています。「AI は、がんの発見に適しています。生成されたデータが大量にあるからです。私たちは、ディープラーニングによる最新のコンピューター ビジョン テクノロジを利用し、データを処理できます。」
同社は、米国と中国の病院から提供される CT 画像を利用し、GPU を活用したニューラル ネットワークでモデルをトレーニングします。GPU を利用すると、CPU を稼働させるネットワークより、50 倍高速で稼働します。ガオ氏は、何週間も、または何か月もかかっていたモデルのトレーニングが、数日または数時間で可能になると述べています。
CT 画像を利用した絶え間ない学習
12 Sigma 社のテクノロジは、中国において少なくとも 35 の病院でテストされています。そこでは、通常、医師が目視で CT 画像の最初のチェックを試みてから、12 Sigma 社のアルゴリズムを実行します。医師は、目視検査で見逃したがんの小結節をしばしば見つけ、その結果、医師は迅速に意思決定し、悪性の結節を除去します。
このテクノロジは、医師が偽陽性のケースを除外し、偽陰性のケースを見抜くのを学習し続け、新しくラベル付けされたデータを確立し、アルゴリズムを微調整します。
「医師とソフトウェアが連携して機能することにより、私たちは、きわめて高い感度を実現し、偽陽性のケースをきわめて低く抑えることができます。」とガオ氏は言います。
人の命を救うためのシステム
医師に与えるインパクトは、著しく大きくなってきました。これまで医師は、1 枚の CT スキャン画像を見て検査するのに 10 分程度かかっていました。良性か悪性かを分類するのにさらに時間が必要です。12 Sigma 社のシステムは、分類を含めて 2 分で完了します。チョン氏は、このシステムにより、医師は 1 日に少なくとも 4 時間の節約が可能になり、この時間を患者との対話やさらなる研究の推進に充てられると予測します。
もちろん、真の勝利は、肺がんをより早期に発見し、患者の命を取り留めることにあります。
12 Sigma 社の製品開発担当バイス プレジデントであるユーミン・ユアン (Yumin Yuan) 氏は、次のように述べています。「人の命を救うという大きな意義が、私たちを奮い立たせます。」
次のエピソード
NVIDIA のドキュメンタリー シリーズ「I AM AI」の次のエピソードは、ModiFace を取り上げます。この技術は、革新的な美容業界の AI を適用し、人々が理想的な髪の色を見つけるのに役立っています。
AI イノベーター のページでは、ドキュメンタリー シリーズ「I AM AI」の他のエピソードもご覧いただけます。